業務アプリは優勢、焦点は管理方法と価格
SurfaceがiPadに勝つための2つの条件
「打倒iPad」を目指し、米Microsoftが満を持して放つタブレット「Surface」。業務用タブレットのスタンダードとしての地位をiPadから奪うために、Surfaceが満たすべき条件とは?
米Microsoftの新しいタブレット端末「Surface」。Microsoftが自社で開発・販売し、Windows 8搭載モデルとWindows RT(ARM版のWindows 8)搭載モデルの2種類で展開されることが明らかになっている。だがエンタープライズ市場での運命を握る2大要素である、管理方法と価格については公表されていない。
エンタープライズ市場では、米Appleのタブレット「iPad」がコンシューマー向けタブレットでありながら既に熱い注目を浴びている。Microsoftは、Surfaceを武器にこのiPadのシェアに食い込む腹づもりだ。
米Gartnerのリサーチディレクターであるグンナー・バーガー氏は、物理キーボードの装備、スタイラス(ペン型入力装置)への対応、Microsoft OfficeやMicrosoft OutlookなどのMicrosoftソフトウェアの搭載など、Surfaceは企業ユーザーを意識した作りになっていると指摘する。
「(iPadは)企業ユーザーを対象に設計されていない。あくまでもコンシューマー向けのデザインだ」とバーガー氏は話す。
Surfaceの管理方法や価格は?
Microsoftは2012年6月18日(現地時間)、Surfaceを発表したが、IT管理の方法など幾つかの重要な情報は公表しなかった。それもあって、IT担当者の間では早くも懸念の声が上がっている。なぜなら、ARMチップ搭載端末向けの新しいOSである「Windows RT」は、従来のWindows PC管理に使われてきたドメインに参加できない(Windows RTのドメイン参加については「Windows 8タブレットが成功しない2つの理由」を参照)。既にiPadをサポートしている企業にWindows RT搭載のSurfaceを導入するとなれば、また別の管理手段が必要になる。
「タブレットの管理に3種類ものツールを使うのはどうかと思う」。米製薬会社のSanofiでモバイルエンジニアリング担当ディレクターを務めるブライアン・カッツ氏は、Surfaceの発表と同じ週に米ボストンで開催されたパネルディスカッションで疑問を呈した。
カッツ氏は、「Surfaceが既存の管理ツールで容易に統合管理できるのなら、企業は導入に踏み切るかもしれない」と話す。また、同じくこのパネルディスカッションでパネリストを務めた、米Nikeのグローバルインフラストラクチャ担当であるアート・キング氏は、「Surfaceが既存のツールで管理できないとすると、従業員がSurfaceを持ち込んだ場合、IT管理者はSurfaceの利用を制限するだろう。そのため、従業員の利便性が損なわれる可能性がある」と指摘する。
キング氏によると、「IT担当者は、可能であれば何でも厳格にコントロールしようとする」と話す。
企業がSurfaceを導入するかどうかを左右するもう1つの要素は、価格だ。Microsoftは正確な価格を発表していないが、Windows RT搭載モデルはiPad(499ドル~)と同程度、Windows 8 Pro搭載モデルはUltrabook(最高で1000ドル)と同程度の価格になるという。
米ITコンサルティング会社J. Gold Associatesの主席アナリストであるジャック・ゴールド氏は、「(Surfaceの価格は)高くなる」と見ている。
業務アプリの充実度がSurfaceの武器に
Microsoftのエンタープライズソフトウェアは、SurfaceにとってiPadに勝る強みだ。iPadにはネイティブのMicrosoft Officeアプリケーションがないし、メールクライアントはMicrosoft Outlookほど充実していない。MicrosoftはWindows搭載端末向けの「Office 2013(開発コード名:Office 15)」をリリースする予定だ。
バーガー氏によると、iPadのメールクライアントは、現時点ではサブフォルダに保存されているメールにアクセスできない。「これでは、エンタープライズ対応だと見なすことはできない」とバーガー氏は言う。
それでもiPadの使いやすさには、そうそう太刀打ちできない。だがゴールド氏は、Windows 8やWindows RTの機能を効果的にアピールできれば、Surfaceにも勝ち目はあると話す。
「(企業で使うタブレットは)iPadでなくてもよいのだから」(ゴールド氏)ということだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
ネットワールド、ICカード認証対応のシンクライアント構築アプライアンスを販売
-
10
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー