米国IT職種の2012年平均給与を明らかに
最も高給なのは業務アプリ担当副社長、では最低は? ――IT給与調査
北米2000人以上を対象にしたIT職種の給与調査結果。企業の規模に加えて、どのような仕事で企業にどう貢献しているかによって、その平均給与は大きく異なってくる。
IT産業においては、大企業の懐から大金が出てくることに驚きはない。最新の給与統計を取るために行われた「TechTarget IT給与調査2012」から、大企業の上級IT管理職とITスタッフ、また最高技術責任者(CTO)と最高情報責任者(CIO)の平均給与の間には、大きな開きがあることが明らかになった。
上級IT管理職の平均給与は10万4589ドル
同調査は、米TechTargetの各サイトの読者を対象に実施され、北米のIT専門職2277人から回答を得た。そのうちの778人は副社長(VP)またはCIOの肩書を持つか、上級役員クラス(以下「Cレベルエグゼクティブ」)直属の上級IT管理職である。回答者のIT専門分野は40種類にわたり、全米50州、カナダ、メキシコに在住する。
それぞれの職種の給与(年俸)の平均値は、IT組織において回答者が果たす役割に直結している。上級IT管理職(VP、CIO、あるいはCレベルエグゼクティブに直属)の地位にある回答者の給与は、配下の専門職より平均15%ほど高かった。全体的に見ると、上級IT管理職の平均給与は10万4589ドルで、ITスタッフや専門職の平均は8万8763ドルだった。こうした傾向は従業員1000人以下の企業においても変わらないが、大企業に限ると、上級IT管理職の給与は配下のスタッフより平均25%ほど高かった。
一般的に、企業規模は給与水準を決定する要因の1つである。比較的小さな会社の専門職の平均給与は、大企業の専門職のそれより低い。今回の調査でも、従業員100人以下の組織の上級IT管理職の給与は、従業員1000人以上の大企業のITスタッフや専門職の給与より低いことを示している。中小企業に勤める上級IT管理職の平均給与は9万2303ドルであるのに対し、大企業の一般的なITスタッフの平均給与は9万3165ドルだった。
最も給与が高いのは業務アプリケーション担当副社長
今回の給与調査で、給与の平均値が最も高かった肩書は「業務アプリケーション担当EVP/SVP/VP」だった。自分自身を業務アプリケーション担当の執行副社長(EVP)、上級副社長(SVP)、副社長(VP)に分類した回答者の平均給与は、16万7900ドルだった。個別の年俸水準では、5万6000ドルから30万ドルまで大きなばらつきがあった。
ところで、最高技術責任者(CTO)と最高情報責任者(CIO)の違いについて考えたことはあるだろうか。実際、その違いは真ん中のイニシャル(“T”と“I”)以上のものがある。自分自身をCTOに分類した回答者の平均年俸は15万5625ドルで、基本給は8万ドルから27万5000ドルまで広範囲に及んだ。一方、CIOの給与の平均は、CTOより3万ドルほど低く、基本給も4万5000ドルから36万ドルと、ばらつきはさらに大きかった。
全般的に、CTOは比較的高い給与を得ている。CTOの85%は年間11万ドル以上稼いでいるが、同等の収入を得ているCIOは58%にとどまる。ただし、大企業のCIOの給与水準は比較的高い傾向にあり(平均16万4750ドル)、CTO全体の平均よりも高かった。もっとも大企業のCTOの給与は、それらよりさらに高い水準(23万1667ドル)にある。
「CIOの“適正”な給与は、組織の規模、複雑さ、そして自身の交渉スキルによって決まる。CIOは組織運営の全てに関与しており、経営者と同等の報酬を得るべきだと感じている」と語るのは、米サンタクルーズ郡銀行のCTO、ジェイミー・マンリクイズ氏だ。
回答で給与の平均値が最も低かったのは、ITスタッフとネットワークマネジャー/ネットワークアドミニストレーターだ。このカテゴリーに属する人々の平均給与は、それぞれ7万2717ドルと7万3934ドルだが、従業員100人以下の組織になると、このカテゴリーの人々の給与水準は調査対象グループの中で最も低かった(ITスタッフが4万7787ドル、ネットワークマネジャーが5万5486ドル)。
| 役職・職種 | 大企業 | 中間規模の企業 | 中小企業 | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| アナリスト(社内) | 7万9445ドル | 7万1480ドル | 7万5708ドル | 7万6747ドル |
| アーキテクト(技術を問わず) | 12万2419ドル | 11万3248ドル | 10万5615ドル | 11万9279ドル |
| CIO | 16万4750ドル | 13万9866ドル | 8万5600ドル | 12万6827ドル |
| CSO/CISO | 11万382ドル | 8万3086ドル | 12万8333ドル | 10万6445ドル |
| CTO | 23万1667ドル | 13万7750ドル | 14万4636ドル | 15万5625ドル |
| データセンターマネジャー/アーキテクト | 11万7458ドル | 11万2000ドル | 7万9000ドル | 10万3607ドル |
| データベースアドミニストレーター | 9万4688ドル | 8万6465ドル | 6万8500ドル | 9万1523ドル |
| デベロッパー | 9万3935 | 8万3164ドル | 8万2619ドル | 8万8004ドル |
| 業務アプリケーション担当ディレクター | 1万30479ドル | 11万0444ドル | 11万200ドル | 11万9491ドル |
| IS/MIS/IT担当ディレクター | 13万5852ドル | 9万7478ドル | 11万7422ドル | 11万7625ドル |
| 業務アプリケーション担当EVP/SVP/VP | 19万3833ドル | 16万2000ドル | 11万8000ドル | 16万7900ドル |
| IS/MIS/IT担当EVP/SVP/VP | 14万8444ドル | 14万8818ドル | 10万9778ドル | 14万1582ドル |
| ITマネジャー | 10万9538ドル | 8万2519ドル | 7万8568ドル | 9万3640ドル |
| ITスタッフ | 7万7985ドル | 6万7893ドル | 4万7787ドル | 7万2717ドル |
| ネットワークマネジャー/アドミニストレーター/エンジニア | 8万2327ドル | 7万1520ドル | 5万5486ドル | 7万3934ドル |
| プログラマー/デベロッパー | 9万5073ドル | 8万1838ドル | 8万525ドル | 8万8149ドル |
| プロジェクトマネジャー | 10万8403ドル | 9万3567ドル | 9万3735ドル | 10万2912ドル |
| リスクマネジャー/コンプライアンス/個人情報管理責任者 | 10万279ドル | 12万5500ドル | 17万3143ドル | 11万7281ドル |
| セキュリティマネジャー | 10万9195ドル | 9万3743ドル | 10万2912ドル | 10万4287ドル |
| システムマネジャー/アドミニストレーター | 8万1962ドル | 7万5987ドル | 6万1970ドル | 7万7226ドル |
| テレコムマネジャー | 8万1962ドル | 7万5987ドル | 6万1970ドル | 7万9700ドル |
半数以上の回答者が2.0~4.9%の昇給
2012年が前触れであったとすれば、2013年にかけての平均昇給率は穏やかなものとなりそうだ。今回の調査では、半数を大きく超える回答者(61%)が年率で2.0~4.9%の昇給を得たとしているが、10%ほどの回答者は0.01~1.9%の昇給にとどまったという。昇給率が0.01~1.9%と報告した回答者数は、過去3年間の調査で徐々に増えている(2010年は全体の7.2%だった)が、7%以上とする回答者もまた増えた。2010年には、昇給率7%以上とした回答者は全体の12.4%だった。2011年になると、その割合は15.7%になり、2012年には全体の5分の1が昇給率7%以上と回答している。
| 平均昇給率 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
|---|---|---|---|
| 0.01~1.9% | 7.2% | 7.5% | 10.0% |
| 2.0~4.9% | 65.3% | 62.9% | 61.3% |
| 5.0~6.9% | 15.2% | 13.9% | 9.8% |
| 7.0~9.9% | 3.7% | 5.1% | 4.3% |
| 10~14.9% | 4.9% | 4.4% | 7.1% |
| 15~19.9% | 0.9% | 2.4% | 3.2% |
| 20~49.9% | 2.6% | 2.9% | 3.6% |
| 50~99% | 0.0% | 0.7% | 0.7% |
| 100%以上 | 0.2% | 0.2% | 0.0% |
給与上昇は半数以上、今後に楽観的な見方も
「TechTarget IT給与調査2012」から明らかになった点を以下にまとめてみる。
- 回答者の多く(47%)は、現在の役職に就いて1~5年。またおよそ4分の1は、6~10年にわたって現職にある。平均在職年数は10年以下ではあるが、大多数の回答者はIT分野での職務経歴が20年以上(42%)あるいは21年以上(36%)に及ぶ。
- 回答者全体の5分の1が現在の役職に満足しているが、およそ半数(47%)は今後3~5年以内に、ITまたは他の分野で昇進することを目指している。ただし、現在の組織から離れることを検討している回答者は17%にとどまった。
- 大きな会社で働くITスタッフほど、リクルーターとの接触が多い傾向にある。大企業に所属する回答者の70%以上は、エグゼクティブ専門のヘッドハンターからのアプローチを受けたことがあるとしている。一方、従業員100人以下の企業で働く回答者の場合、その割合は57%だった。
- 回答者のおよそ半数(57%)は、2011年と比較して、報酬は改善または上昇したとしているが、17%は下降またはネガティブな見方をしている。これは2011年の調査結果とほぼ同様だ。2011年の調査では、56%の回答者が2010年と比較して好ましい傾向にあると回答した。
- 景気後退がいまだIT部門に大きな影響を及ぼしていることはさまざまな指標からも明らかだが、41%の回答者は楽観的で、自身が所属するIT部門はさらに拡大を続け、積極的に雇用を進めていくとしている。一方で、回答者のおよそ3分の1(30%)は自身の所属するIT部門は規模が縮小している、あるいは採用を凍結していると答えた。また回答者の1%は、現在は人員が不足しているにもかかわらず、採用を進められない状況だという。
TechTargetでは今回初めてサイト横断的に給与調査を実施した。今後も詳細にこの結果を分析する予定だ。企業規模、業種、性別、IT技能、その他の要因によって、2013年以降の給与がどのように影響を受けるのかを、さまざまな角度から検討したい。
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