クラウド時代の開発製品紹介:キヤノンソフトウェア編
オンプレミスや異種クラウド間でも稼働、アプリ開発基盤「Web Aviator」の中身
マルチデバイスに対応したWebアプリケーションを、クラウド上で簡単・スピーディに開発するためのツール「Web Aviator」。2013年8月に出たv1.3では、実行環境の稼働先が増え、異種インフラ間でのポータビリティ性を確保した。
簡単、スピーディに、マルチデバイスに対応したWebアプリケーションを簡単、スピーディに開発したいというニーズが増えている。これに応えるのがキヤノンソフトウェアのクラウド開発基盤「Web Aviator」だ。2013年8月6日にはv1.3が登場。これまでのコンセプト「クラウド上のWebアプリケーションはクラウドで開発」からは大きく変わり、クラウド上で開発したアプリケーションが「どこでも(オンプレミスでも)稼働」することをコンセプトに、Webアプリケーションのポータビリティ性を高めた。
製品の概要:
Web Aviatorは、Webアプリケーションの開発・検証・本番稼働を迅速に実現するクラウド開発基盤だ。WebアプリケーションはAmazon Web Services(AWS)上で開発し、AWSをはじめとした各種クラウド、データセンター、オンプレミス環境で稼働させることができる。クラウドベースで開発するためハードウェアを用意する必要がなく、また、独自のGUI開発ツールによってノンプログラミングでアプリケーションを開発・実行できる。このことから、従来のオンプレミス環境での開発よりも工数を削減でき、スピードを速められるなど、開発生産性の向上を図ることができる。
2011年12月7日にv1.0が登場して以来、スマートデバイス対応や、オンプレミスとの連携機能、認証強化、動画連携、帳票サーバ連携など、数々の進化を遂げている。
製品の仕組み:
開発環境であるAWSには、キヤノンソフトウェアが提供するWeb Aviator用の仮想マシンイメージ(AMI:Amazon Machine Image)である「Web Aviator AMI」があらかじめ用意されている。Web Aviator AMIはモジュール構成になっており、「Web Aviatorモジュール」、OS、Webサーバ、データベースなど開発時に必要となる部品が全て含まれている。このAMIを実体化(インスタンス作成)すれば、すぐに開発を始めることができる。
Webアプリケーションの開発・管理はWeb Aviatorモジュールで行う。Web Aviatorモジュールには、ブラウザベースのツールとして、「Web Aviator Editor」(開発ツール)、「Web Aviator Admin」(管理ツール)、「Web Aviator Player」(実行エンジン)の3つが含まれている。
開発の流れ:
GUIで定義する開発フェーズ
AWSのアカウント取得後、AWSにログインしてWeb Aviator AMIを立ち上げる。開発フェーズでは、Web AviatorモジュールのWeb Aviator Editor(開発ツール)を利用して、「フォーム」「ロジック」「データアクセス」の3つを定義する。これでAmazon RDS上に「定義体」が出来上がる。
・ポイント&クリックの「フォーム」
フォームでは、直観的なポイント&クリックで画面を定義する。
・タイルで簡単に定義できる「ロジック」
ロジックでは、業務ロジックを定義する。「ロジックタイル操作パネル」を使って「タイル(※1)」を選択することで、JavaScriptを意識することなく定義できる。
※1 タイル:レコード操作、レコード検索、条件分岐、繰り返しなどの操作をビジュアル化した部品。タイルは自動的にJavaScriptに変換される
・SQL文テスト実行機能を備える「データアクセス」
データアクセスでは、SQLを定義する。SQLを直接記述することで、RDSのデータを操作できる。「SQLテスト実行」によって、記述した結果をすぐに確認することができるので、手戻りが少なく効率的な開発が可能だ。
定義体をデプロイする実行フェーズ
実行(検証/本番)フェーズでは、Web Aviator Admin(管理ツール)のデプロイ画面から定義体をワンクリックで実行(検証/本番)。定義体はWeb Aviator Player(実行エンジン)ですぐに稼働する。その場で単体テストも可能なため、テストの効率化にも役立つ。
主な機能:
画像表示機能
Webブラウザ上のクライアント画面に画像データを表示できる機能を搭載。スマートデバイスでのサムネイル表示なども可能。
ワークフロー機能
ワークフロー機能を搭載し、スマートデバイスを使った外出先からの申請、承認、差し戻し、引き戻し、否決、一時保存などの決裁処理ができる。
他システムとセキュアな双方向連携
Web Aviatorで作ったWebアプリケーションは、署名付きURLやREST形式のWebサービスを使うことで、オンプレミス(例:帳票サーバ)やAWS以外のクラウドのシステムとセキュアでシームレスな連携が可能。Amazon S3へのファイルアップロード/ダウンロードもできる。
認証と連携機能
作成したWebアプリケーションへのアクセスには3つの認証形式を用意。不特定多数向けのWebアプリケーションでログインを必要としない「認証なし」、認証に失敗したユーザーのロックなど独自認証を使ったログインポリシーを組み込むことが可能な「組み込み認証」、シングルサインオンやActive Directoryとの連携が可能な「SAML認証」の3つだ。
マルチブラウザ、マルチデバイスに対応
PC、タブレット端末、スマートフォンと3種類のフォームを定義できる。デバイスを自動判別し自動調整できる。
また、作成したWebアプリケーションは、Chrome、Firefox、Safari、Internet Explorerといったマルチブラウザに対応する。
AWS以外のクラウド、オンプレミスで稼働(v1.3)
AWS上で開発したWebアプリケーションは、AWS上での稼働に加え、他社クラウド環境やオンプレミス環境でも稼働する。その場合は、Web Aviator Admin(管理ツール)から実行環境をダウンロードし、稼働させたいインフラにデプロイする。
また、Web Aviator v1.3では、Linuxベースの実行エンジン上で動く作りにしてあるため、本番環境の稼働ポータビリティを確保している。最初に実行環境の稼働先としてオンプレミスを選択しても、次にAWSやその他のクラウドへの移行が可能だ。
稼働環境は以下の通り。
| OS | Red Hat Enterprise Linux Server 6 CentOS 6 Windows Server 2008 R2(※2) |
|---|---|
| データベース | MySQL 5.5 |
| Webサーバ | Apache 2.2 |
| アプリケーションサーバ | Tomcat 7.0 |
※2 2013年10月提供開始予定
ライセンス:
開発フェーズ用の「Sライセンス」と、検証・本番フェーズ用の「Fライセンス」の種類がある。Sライセンスは最初の3カ月間は無償で提供される。Fライセンスは、10ユーザー当たり年額18万円から。買い取り価格は50ユーザーからで216万円からとなる。
また、AWSの利用料は別途課金される。
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