大手ベンダーのシステムと比べても約10分の1のコスト
高価なSSDの採用でもストレージコストを削減できる理由
ソリッドステートドライブは価格が導入の障害になっていると考えられているが、特定用途でフラッシュドライブシステムを利用することによってコスト削減を実現している企業もある。
高価なソリッドステートストレージが、企業システムのコスト削減に役立つ? これは特に、SSD(ソリッドステートドライブ)のメリットを低価格で提供することを狙った最新のストレージシステムの場合に当てはまる。米コルビーソーヤー大学では、VDI(仮想デスクトップインフラ)に米NexGenのハイブリッド型SSDアレイを採用することにより、従来型のディスクストレージと比べると3分の1程度の出費で済んだ。一方、米Aerospace Opticsは、米Nimbus DataのオールSSD型アレイ「S-Class」を購入した。その費用は大手ベンダーのハイブリッド型アレイと比べると約10分の1だったという(関連記事:仮想デスクトップインフラにSSDが有効な理由)。
600個の仮想デスクトップをサポートするパワーがある
コルビーソーヤー大学でアシスタントITディレクターを務めるデビッド・ブレイズデル氏によると、同大学で導入したストレージシステム「NexGen n5」により、デスクトップ1個当たり28ドルのVDIストレージを配備できる見込みだという。この数字は、1台のストレージシステムで600個の仮想デスクトップをサポートするという前提に基づいた予測だ。現在、同大学で運用している仮想デスクトップの数はその3分の1以下だが、「テストの結果、SSDベースのNexGenシステムは600個の仮想デスクトップをサポートするパワーがあることが分かった」とブレイズデル氏は話す。
コルビーソーヤー大学のデスクトップ仮想化プロジェクトの第1フェーズでは、200個の仮想デスクトップが配備される。同大学は300個のVMware Viewライセンスを取得しており、ブレイズデル氏によると、最終目標の半分に相当する300個の仮想デスクトップを収容するサーバハードウェアを用意したという。
「300個の仮想デスクトップに対して十分過ぎるくらいのパフォーマンスを確保した。目標とする600~700個の仮想デスクトップに対応した容量とパフォーマンスを1台のストレージユニットだけで提供できそうだ」とブレイズデル氏は話す。「新規デスクトップを生成したときのピークI/Oは4000 IOPS(1秒間当たりのI/O数)だ。しかしIometerとWindows 7を使ったテストでは、2万5000 IOPSまで対応できることが分かった。1台のストレージシステムで600個の仮想デスクトップに対応できれば十分に満足だ。現時点の数字から判断する限り、これは達成可能だと思われる」
ブレイズデル氏によると、VDIのストレージで最大の障害になっていたのがストレージのパフォーマンスだという。「テラバイトクラスの巨大なストレージ容量は必要ではなかったが、優れたパフォーマンスの必要性はあると予想していた」と同氏は語る。
コルビーソーヤー大学のメインストレージは、米Hewlett-Packard(HP)のSANシステム「LeftHand」である。ブレイズデル氏によると、VDIプロジェクトの第1フェーズの実施に当たってはHP製ストレージを追加することも検討したが、「その場合、1年後には規模拡張に伴ってストレージをさらに追加する必要が出てくる。このため、高パフォーマンスを提供できる次世代ストレージのベンダーを探し始めた」と同氏は説明する。
ブレイズデル氏は、フラッシュストレージが必要だという認識に至った。NexGenのハイブリッドシステムは、米Fusion-ioのSSDであるioDriveをHDDと組み合わせたものだ。同氏は、NexGenの開発チームのメンバーとは、彼らが米LeftHandに在籍していたころから知り合いだったこともあり、1.28TバイトのSSDと22TバイトのHDDを組み合わせた「n5-100」システムをテスト用として借り受けた。そして約1カ月後の2012年5月に、このシステムを購入した。
「従来型のHDDを使うという前提で、600個の仮想デスクトップに対応するのに必要なストレージ製品を最初から購入するとしたら、予算の3倍の金額を支出することになっただろう」とブレイズデル氏は話す。「その場合、第1フェーズでは200個のデスクトップに対応できるだけの製品を購入し、その後、パフォーマンスのニーズに応じて製品を追加する必要があっただろう」
同大学ではNexGenのシステムはVDI専用として使われているが、「非同期レプリケーション機能に対応した製品がNexGenから登場したら、ディザスタリカバリ用に同社のシステムを追加するかもしれない」とブレイズデル氏は話す。将来的には、パフォーマンス要求が高いSQL ServerなどのアプリケーションでもNexGenのシステムを利用する可能性が高いという。
オールSSDアレイでSQLデータベースが高速化
Aerospace Opticsで情報システムを担当するマイケル・ペリー副社長によると、Nimbusはメインストリームストレージベンダーの製品に代わる低価格の選択肢を提供しているという。
同氏がNimbusに注目する前は、米EMCのハイブリッド型アレイである「VNX」の購入を検討していた。搭載するSSDの容量は0.5Tバイト弱であるが、価格はNimbusのオールSSD型アレイであるS-Classの10倍以上だった。もう1つの選択肢として、パフォーマンスが不十分な米NetAppのFAS2020アレイにフラッシュドライブを追加するという方法もあったが、2Tバイトのフラッシュドライブを追加するだけで10万ドルの費用が掛かることが分かった。
「われわれは小さな企業だ。社長のところに行って“既に4万ドル支出したが、投資に見合った効果が得られていない。そんなわけで、あと10万ドル支出する必要がある”などとはいえない」とペリー氏は話す。「EMCの場合、0.5Tバイト弱の容量で約6万4000ドルという価格設定だ。Nimbusのシステムだと、2.5Tバイトで3万7500ドルだ。容量で比較すれば、EMCのボックス1台分の価格でNimbusシステムを10台買えることになる」
ペリー氏は2011年11月に、Aerospace社内のできるだけ多くのサーバを仮想化するプロジェクトの一環としてオールSSDアレイの検討を開始した。2012年4月の展示会でNimbusの幹部から話を聞き、その後、さらに調査を行った結果、同社の製品の採用を決めたという。「展示会の後、当社のコンサルタントがNimbusのCEOと電話で同社のアーキテクチャについて話をした。われわれの質問は“一から開発した本格的なSANなのか、それとも多数のドライブを内蔵したPCベースのシステムなのか”ということだ」とペリー氏は語る。
S-Classが本格的なSANであることに満足したペリー氏は、Aerospace Opticsで頻繁にアクセスするERPアプリケーションのストレージ用としてNimbusのシステムを導入した。このアプリケーションは、大規模なSQL Serverデータベースを使用する。同氏によると、このフラッシュアレイにより、SQLのバックアップ時間が18分から3分に短縮されたという。
ペリー氏によると、同社のユーザーはフラッシュドライブに大満足しているらしい。NetAppのFAS2020ディスクシステムはバックアップ用として使っており、そのうち1台はコロケーションサイトに配備し、サイト外でサーバイメージを移動するのにはSnapMirrorを利用している。
「時速150マイルの魅力を知ったバイクライダーのような心境だ。もう時速55マイルの世界には戻れない」とペリー氏は話す。「SSDの速度と応答性を手に入れてしまったら、引き返す気にはなれない。ユーザーはアプリケーションが素早く立ち上がり、俊敏に反応するシステムを必要としている」
ペリー氏によると、研修リポートや動画などの高解像度コンテンツを利用するのにERPサーバにアクセスする製造部門の従業員は24人いるという。「システムの応答が良くなければ、24人の従業員を毎分5秒待たせることになる。こんな状態が続けば遠からず、生産性の損失が1年間で10万ドルに達してしまう」と同氏は話す。
ペリー氏は、近いうちに2台目のS-Classシステムを追加する方針だ。「ITの世界では“帯域幅は広ければ広い方がいい、ディスプレーとストレージは大きければ大きい方がいい”という格言がある。ストレージはすぐに満杯になる」(同氏)
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