エンタープライズディスクストレージ製品紹介:イメーション
「高密度」「高信頼性」「省電力」に独自技術でこだわったSAN製品「NEXSAN Eシリーズ」
イメーションは2013年7月、エンタープライズ向けストレージ製品群「NEXSAN」の国内提供を開始。同年1月に買収した米Nexsanのストレージ製品を重要な戦略製品と位置付け、積極的な販売施策を展開している。
Nexsan買収によりエンタープライズストレージ市場に打って出たイメーション
イメーションは、主にCDやDVD、USBメモリといった一般消費者向けデータメディア製品の製造・販売などに関してグローバルでの実績を持つ企業だ。同社がエンタープライズ向けストレージ製品の市場に新たに進出したのは、2013年1月にストレージベンダーの米Nexsanを買収したことに端を発する。
以降、イメーションは旧Nexsanのストレージ製品を同社の重要な戦略製品と位置付け、積極的な販売施策を展開している。同社は2013年7月、エンタープライズ向けストレージ製品群「NEXSAN」の国内提供を開始した。
近年エンタープライズ向けストレージ製品の市場は、ビッグデータのトレンドもあって活況を呈しているが、同時に大小さまざまなベンダーがしのぎを削る、競争が激しい市場でもある。またここ数年の間で、大手ベンダーによる新興ベンダーの吸収も急速に進んでいる。そんな中、あえてエンタープライズ向けストレージ市場に新たに打って出たイメーションのビジネス戦略について、同社 コマーシャル製品事業本部 マーケティンググループ マネジャー 伊藤宗寿氏は次のように語る。
「イメーションはこれまで一般消費者向け製品を主に扱っていたが、さらなるビジネス成長のためにはエンタープライズ向け製品を強化する必要があると判断し、Nexsanの買収に踏み切った」
Nexsanは北米と欧州を中心に既に10年間にわたって事業を展開しており、約3万台のエンタープライズ向けストレージの販売実績を持つベンダーだ。イメーションはグローバルビジネスに取り組んでおり、ここで培ったビジネスチャネルにNexsan製品を乗せることで新たなビジネスチャンスをつかめると判断したのだ。
これまでNexsan製品があまり知られていなかったアジア地域、中でも日本市場は有望なマーケットと位置付けており、イメーション日本法人に専任組織を置いて積極的にビジネスを展開していくという。しかし日本のストレージ市場は、海外・国内の各ベンダーがしのぎを削る激戦区。この中に割って入るのはかなりのチャレンジになるが、伊藤氏は「Nexsan製品は他社製品にないユニークな特徴を幾つも備えており、日本企業に特有のニーズに極めて適している」と自信を見せる。
以降で、Nexsan製品の特徴的な機能の幾つかを紹介していきたい。
「高密度」「高信頼性」「省電力」を兼ね備える「NEXSAN Eシリーズ」
Nexsan製品には、SAN(Storage Area Network)製品「Eシリーズ」とNAS(Network Attached Storage)/iSCSIに対応するユニファイドストレージ製品「NSTシリーズ」、そしてアーカイブストレージ製品「Assureon」の3つの製品ラインアップがある。中でも、売り上げ全体の約8割を占める中心的な製品がEシリーズだ。
Eシリーズが属する製品カテゴリーは、いわゆる「ディスクアレイ装置」。FC(ファイバーチャネル)とiSCSI、SAS(Serial Attached SCSI)のインタフェースを備え、SAS/SATA(Serial ATA)/SSD(ソリッドステートドライブ)のディスクを混在して搭載できる。近年のディスクアレイ装置としては一見すると極めてオーソドックスな仕様となっている。ただし幾つかの点において他社製品にはあまり見られない際立った特徴を持っている。
最も特徴的なのが、筐体内に極めて多数のディスクドライブを搭載する「高密度実装」だ。4Uの最上位モデル「E60」には、60基のディスクドライブを搭載できる。これだけの高密度実装を可能にしているのが、「Active Drawer Technology」と呼ばれる筐体技術だ。一般的なディスクアレイ装置のように、筐体の前面からディスクドライブを抜き差しするのではなく、引き出し型のドライブベイ(ドライブ類の取り付けスペース)にディスクドライブを収める独自技術を採用した。これにより、一般的にはデッドスペースとなってしまう筐体の奥の部分までディスク装置を格納できる。「筐体やラックスペースのコストを節約できるとともに、ドライブ交換作業が容易な上、ホットスワップによる交換で保守効率もアップする」(伊藤氏)
一方で、筐体内に収めるディスクドライブの数が増えると、一般的には振動や発熱によるドライブ故障の確率が高まるといわれる。この点について、Eシリーズでは同社独自の技術を採用することで課題をクリアしている。例えば、振動については、ディスクドライブを「互い違い」の方向に並べて収納することで、ディスクの回転による振動が互いに相殺されるように工夫している。また、熱対策に関しても、ディスク装置の熱を持ちやすい面(基盤を搭載している側の面)同士が向かい合う箇所にエアフロースペースを確保し、ファンによって効率的に熱が排出されるよう工夫を施している。こうした技術によって、通常は相反する高密度と高信頼性の要件を高いレベルで両立させているのだ。
「Nexsanはもともと筐体の設計技術者が立ち上げた会社なので、こうした独自の筐体設計技術が発達した。実際、北米や欧州のユーザー企業からも故障率の低さが高く評価されており、リピート注文が非常に多い」(伊藤氏)
また、高い省電力機能を持つ点もEシリーズの大きな特徴だ。Eシリーズでは、独自技術「AutoMAID」により、ディスク装置に対するアクセス頻度を監視する。アクセス頻度が低いディスク装置については自動的にヘッドをアンロードしたりディスクの回転を抑制、停止することで電力消費量を抑制する。こうした機能は近年のディスクアレイ製品では決して珍しいものではないが、Eシリーズでは、5段階の電力消費対応が可能で、筐体全体の電源を自動的に停止する機能を備える点だ。これを使って、例えば夜間や休日などシステムが利用されていない間に筐体の電源を丸ごと落とせば、大幅な電力消費量削減が見込めるという。
| 消費電力レベル | 動 作 |
|---|---|
| Level1 | HDDのヘッドのアンロード(約15~20%の電力削減)、1秒以下のリカバリタイム |
| Level2 | HDDの回転数を1分当たり4000回転に低減(約35~45%の電力削減)、15秒のリカバリタイム |
| Level3 | HDDの回転を停止(約60~65%の電力削減)、30~45秒のリカバリタイム |
| Level4 | HDDの電源の停止(約70%の電力削減)、30~45秒のリカバリタイム |
| Level5 | E60X拡張エンクロージャの電源停止(SATA HDD使用時で約87%の電力削減、SAS HDD使用時で約91.5%の電力削減)、30~46秒のリカバリタイム |
Eシリーズのこうした特徴は、特に日本のデータセンター事情には極めてよくフィットすると伊藤氏は言う。「日本のデータセンターはスペースが限られており、また電力消費量にもシビアなため、Eシリーズの高密度実装や低消費電力といった特徴は多くのメリットをもたらすはずだ」
仮想化環境に適したユニファイドストレージ「NEXSAN NSTシリーズ」
一方のNSTシリーズは、SANとNASのインタフェースを兼ね備えた「ユニファイドストレージ」を実現する製品。iSCSIとFCのインタフェースとともに、CIFS、NFSなどNASプロトコルを備える。実際にデータを格納するディスクアレイ装置には、主にEシリーズが使われる。NSTシリーズのコントローラーの下にEシリーズが配置することで、全体として統合型ストレージシステムを構成する。
NSTシリーズの最大の特徴は、パフォーマンスとコストのバランスに極めて優れる点にある。その秘訣は「SSDをうまく活用しているところにある」と伊藤氏は説明する。
「最近、SSDを全面採用したストレージ製品が注目を集めているが、これらは確かに性能は高い反面、コストが高くなりがちだ。NSTシリーズでは独自技術『FASTier』を使い、SSDを一次キャッシュとして大量に搭載できる。これによって、SASやSATAのみで安価にディスクアレイを構成した場合でも、大量のメモリキャッシュでより高いパフォーマンスを実現する」
FASTierではメモリキャッシュとしてDRAMとSSDの両方を利用できる他、NVRAMやMLC、eMLC、SLCの中から用途に応じてSSDを選択できる。例えば、書き込み寿命の長いSSDをライト領域用として、それ以外の比較的安価なSSDをリード領域用として使い分けることができる。伊藤氏は「パフォーマンスとコストのバランスに優れるという特徴は、特に仮想化環境のストレージ基盤としての用途で強みを発揮する」と語る。
仮想化環境で仮想サーバのイメージを保管するストレージ装置には、高いランダムアクセス性能が求められ、高価なストレージ装置を必要とする場合が多い。そのため、サーバ集約によるコストメリットが帳消しになってしまう恐れがある。しかし、NSTシリーズでは比較的高い性能をコストを抑えて達成できるため、仮想化導入によるコストメリットを十分に享受できる。また「VMware環境では、仮想サーバの用途によってSANとNASを使い分けることが推奨されているが、この点においてもNSTシリーズは1台で両方をカバーしているので、無駄な投資を避けることができる」
イメーションは2013年8月20日、NSTシリーズの最新バージョン「NST6000シリーズ」を発表した。従来製品と比べ、性能や接続性、拡張性の面で大幅な強化が図られているという。
なお、もう1つの製品ラインアップである、アーカイブストレージ製品「アシュリオン」に関しては、本稿執筆時点(2013年8月)ではまだ日本での正式な販売は行われていない。アシュリオンもNSTシリーズと同様に、Eシリーズのディスクアレイに専用コントローラーを追加することで、全体としてアーカイブストレージシステムを構成する製品だ。「保管データの冗長化」「ファイル変更監視による証跡管理」などの機能を備えており、既に米国の金融機関などでは各種法制に準拠したアーカイブシステムとして広く採用されているという。なお現時点では、日本におけるアシュリオンの提供開始は2014年中を予定している。
サポートサービスや代理店支援プログラムを大幅に強化
これらNexsan製品は、既に米国と欧州では多数の導入実績を持つが、特に大量データを扱う必要がある業態において多くの実績があるという。
「大容量の映像データを扱う映像制作会社や、同じく大容量の診療データや研究データを扱う医療機関、研究開発機関などにおける導入実績が高い。日本においても今後、こうした業界の企業・機関に使っていただければと考えている」(伊藤氏)
今後同社では、日本におけるNexsanブランドの浸透と販売拡大のための各種ビジネス戦略を推し進め、2015年にはNexsan製品の年間売上高20億円を目指すとしている。
Nexsan製品は基本的に、代理店経由の間接販売のみで提供する。今後、販売パートナー向けのサポート体制を強化していく。また、2013年9月にイメーション日本法人によるサポートサービスを開始する。「既に高い評価を受けている国内サポートベンダーとの協業によって、競合ベンダーに決して引けを取らない、オンサイト保守も含めた万全のサポート体制を敷く予定だ」(伊藤氏)
| 製品名称 | NEXSAN E18/NEXSAN E18X | NEXSAN E48/NEXSAN E48X | NEXSAN E60/NEXSAN E60X |
|---|---|---|---|
| ラックスペース | 2U | 4U | 4U |
| 最大搭載ディスクドライブ数 | 18 | 48 | 60 |
| 最大物理容量 | 72Tバイト | 192Tバイト | 240Tバイト |
| キャッシュメモリ(コントローラー当たり) | 2Gバイト | 4Gバイト | 4Gバイト |
| RAIDタイプ | RAID 0、1、1+0、4、5、6 | ||
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