ロケーションインテリジェンス(LI)が新たな武器に
「位置情報」で稼ぐ企業が実践するビジネス活用術6選
スマートデバイスや地図サービスの普及もあり、身近な存在となった位置情報。活用を支援する技術も急速に充実し始めた。企業が位置情報を生かすための6つの活用例を紹介する。
ビジネスインテリジェンス(BI)とアナリティクスに関連した用語として、位置情報のインテリジェンス「ロケーションインテリジェンス(LI: Location Intelligence)」が注目を集めている。位置情報技術を利用すると、どのようなBIアプリケーションが実現できるのだろうか。
位置情報データがコンシューマーに提供する数々の利用価値については、米Googleなどが提供するオンライン情報ソースのおかげで、誰もがそれを実感している。例えば、道案内サービスを利用したり、レストラン、ホテル、病院、役所などあらゆる施設を特定の地域内で見つけたりするといった形で、位置情報データが利用されている。
だが企業の場合はどうだろうか。LIツールは、売り上げの増加とコストの削減、そして最終的には収益の改善に役立つのだろうか。その答えは間違いなく「イエス」だ。BI/アナリティクス関連の取り組みの一部として、広範な種類のLIツールがさまざまな業界で活用されている。その中でも特に広く実践されている活用例を紹介しよう。
LIの活用例1:顧客分析
どんな企業でも顧客を理解することは不可欠であり、LIツールはこの部分で重要な役割を果たす。居住地に基づく人口統計データやライフスタイルに関するデータ、空間データ指標(店舗までの所要運転時間など)などを顧客データに付加するといった形で、販売予測モデルの構築に利用できるからだ。位置情報データは、顧客のプロファイリングや分類、見込み客の管理、商圏分析、競合分析用のアプリケーションなどにも活用できる。
LIの活用例2:出店場所の選定と店舗拡張計画
LIツールは、小売業者が新規店舗の開設に最適な場所やチェーンストア展開に適した地域を見つけるのに役立つ。人口統計データや経済データ、交通アクセスといった地理情報、競合店舗の場所、立地場所の持続可能性などの情報があれば、現地を訪れなくても店舗開設候補地を素早く評価して優先度を決定できる。
地理的空白を埋めるために店舗の追加を検討している場合も、LIツールを利用すれば、自社の既存店舗と顧客を奪い合う可能性を検証することができる。
LIの活用例3:宣伝と販促プロモーション
適切な場所とタイミングで潜在顧客にターゲットを絞って宣伝を展開する上で、位置情報技術に基づく分析は以前から活用されてきた。モバイル指向が強まる現在、位置情報技術の潜在的活用分野が拡大しつつある。もはや顧客は、メールアドレスや郵便番号、自宅の電話番号だけでなく、位置情報を持つスマートフォンやタブレットとも関連付けられるようになったのだ。
顧客に効果的なマーケティングメッセージを届けるには、特定の時間に顧客がどこにいるかに基づいてメッセージをカスタマイズしなければならない。LIツールを利用すれば、店舗からの距離といった地理情報に基づいて広告や販促プロモーションを展開可能だ。
LIの活用例4:販売地域の設定と最適化
LIツールは、販売地域をバランスよく設定し、販売対象範囲と顧客サービスのレベルを最適化するのに大きな威力を発揮する。顧客密度や異なる店舗間の移動時間、購買力が高い顧客の場所などに関するデータを関連付けて分析することにより、効果的かつ効率的に顧客へリーチできる販売地域を設定することが可能だ。
LIの活用例5:サプライチェーンマネジメント(SCM)
グローバル経済では、自然災害や政変、テロなどによって生産や出荷がストップする危険に、多くのサプライヤーがさらされる恐れがある。これらのサプライヤーからの供給に依存している企業にとって、サプライチェーンネットワークを設計した上でリスクを特定する際にLIツールが役立つ。
リスクが現実のものとなったときに新たな供給先を確保するのにも、LIツールが有効だ。位置情報ベースのアプリケーションは、最適化されたマルチモーダル輸送(注1)経路の設定やジオフェンシング(注2)などを考慮した処理が可能なので、供給計画の策定と実施にも役立つ。ジオフェンシングを利用すれば、仮想の境界を作成し、車両や商品がその境界を越えたら通知を送るようにすることもできる。
※注1 マルチモーダル輸送:輸送時間の短縮や物流の効率化を図るために、陸上、海上、航空の輸送手段を複合的に利用する輸送方法。
※注2 ジオフェンシング:地図上に仮想のフェンスで囲んだエリアを設定し、ユーザーのスマートフォンがそのエリアに入ると自動で情報やサービスをプッシュ配信する技術。
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LIの活用例6:フィールドサービスのプランニングと追跡
公益企業や通信事業者、石油/ガス会社といった巨大組織は、膨大な物理的資産を管理しており、現場で設備の設置や修理をするために何千人もの技術者を雇用している。LIツールは以前から、設備や顧客の場所を把握する手段としてだけでなく、メンテナンス作業や修理業務のプランニング(例えば、車両の最適経路の決定など)にも利用されてきた。
そして今日、タブレットやスマートフォンの登場を受け、車両および要員をリアルタイムで追跡する機能がLIツールに加わった。モバイル端末に組み込んだLIツールのジオフェンシング機能により、技術者が現場に接近あるいは到着したときや、現場を去ったときに作業要員の派遣担当者に通知が送られるようにすることができる。作業要員が現場にいた時間や、指定された経路から外れたかどうかを把握することも可能だ。こうした機能を有効に活用すれば、業務コストの削減と顧客満足度の向上につながる。
企業内のデータの80%には位置情報が含まれているといわれる。位置情報を保有できるモバイル端末を携帯する従業員が増えるのに伴い、LIツールの利用が拡大するとともに、その利用形態の多様化が進んでいる。さらに、データベースや業務アプリケーション、BIツールのベンダー各社は、位置データの保存、分析、可視化の機能をそれぞれの製品に組み込み始めた。ビジネスユーザーがこうした機能に慣れてくれば、位置情報の利用がさらに拡大することは間違いない。
もしあなたが位置情報技術をまだ利用していないのであれば、そろそろ既存のBIツールやアナリティクス関連技術に位置情報技術を付加することを検討すべきだろう。ライバルはもう始めているかもしれないのだ。
本稿筆者のスティーブ・ベナー氏は、The Location Intelligence Instituteの創立者。同組織は、ビジネスプロセスや意思決定の改善に向けて地理空間技術の利用に関わる情報を提供している。ベナー氏はまた、地理情報システム(GIS)ソフトウェアベンダー米Esriでビジネスインテリジェンス(BI)アライアンスを統括している。
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