これも“シャドーIT”?
仕事での「SMS」利用、実は危険かも……
携帯端末でメッセージをやりとりできるSMSの企業利用が米国で広がりつつある。SMSは企業にプラスの影響を与え得る半面、利用の妨げとなりかねない課題もある。
企業内では効率的で迅速なコミュニケーションが不可欠であり、今やその目標を達成するための新しいソーシャルコラボレーション技術は多数ある。だがテキストメッセージでもこうした目標を達成することは十分可能であり、多くの企業が新しいやり方でテキストメッセージを使っている。
モバイルワーカーにとっては、ショートメッセージサービス(SMS)が命綱になることもある。
「現場にいる者にとっては理想的だ」と話すのは、米調査会社Current AnalysisのビジネスネットワークおよびITサービス担当調査ディレクターで、企業のモバイル化も担当するキャスリン・ウェルダン氏。「SMSはどんな人でも簡単に利用できる。手早くメッセージを見たり、すぐに返事を受け取ることが可能だ」
現場の技術者にとって、問題が生じたり、情報が必要だったり、場所を変わる必要があったりするときに、SMSが役立つとウェルダン氏は言う。
企業は今、紙の書類の代替など、さまざまな用途のためのコミュニケーションツールとしてSMSを使っている。
「SMSを使うと、無駄に浪費している時間が全てなくなる。SMSは直接的で実用的だ」。米モバイルコンサルティング企業Sepharim Groupの創業者で、モバイルビジネス戦略と技術に関するエグゼクティブアドバイザーを務めるボブ・イーガン最高経営責任者(CEO)はこう話す。
SMSは連絡調整やコラボレーションの用途でも、メールの効率的な代替となる。
「ユーザーは、Twitterの限られた文字数の中でパワフルなメッセージを発信する方法を見いだしており、SMS利用にそれを転用している」とイーガン氏は語る。
企業向けモバイルコミュニケーションベンダーである米OpenMarketが最近実施した調査によると、ビジネス戦略の一環としてSMSを使っている企業は70%に上り、さらに16%が今後1年以内にSMSを使う予定だと回答した。
調査は、北米企業のモバイル戦略責任者など167人を対象に実施した。調査の規模は小さいものの、調査結果は企業のSMS利用の実態を反映している。
利用は簡単、管理は困難
SMSは企業にプラスの影響を与え得る半面、利用の妨げとなりかねない課題もある。
「問題の1つは、SMSが端末に結びついていることだ。端末を持っていなかったり、バッテリーが切れたりすると、SMSをすぐに受信できない」。ワイヤレスとモバイル技術を専門とするコンサルティング企業米Farpoint Groupのクレイグ・マシアス社長は、こう指摘する。
SMS経由で入ってくる情報と出ていく情報を管理するという問題も、企業のIT部門にとっての課題となる。
「SMSは、会社の携帯電話でやりとりされない限り、IT部門が管理できる範囲を完全に超えてしまう。同じことは廊下での会話にもいえる。IT部門はここでも介入すべきなのか? もし規制することがIT部門の仕事なら、まるで政府機関のようになる」(イーガン氏)
企業のIT部門や従業員にとっては、SMSのテキストを紛失したり、どこかに保存されてしまうことも不安である。規制が厳しい業界の場合はなおさらだ。
「もし医療や金融のような規制の厳しい業界の企業であれば、SMSのテキストがアーカイブされてしまうかもしれないという不安がある」とウェルダン氏は語る。
イーガン氏は、自身がかつて手掛けた政府機関の契約案件を引き合いに、政府機関内部でのコミュニケーションは特に難しいと指摘。「情報は常に追跡し続ける必要がある」と言う。
SMSポリシーを除外したITポリシー
モバイルポリシーにSMSを含めている企業は、ほとんどない。
マシアス氏は言う。「私の経験では、ほとんどの企業がモバイルセキュリティポリシーを持っていないか、確立する途上にある。この動きは促進しなければならない。われわれは競争に勝ち抜くために、最低限のコストで事を成し、できるだけ早く情報を伝えなければならない。だが同時に、センシティブな情報を外部にさらしてはならない」
ただし、「もし外部にセンシティブな情報を伝えないというポリシーがあるのなら、SMSはポリシー違反だと見なされるだろう」とマシアス氏は言い添える。だが実際は、ほとんどの企業ではそうしていない。
「将来的にテキストの暗号化の増加が予想される。暗号化は、ユーザーにとっては完全に透過的になるだろう。LANにある自分の携帯電話を使っていれば、そのユーザー(のテキスト)を暗号化できる」(マシアス氏)
「SMSはセキュアではない。従業員は、社外秘のものをセキュアでないチャネル経由では一切送信してはならない」とマシアス氏は付け加える。
さまざまな理由でSMSを活用していなかったり、優先事項だと見なしていない企業もある。マシアス氏によると、社風もその一因だ。特に年配の人はあまりSMSを使わず、話をする方を好む。SMSは覚えなければ使えないと思うからだ。
SMSの他にも、企業が従業員や顧客とやりとりするための価値あるツールは豊富にある。例えば、MicrosoftのYammer、AOLのInstant Messenger、Twitter、Facebookなどだ。これら全てがクラウドベースであり、どんな端末からもアクセスできる。
一般的に、コミュニケーションは携帯端末に縛られない方が好ましいとマシアス氏は言い、次のように話している。
「どこからでもコミュニケーションにアクセスでき、どの端末からも抽象化されている方がいい。それが今われわれのやっていることだ。長い目で見れば、それが最もコスト効率の高いアプローチである」
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