セキュリティ上の新たなリスクか
「Facebook Home」が巻き起こすやっかいな問題を予測する
Android端末をさらにソーシャルにしようとする「Facebook Home」。社員の私物端末のセキュリティに気を揉むIT担当者にとっては、やっかいな問題がまた1つ増えたといえる。
「Facebook Home」はAndroid OS対応の新しいランチャーアプリケーションだ。ユーザーの端末上のOSとアプリケーションの間に統合レイヤーを追加し、Facebookと密接に連携した機能を提供する。
英独立系アナリスト企業Theologyの創業者、テオ・プリーストリー氏は、Facebook Homeでは、共有や「いいね!」、投稿などのパーソナルソーシャル機能が端末の基本操作に深く組み込まれるため、BYOD(私物端末の業務利用)を認めている企業では、データセキュリティの確保が難しくなるのではないかと危惧する。
「問題の本質は、Facebookがユーザーから収集する大量のデータにある」と話すのは、法人向けコンサルティングを提供する米LLBCのローレンス・ラーナー氏だ。
ラーナー氏は、「Facebookは31種類のデータをトラッキングしている。写真や『いいね!』、物理的な位置情報、他の人とのつながりやコミュニケーションなどあらゆるものを追っている。その結果生まれたソーシャルグラフはユーザーのプライバシーを代弁するものになり、ほとんど誰もが広告やマーケティング目的で利用できる」とコメントする。
ラーナー氏は、2012年夏の米Microsoftによる「Yammer」の買収話が、社員のTwitterへの投稿から意図せず明るみに出てしまったことを引き合いに出し、Facebookがモバイル端末に深く統合されて、競合相手がFacebookのソーシャルグラフのデータポイントをたどっていくようなことをすれば、同様の問題が起きる可能性があると指摘する。
「これは誰もがアクセスできる情報庫になる。電話を使うだけでビジネス戦略が漏れる可能性もある。しかし、企業は特定の情報について秘密にしておきたいものだ」とラーナー氏は述べる。
Facebook Homeを禁止すべきか
プリーストリー氏によると、モバイルOSとソーシャルネットワークとの深い連携は、Facebookに限らないという。米Jive Softwareの「Jive」、米TIBCO Softwareの「Tibbr」、さらには米Salesforce.comの「Chatter」など、他の法人向けソーシャルネットワークベンダーがFacebookと同様にAndroidのスキンを改造して見た目を変えてしまっても何の不思議もない。また、MicrosoftがWindows PhoneプラットフォームでYammerを同じように利用する可能性もある。
データセキュリティの問題があることを考慮し、企業のIT部門はFacebook Homeを直ちに禁止アプリの1つにするべきだとの声もある。
プリーストリー氏は「Facebook Homeについての情報がもっと出てくるまで、BYODポリシーの中でFacebook Homeの利用を全面的に禁止する必要があるかもしれない」とコメントする。ソーシャル機能や共有機能が事実上OSに組み込まれている場合、何かしらの禁止措置を取らなければ、BYOD環境では端末および企業データの管理が非常に難しくなるためだ。
「IT部門が企業向けモバイル管理ツールを採用していたとしても、組織のデータのセキュリティを確保することは難しい」とプリーストリー氏は言う。
「MAM(モバイルアプリケーション管理)またはMDM(モバイルデバイス管理)などのソリューションを使っても、コントロールは難しいだろう。権限が厳しく制約される、または端末のコア機能が制限されたら、多くのユーザーがBYOD制度を利用しなくなることも考えられる」(プリーストリー氏)
IT部門にとっては管理が難しいプラットフォームであるAndroid端末に、FacebookモバイルとFacebookメッセンジャーアプリの最新版が既にインストールされていれば、誰でも無料でFacebook Homeアプリケーションをインストールできる。Google PlayストアへのリンクからHomeをインストールするためのオプションが表示されるからだ。
Facebookは、Homeを同社のモバイル戦略の次の進化段階と位置付けているが、他のモバイルプラットフォームにも移植するかどうかは明らかにしていない。
Facebook Homeは、2013年4月12日(米国時間)からまず一部のAndroidモバイル端末でダウンロードできるようになり、その後数カ月以内にAndroidタブレット版が提供される予定だ。
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