物理メモリ不足を軽減するスマートページングとは?
仮想マシンの集約率を高める、Hyper-V 3.0の動的メモリ機能
Hyper-V 3.0の動的メモリ機能には、最小メモリ設定とスマートページング機能が提供される。これらの機能は、仮想環境に柔軟性をもたらす他、仮想マシンの集約率を高める効果がある。
米Microsoftは、Hyper-V 3.0で動的メモリ機能を再設計し、従来のリリースの難点を克服した。
物理メモリは、1台のホスト上で動作させることができる仮想マシン(VM)の数を制限する要因になることが多い。Hyper-Vの利用者は、Windows Server 2008 R2 SP1で導入された動的メモリ機能により、VMの集約率が向上するようにVM間でホストメモリの再割り当てを行えるようになった。
動的メモリはHyper-Vの静的なメモリ割り当てよりも優れているが、第一世代の機能であるだけに、未成熟な部分があった。Hyper-V 3.0の動的メモリでは、最小メモリ設定とスマートページングという新機能が提供される。これらの機能は、この仮想化プラットフォームに新たな柔軟性をもたらす他、一部の仮想データセンターでは、集約率を一段と高める可能性がある(関連記事:ここまで変わった! Windows Server 2012のHyper-V 3.0の新機能)。
動的メモリで最小メモリサイズが設定可能に
最小メモリの設定機能によって、VMに割り当てる最小メモリサイズを指定できるようになったことは、Hyper-V 3.0の動的メモリにおける最大の改善点だ。Windows Server 2008 R2 SP1では、これと少し似た起動メモリの設定機能が用意されている(設定画面での設定項目名は[スタートアップRAM])。この設定機能では、ハイパーバイザーがVMの起動時に割り当てるメモリサイズを指定できるが、その指定値はVMに割り当てる最小メモリサイズでもある。
起動メモリ設定は大抵は有効に機能したが、1つ難点があった。VMは多くの場合、全ての内部プロセスが安定した後の動作時と比べて、起動時の方が多くのメモリを必要とするため、この設定により起動後の動作時にVMに過大なメモリが割り当てられてしまうことがあった。
この問題を踏まえて、Hyper-V 3.0では最小メモリの設定機能が導入された(Windows Server 2012 Hyper-Vの設定画面での設定項目名は[最小RAM])。この機能では、VMに割り当てる最小メモリサイズを指定できる。通常は、起動メモリよりも小さい値を指定する。そうすることで、VMのメモリの一部が、起動プロセスの完了後に再利用される。
物理メモリ不足を軽減するスマートページング
最小メモリと起動メモリの考え方はシンプルに見えるが、これらの機能の実装はMicrosoftにとって非常に厄介だった。動的メモリには常に大きな問題がつきまとう。それは、ホストの物理メモリよりも多くのメモリをVMに割り当てるように設定すると、ハイパーバイザーがVMに十分なメモリを提供できない場合があることだ。
物理メモリ不足は、一般的にパフォーマンスの問題を引き起こす。だが、最小メモリの考え方を導入すると、物理メモリ不足はさらに深刻な事態を招きかねない。このことを理解するために、Hyper-V 3.0ホストでVMを実行している場合を考えてみよう。各VMが最小メモリで動作していて、ホストの物理メモリが全て消費されているとする。この状況は必ずしも問題ではない。VMは、割り当てられたメモリを使って、いつまでも稼働し続けるはずだからだ。
だが、VMの1つを再起動しなければならなくなると問題が生じる。前述したように、VMは通常、動作時よりも起動時に多くのメモリを必要とする。このため、VMの1つを再起動する場合、サーバの物理メモリが全て割り当てられていると、ホストサーバにはそのVMの起動に十分なメモリを与えられないことになる。
そうしたシナリオを避けるため、Hyper-V 3.0は必要に応じてスマートページングを有効にする。ページングとは、物理メモリの代わりに物理HDDスペースを使ってメモリ不足を補うことを指す。しかし、ページングが行われるとパフォーマンスが低下してしまう。HDDアクセス速度はメモリアクセス速度よりもはるかに遅いからだ。
このパフォーマンス問題があるため、Hyper-V 3.0は限られた場合にしかスマートページングを使用しない。具体的には、VMを再起動するときに利用可能な物理メモリがなく、他のVMからメモリを再利用することもできない場合にのみスマートページングを使用する。電源オフ状態のVMの電源を入れる方法としてスマートページングを使用することはない。Hyper-V 3.0は、再起動を可能にするためにのみスマートページングを使用するのだ。VMが起動されて動作が安定したら、Hyper-V 3.0はスマートページングを自動的に無効にする。
以上のように、Hyper-V 3.0の動的メモリ機能に搭載された最小メモリ設定によって、ホストメモリを賢明に利用でき、そのおかげでVMの集約率が向上する。また、この設定の副次効果として、VMの実行中にVMの最大メモリを増やすことや、最小メモリを減らすこともできる。
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