連結決算ソリューション製品紹介【第4回】
真の制管一致を追求する「Oracle Hyperion」の本当の価値
長い歴史を持つ「Oracle Hyperion」が目指すのは単なる制度連結ではない。高度な分析や予測機能、データ基盤を使ったグローバルで利用できる経営管理ソリューションの提供だ。
真の制管一致を実現する
海外ベンダーが提供する連結会計ソリューションの中でも、特に多くのユーザーに採用されている製品の1つが「Oracle Hyperion Financial Close Suite」だ。同製品は、長く米ハイペリオンにより提供されていたが、2007年に同社がオラクル に買収されたことに伴い、以降はオラクル製品の1つとして提供されている。
ハイペリオンといえば、EPM(Enterprise Performance Management:企業パフォーマンス管理)分野をリードしてきたベンダーとして知られる。現在、オラクルから提供されている旧ハイペリオン製品は「Oracle Enterprise Performance Management」(Oracle EPM)という製品スイートにまとめられており、その中に企業戦略策定や予算管理、業績予測、原価管理など、EPMソリューションの各機能をそれぞれ担うパッケージ製品が含まれている。
その中で連結会計も、グループ企業のEPMを実現する上での重要な機能の1つとして、Oracle Hyperion Financial Close Suiteというパッケージ製品群の形で提供されている。同製品はグローバルレベルでは長い実績を持っており、日本国内でも既に数百社の企業が連結会計業務に適用しているという。
ただし、同製品をいわゆる連結会計パッケージとして捉える人は、あまり多くないかもしれない。実際のところ連結会計、特に制度連結の機能はあくまでもソリューション全体の中の一部分であり、むしろグローバル企業の連結経営を支援するための管理連結の機能がメインになっている。
そんな中、オラクルでは、2009年から同製品の制度連結機能の強化を進めつつある。日本オラクル 執行役員 EPM/BI事業統括本部長 関屋 剛氏は、次のように説明する。
「これまでOracle Hyperion Financial Close Suiteは、海外にビジネス展開する製造業を中心に、グローバル経営を支援する管理会計ソリューションとして採用されるケースが多かった。しかし2009年に、日本の制度会計にもきめ細かく対応できる機能を提供開始した結果、従来強かった管理会計に加えて、制度会計の領域でも多く引き合いをいただくようになった」
つまり管理連結をベースとしながらも、制度連結への対応を強化することで、日本企業にとっての真の「制管一致」の連結ソリューションを提供できるようになったという。こうしたソリューションを提供できるベンダーは、実は極めて少ないと同社 EPM/BI事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス推進部 担当マネジャー 福岡浩ニ氏は述べる。
「欧米に比べて連結会計の歴史が浅い日本では、どうしても制度対応が先に立ってしまう。事実、多くの企業が導入している連結会計パッケージは、まずは『制度連結ありき』という思想で作られている。しかし、製造業だけでなくさまざまな業界で海外進出が進む中、管理連結へのニーズは今後明らかに高まっていく。そのとき、果たしてそうしたパッケージ製品が、高度な管理連結のニーズに十分応えていけるだろうか」
その点、グローバル経営の管理連結に高い実績を持つOracle Hyperion Financial Close Suiteであれば、制度連結中心のアプローチから高度な管理連結を主軸としたアプローチへと、確実かつスムーズに移行できるという。
IFRS適用を目指し基盤を固める
IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)への対応もしかりだ(参考記事:EBS、HyperionユーザーのIFRSガイド)。IFRS強制適用の延期発表後、IFRS対応プロジェクトの凍結や中止を打ち出す企業がある一方で、Oracle Hyperion Financial Close Suiteのユーザー企業の多くは当初の予定通り対応を進めているという。これも、同製品を採用するグローバル企業の多くが、制度連結への対応だけでなく管理連結、ひいては連結経営全体を管理するための基盤固めを志向していることの表れだといえる。
「われわれが提供するのは制度対応にとどまらない、連結経営のマネジメント全体をサポートするソリューション。日本でもようやく、企業の海外進出やIFRS対応をきっかけに連結経営についての本質的な議論が始まり、われわれのソリューションが持つ本当の価値が理解されるようになってきた」(福岡氏)
管理連結のための本格的なBI機能
Oracle EPMの大きな特徴の1つとして、スイートに含まれる製品が全て同じアーキテクチャ上に統合されている点が挙げられる。全製品が同じデータ基盤と同じフロントエンドを共有するため、EPMへの取り組みの成熟度が増すに従い、段階的に機能を追加していきながら効率的なIT投資を行うことができる。
これは、連結会計ソリューションだけをとっても同様だ。Oracle Hyperion Financial Close Suiteの中には、子会社からのデータ収集機能を担う「Oracle Hyperion Financial Data Quality Management」、連結処理を行う「Oracle Hyperion Financial Management」、そして決算開示処理を担う「Oracle Hyperion Disclosure Management」が含まれるが、その全てが同じデータ基盤、同じフロントエンドインタフェースを共有しながらシームレスに連携して動作する。
福岡氏によれば、連結会計の業務課題を顧客からヒアリングする際、最も多く課題として挙がるのが「分析・リポーティング」と「データ収集」だという。この内、前者の課題の解決に有効なのがOracle Hyperion Financial Managementだと同氏は述べる。
「連結会計パッケージの多くは制度連結用のリポーティング機能を備えているが、高度な管理連結用のリポーティングや分析機能を備えたものは少ない。逆にわれわれの製品の強みはまさにそこにあり、ユーザーからも高く評価いただいている」(福岡氏)
Oracle Hyperion Financial Managementでは、あらかじめ管理連結の詳細なリポーティングに必要なデータモデルが多次元モデルとして定義されており、さまざまな分析シナリオに対応できるようになっている。また、分析・リポーティングのための本格的なBI(ビジネスインテリジェンス)機能もあらかじめ含まれている。
このBI機能の充実は同製品だけでなく、Oracle EPM全体の大きな特徴で、これをもってハイペリオン製品をBI製品の1つだと捉える見方も多い。リポーティングの出力形態としては、固定帳票の他にWebのダッシュボード画面やMicrosoft Excelのシートをサポートするとともに、さまざまな業務の分析・リポーティングにそのまま適用可能なKPIとダッシュボードのテンプレートが用意されている。
連結業務のプロセス全体を管理
またもう1つの業務課題である、子会社からの決算データの収集に関しては、Oracle Hyperion Financial Data Quality Managementがさまざまな機能を提供する。同製品は、「Oracle E-Business Suite」や「SAP ERP」など、多種多様なERPシステムと連携して自動的に財務データを子会社から収集できる。こうした機能は他社の連結会計ソリューションの多くでも実現されているが、Oracle Hyperion Financial Data Quality Managementには他社製品にない大きな特徴があるという。
「一般的に、ETLを使った自動データ連携では、データ収集の作業が大幅に効率化できる半面、ユーザーが収集処理に介入できる余地が少ない。一方、Excelシートのやりとりによる昔ながらのやり方は、効率は悪いものの、エンドユーザーがきめ細かく組み換えや修正などを行うことができる。Oracle Hyperion Financial Data Quality Managementはこの両者のいいとこ取りをしており、自動データ連携を実現しつつ、同時にエンドユーザーが収集データを直接管理できるようになっている」
また、グループ全体の連結合算データをドリルダウンしていき、子会社の明細データまで遡及できる機能も有している。この機能は、制度連結のデータチェック・修正作業で多いに役立つだけでなく、連結経営分析のための管理連結の用途でも多いに有用だ。
ちなみに、連結会計業務に関する課題としてもう1つ、「プロセス管理」を挙げる企業も多いという。
「データ収集、連結処理、そして開示と、それぞれの業務を個別に支援するソリューションはあるものの、それら全ての業務を一連のプロセスとして一気通貫で管理できるソリューションはこれまでなかった。これを実現するのが、『Oracle Hyperion Financial Close Management』だ」(福岡氏)
Oracle Hyperion Financial Close Managementは、いわゆるプロジェクト管理ツールと考えると分かりやすいかもしれない。連結決算業務を1つのプロジェクトとして捉え、これを効率的に管理するための機能を提供する。ガントチャートや各種チャートでプロセス全体や個別タスクの進捗状況を可視化するとともに、Oracle Hyperion Financial Managementや、Oracle Hyperion Financial Data Quality Managementとも密接に連携しており、それぞれの作業画面へ直接遷移することも可能になっている。
「Oracle Hyperion Financial Close Managementは、連結決算業務に携わる全ての方をユーザーとして想定している。連結業務全体を見回して管理することもできるし、個別タスクの担当者が自分に割り振られたタスクを管理するために利用することもできる」(福岡氏)
日本の制度連結に対応したテンプレート
なお前述したように、オラクルでは現在、Oracle Hyperion Financial Close Suiteの制度連結対応を強化している。その取り組みの一環として、2009年に「Japan Starter Kit」(JSK)というテンプレートモジュールの提供を開始した。これは、Oracle Hyperion Financial Managementを使って日本基準の連結会計業務を行うために必要なデータ入力画面と連結処理定義、リポートの定義をテンプレートとしてまとめたもので、Oracle Hyperion Financial Managementのライセンスを購入したユーザーに対しては無償で提供される。
このJSKが網羅する範囲は広く、テンプレートとして定義されている項目は300種類を越えるという。
「テンプレートとしての網羅性は、業界No.1だと自負している。もはや、テンプレートというよりはアプリケーションに近いイメージのものだと思う。ただし、JSKを適用したからといって、Oracle Hyperion Financial Managementが本来持つ高い拡張性は失われないため、これをベースにユーザー企業がそれぞれの事情に合わせて柔軟に機能を拡張していくこともできる」(福岡氏)
オラクル社内で行った評価によると、このJSKを適用した場合とそうでない場合とを比べると、連結処理を実装する工数に2倍の開きがあったという。またその内容も継続的に拡充されており、現在ではバージョンアップ版の「JSK2」が提供されている。
さらには、このJSKをベースに、オラクルのパートナー企業が独自の連結会計ソリューションを構築してユーザーに提供するビジネスも展開しているという。
「弊社のパートナー企業が、JSK2をベースにして特定ニーズにマッチした制度連結ソリューションを開発・提供している。弊社が直接お付き合いしているユーザーはどうしても大手企業が中心になるが、こうしたパートナーソリューションを通じて中堅企業に対してもOracle Hyperion Financial Close Suiteの価値を提供している」(関屋氏)
連結ソリューションを下支えするデータ基盤
さらに同社では、これまで説明してきたアプリケーション領域だけでなく、データ基盤のレイヤーでもグローバル連結経営を支援するソリューションを提供している。それが、「Oracle Hyperion Data Relationship Management」という製品だ。関屋氏はこの製品について、次のように説明する。
「一言で言えば、『勘定科目のMDM(Master Data Management:マスターデータ管理)』を実現するためのもの。グローバルにビジネスを展開しているグループ企業では、各子会社で異なる会計システムを運用していることが多く、会計コードもまちまちだ。Oracle Hyperion Data Relationship Managementを使えば、これらばらばらの会計データを単一のマスターデータベースに統合し、連結経営のための統一データ基盤を構築できる」
また、同製品を使って集約できるのは、財務データだけではない。非財務データも併せて単一のマスターデータベースに集約することで、高度な経営分析を行うためのDWH(データウェアハウス)基盤としても利用できる。一般的なMDM製品と比べ、導入も比較的簡単なので、特にグローバル経営を広範に展開する企業を中心に引き合いが増えているという。
ただし、こうした大規模なデータ基盤を構築するためには、ハードウェアも含めたシステム基盤をしっかり整備する必要がある。その点オラクルは、ソフトウェアとハードウェア双方を含む基盤技術を持っていることが強みになると福岡氏はいう。
「オラクルはOracle ExadataやOracle Exalogic、さらには2011年発表したばかりのOracle Exalyticsと、ハードウェアとソフトウェアを融合させた最先端の高速データ処理技術を有している。これは、Oracle Hyperion Data Relationship Managementのような大規模データ基盤を実現するためには非常に有利だといえる。基盤技術も含めて全てのレイヤーのソリューションを提供できる点が、他社にはないオラクルの連結ソリューションの強みだ」
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