異なるアップデートやアプリ配布方法が悩みの種に
iOSにAndroid、Windows Phone――モバイルOS多様化がもたらす課題
スマートフォンやタブレット向けOSの多様化は、企業の端末管理者に多大な負担をもたらす。OSによって異なる管理方法やアップデート方針にどう対処するかが、大きな課題だ。
モバイルOSの多様化は、サポート、管理、互換性、配布の問題を引き起こす。IT担当者にとって頭痛の種になることは必至だ。
モバイルコンピューティング市場は、さまざまな端末やOS、無線ネットワークサービスであふれている。近所の携帯ショップに行けば、20~30種類のスマートフォンが目に飛び込んでくる。米Appleの「iPhone」や韓国サムスン電子の「GALAXY NEXUS」といったハイエンドの端末もあれば、米GoogleのAndroid搭載端末や米MicrosoftのWindows Phone搭載端末の低価格モデル、カナダResearch In Motionの「BlackBerry Curve」といったローエンド端末もある。タブレットも、ユーザーを魅了しようとしのぎを削っている。
従来のIT管理といえば、Active Directoryを使ってWindows端末を管理するなど、1つの手段だけでシステムを管理してきた。しかし、さまざまな端末とOSが存在し、同じOSであってもバージョン間で違いがある現在、それは不可能だ。
モバイルOSのバリエーション
Androidは、携帯通信事業者がそれぞれ独自のスケジュールでアップデートを提供するため、OSのバリエーションは最も多いといわれている。最新バージョンはAndroid 4.0(コードネーム:Ice Cream Sandwich)だが、旧バージョンからのアップデートがなかなか提供されずにいる。現在市場に出ているAndroid搭載端末の半数以上は、いまだにAndroid 2.3(コードネーム: Gingerbread)のままである。
BlackBerryにも多少バリエーションはあるが、IT担当者が、「BlackBerry Enterprise Server(BES)」を使ってアップデートを適用することで、会社の全ての端末を同じバージョンに統一できる。Windows Phoneは登場して日が浅く、OSバージョンのバリエーションに関して今のところ深刻な問題はないが、Androidと同様に通信事業者がアップデートを配布することになる。
Appleの端末については、OSのバリエーションは比較的少ない。OSのアップデートを配布するのはAppleだけだからだ。
モバイルOSの多様化が管理に与える影響
ユーザーの嗜好にも、キャリアによるアップデートにもばらつきがあるため、恐らく全社レベルで使用するモバイルOSのバージョンを統一することはできないだろう。それでも、モバイルOSの特定バージョンのサポート期間を制限するポリシーを設けることはできる。例えば、3年間のサポート期間なら、ほとんどのスマートフォンにとって現実的な期間だ。米国の通信事業者が用意するプランは、通常2年契約が前提となっているためである。
また、最もよく使われるモバイルアプリケーションを基に、サポート範囲を決めなければならない場合もある。一部のエンタープライズアプリケーションは、対応バージョンが幅広い。例えば、米Citrix Systemsの「Citrix Receiver」は、Android 1.5以上に対応している。多くのAndroid向けビジネスアプリケーションは、OSのバージョン要件を2.2以上にしているが、大半のユーザーはこれで問題はない。
Android向けのカスタムアプリケーションを開発する場合は、端末の画面サイズに注意しよう。ユーザーのほとんどが3.5または4インチの画面を使っている場合に、5インチの画面に合わせたコーディングをするような事態は避けたい。
アプリケーションがOS固有の機能を使用する場合は、サポートする全てのOSバージョンでその機能が問題なく動作することをテスト、確認すべきだ。例えば、VPN接続は、異なるプラットフォームやバージョン間の互換性がないため、トラブルシューティングは難しくなる。モバイル端末でログを取ることは容易ではないため、問題の追跡には別の方法を見つけなければならない。
証明書の配布方法もプラットフォームによって異なるため、OSごとに配布方法を把握しておく必要がある(手動で対応することが多い)。暗号化もOSによってばらつきがある機能の1つだ。ほとんどのモバイル端末にはネイティブの暗号化機能がないため、サードパーティー製アプリケーションが必要になる。これは、通常、特定の端末にのみ対応するアプリケーションか、フォルダとファイルを暗号化するアプリケーションになる。
ほとんどのIT担当者は、全ての端末を対象とする一元的なポリシーに基づく管理戦略を立てようとするだろう。幸い、多くの組織では、Android 2.2以上、iOS 3.0以上、Windows Phoneの全バージョンに対応する「Microsoft Exchange ActiveSync」を使ってポリシーを適用できる(ActiveSyncの活用事例は「【事例】コニカミノルタの私物iPhone/iPad解禁を促したセキュリティ対策」を参照)。BlackBerry端末はBESを使って管理する必要がある。
モバイルOSの多様化がアプリケーションに与える影響
アプリケーションの配布を計画する場合は、さらに複雑だ。iOSの場合は、アプリケーションストア「App Store」からアプリケーションを配布するための法人向け機能を用意している。Androidの場合は、「Google Play」を使ってアプリケーションを配布するか、エンタープライズアプリケーションストアを構築してカスタムアプリケーションをプライベートで公開できる。Windows Phoneの場合は、専用の配布プログラムを使ってアプリケーションをプライベートで配布したり、リンクを使ってアクセス先を通知したりできる。
上記のアプリケーション配布技術が採用する配布方法はそれぞれ異なるが、モバイル端末が多様であるが故に、このプロセスはさらに細分化される。例えば、米Amazonの「Kindle Fire」は、技術的にはAndroid端末であるにもかかわらず、「Amazon Appstore for Android」しか使えない。IT管理部門が選んだアプリケーション配布プログラムを端末がサポートしていなければ、一部のユーザーは門前払いされることになる。
モバイル端末管理(MDM)のスイート製品を導入して、データと端末を管理する手間を最小限にすることもできるが、それでも手動での設定が必要な領域は残される。どの端末や機能、OSバージョンをサポートするかは、IT担当者が指定しなければならない。
端末がユーザーの私物であることも考えられるが、システムを管理するのはIT担当者だ。従業員がスマートフォンを所有していても、それを会社のIT部門が自動的にサポートするわけではない。端末の柔軟な使用を認めるにしても、従業員の端末はITインフラの規則と要件に従って運用されなければならない。
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