標準規格対応はBlackBerryのみ
iOS、Androidなど主要OSを比較、データ保護に強いのは?
モバイル端末と保有データの暗号化は、総合的なモバイルセキュリティ対策に重要な要素である。機密性の高いデータを保護するには暗号化機能を実装することが不可欠だ。主要な4つのモバイルOSの機能を比較した。
今日、モバイル端末は企業の中ではありふれた存在となっている。IT担当者および企業幹部にとって心配なのは、端末の紛失や盗難によって機密データが流出する恐れがあることだ。モバイル端末および端末用OSの多くは、普及当初はセキュリティのサポートがおざなりだったが、プラットフォームが成熟するのに伴い、データおよび端末の暗号化機能が充実してきた。
データ漏えいを防止する上で鍵となる対策は、データを暗号化することで機密性の高い企業情報を外部に持ち出せないようにすることだ。暗号化技術を利用すれば、IT管理者がリモートからデータを安全に破壊することも可能だ。しかし、データと端末の暗号化の実装形態はモバイルOSによって大きな違いがあるため、モバイル端末を管理する担当者は各OSに搭載されている暗号化機能を把握する必要がある。ここからは、主要な4つのモバイルOSの暗号化機能を紹介する。
Apple「iOS 6」
iOSアプリケーションは互いにサンドボックス化されている。すなわち、端末上で各アプリケーションがデータを共有することはない。だが「iCloud」などのクラウドベースのサービスをユーザーが利用すれば、アプリ間の連係は可能だ。
Appleの暗号化機能「Data Protection」は、全てのファイルを重要度に応じて分類する。最もセキュリティレベルが高い「Complete Protection」クラスでは、各端末に固有のハードウェアコードと設定されたパスコードから生成される鍵を使って暗号化が行われる。端末がロックされると、同クラスのファイルの復号鍵が10秒以内に廃棄される。端末内蔵のiOSメールアプリケーションは、全ての電子メールと添付ファイルにComplete Protectionを適用する。
その他の暗号化クラスではセキュリティのレベルが段階的に低くなり、Data Protectionが有効になっていても、ファイルの暗号化にセキュアなクラスを使うかどうかはアプリケーション開発者に任されている。例えば、開発者が「No Protection」クラスを選択した場合は、セキュリティが非常に弱くなる。その端末を入手しさえすれば、誰でもファイルを復号する鍵を手に入れることができるのだ。
加えて、重要なデータのセキュリティには、Mac OS Xベースのコンピュータのユーザーにはなじみがある「Apple Keychain」というキーチェーン技術が使われている。キーチェーンに保存されるのは主として、キャッシュされたパスワードや各種のセキュリティトークンなどの小さなデータだ。キーチェーンのデータは「SQLite」という暗号化された小型のデータベースに保存される。
Google「Android 4.2(Jelly Bean)」
Androidはカーネルレベルのアプリケーションサンドボックスの中でアプリケーションを実行する。Androidのベースとなっているのは、Linuxカーネルだ。全てのアプリケーションは独立したユーザーとして動作する。Linuxでは、明示的に許可が与えられていない限り、ユーザーは他のユーザーのファイルにアクセスできない。このため、開発者がファイル共有を許可していない限り、アプリケーションは他のアプリケーションとファイルを共有することができない。iOSとは異なり、Androidにおけるファイル共有はアプリケーションベンダーに依存しない。
端末の暗号化を有効にすると、ファイルシステム全体が保護される。だが暗号化を有効にしても、他のファイルシステムが保護されるわけではない。Android端末の中にはmicroSDカードを利用する製品もあり、そのファイルシステムは別途保護する必要がある。また、microSDカードを他の端末で利用するのは難しい。両方の端末で同じ復号鍵が必要になるからだ。
「Android 4.0」(コードネーム:Ice Cream Sandwich)以降では、iOSに搭載されているものと同様の機能を提供するキーチェーンが利用できるようになった。
Microsoft「Windows Phone 8」
「Windows Phone 8(WP8)」は「Unified Extensible Firmware Interface(UEFI)」機能によってセキュアブートを実現しており、これによりルートキットや不正なシステムイメージがロードされるのを防止する。
WP8用アプリケーションは、サンドボックスとよく似た隔離されたスペース(チャンバー)の中で動作する。チャンバーはアプリケーションとそのデータを切り離すが、iOSやAndroidのサンドボックスと異なるのは、クラウド上のアプリケーション間だけでデータを共有し、端末上ではデータを共有しないという点だ。
端末のパスコードにアクセスする機能を管理者が無効にしていなければ、ユーザーでもパスコードをオン/オフできる。Windows Phoneのパスコードセキュリティはストレージの暗号化には適用されない。管理者がパスコードでWindows Phoneをセキュアにしても、ストレージは暗号化されないのだ。またストレージの暗号化機能を有効にしても、暗号化されるのは端末内蔵のストレージだけである。
Windows Phone端末でもSDカードを使用できる。SDカードは暗号化されないが、従業員がSDカードを使えないように設定することは可能だ。
また、内蔵ストレージの暗号化を有効にしなくても、パスコード機能を有効にできる。内蔵ストレージの暗号化は、ストレージシステム全体とBitLockerの保護機能にも影響する。WP8は内蔵の「Trusted Platform Module(TPM)」に暗号化鍵を保存する。これはWindowsベースのPCとよく似たアーキテクチャである。
WP8はWindowsのInformation Rights Management(IRM)による分類をサポートする。例えば、IRMによって機密データとして分類されると、そのデータが電子メールで流出したり、外部ストレージに保存されたりするのが防止される。
「BlackBerry 10」
カナダのBlackBerry(旧RIM)の「BlackBerry 10(BB10)」は、スマートフォンおよびタブレット用の最新OSである。BB10で導入された「BlackBerry Balance」では、個人用環境と業務用環境をデバイス上で分離することができる。この機能は論理的なセキュリティフェンスを作ることにより、個人用のアプリケーション、ファイル、ネットワークを業務用のアプリケーション、ファイル、ネットワークから切り離す。業務用の「Work Space」のデータは全て暗号化される。個人用の「Personal Space」も完全に暗号化できる(関連記事:iPhone、Android、BlackBerry導入企業が評価するモバイル端末管理(MDM)とは?)。
Work SpaceのデータはSDカードやPersonal Spaceに保存できないようになっている。SDカードを暗号化することも可能だ。BlackBerryの本格的なエンタープライズモバイル管理システム「BlackBerry Enterprise Service 10」では、データ漏えい管理を改善するためのポリシーを適用できる。
現時点でBlackBerryは、セキュリティに関する標準である「FIPS 140-2」(FIPS:米連邦情報処理規格)に対応した唯一のモバイルOSである。
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