広告、マーケティングではデータが最も重要
顧客を絶対に失わないビッグデータ分析事例
マーケティング、広告分野はビッグデータ活用の事例の宝庫だ。米国の最新事例から、Hadoopなどビッグデータ技術が有用な理由を探る。
米企業のLuminar、PubMatic、Lotame SolutionsおよびIT業界のアナリストによると、「マーケティングと広告は、Hadoopなどビッグデータ技術のキラーアプリケーションであり、3社の取り組みはその見本だ」という。
ラテン系米国人コンシューマーに関するマーケティング情報を提供しているLuminarは、従来型のリレーショナルデータウェアハウスを使うのをやめ、ビッグデータ技術を採用した。一方、広告枠の見積もり/販売プロセスを自動化するソリューションを提供しているPubMaticと、デジタル広告枠を販売するメディア企業向けにサービスを提供しているLotame Solutionsは、パブリッシャーにおけるデジタル広告枠見積もり/販売の自動化と、広告対象読者に関するデータ分析支援サービスにおいて業務提携した。
「しかし3社が今後も成功を続けるためには、進化し続ける必要がある」と指摘するのは、調査会社、米Forrester Researchの主席アナリスト、マイク・グアリティエーリ氏だ。
グアリティエーリ氏によると、「企業がデジタル広告を通じて顧客を獲得するには、ユーザーがWeb上で過去に何を検索し、何をクリックしたかだけでなく、多岐にわたる膨大な情報を分析する必要がある」という。
「例えば、人々がどこにいたかを確認するためのGPSデータ、彼らが何を購入したかを知るための販売データ、さらにはNetflix(米オンラインDVDレンタル会社)で最近どんな映画を観たかといった情報なども必要とするようになるだろう。現在、企業は全てのデータを1カ所に集約することによって、顧客に関する洞察をさらに深め、王様に仕えるように顧客に対応したいと考えている。王様のように扱われたと感じた顧客は絶対に去らないからだ」(グアリティエーリ氏)
従来型データウェアハウスからHadoopに移行したLuminar
ラテン系米国人コンシューマーの行動様式や購買パターンの情報を日用品メーカーや小売業者などに提供しているLuminarは、ビッグデータの処理に米Hortonworksが提供するHadoopベースのプラットフォームを利用している。
Luminarでは、小売店のロイヤルティープログラムやケーブルTVの請求書、公共料金請求書など2000以上のデータソースから情報を収集。それをHortonworksの分散ファイルシステムに送り込んでいる。従来はフォーカスグループや調査のみを通じて情報を収集していたが、今ではヒスパニックコミュニティーをより具体的に把握できるようになった。例えば、「マイアミ在住のキューバ系米国人はIT製品にどんな購買傾向を示しているのか」「ニューヨーク在住のプエルトリコ系男性は食品にどれくらい支出しているのか」といった情報を顧客に提供できるという。
Luminarのフランクリン・リオス社長によると、同社は以前、分析モデルを運用するのに従来型のデータウェアハウスを使っていたが、2012年にこのアプローチを完全に放棄し、Hadoopの採用に踏み切ったという。
「従来の方式は時間がかかり過ぎ、柔軟性がなかった。私の経験ではデータウェアハウスにはさまざまな問題があり制約も多い。何かを照会すると、答えが返ってくるまで何年も待たされるのではないかと思えるようなときもあった。また、幾つか機能を追加しようとしたら、500万ドルものコストが掛かることが分かった」(リオス氏)
さらにリオス氏によると、データウェアハウスの開発プロセスは時間がかかり、多額の投資が必要とされるという。
「データウェアハウスをいったん導入すると、後はベンダーに依存せざるを得なくなる。ベンダー独自の環境に入ってしまうからだ。あるデータウェアハウジングプラットフォームから別のプラットフォームに移行するというのは“心臓を切開する大手術”を行うようなものだ」
Luminarが移行を決断したのは、米ApacheのHadoopがオープンソースの標準であることに加え、Hortonworksがこのデータ管理プラットフォームをサポートする能力を備えていることが最大の理由だった。同社は現在、Hortonworksのプラットフォーム上で自社独自の分析モデルを運用している。
PubMaticとLotame Solutionsがビッグデータで提携
一方、PubMaticと業務提携したLotame Solutionsは、Hadoopの他、「Hive」や「Pig」などのビッグデータ技術を利用して情報を収集し、広告主の対象読者について独自の分析を行っている。この分析は、広告効果の改善と売り上げの拡大につながる可能性があるという。
今回の提携の内容は、PubMaticのメディア管理製品とLotame Solutionsのデータ管理プラットフォームである「Crowd Control」を全面的に連係するというもの。これにより、「広告主はメディア広告枠の見積もりと対象読者の検討を1カ所から行えるようになる。また、パブリッシャーは広範な情報にアクセスできるようになり、読者をセグメント化する作業、カスタマイズした広告キャンペーンを作成する作業を簡素化できる」という。
PubMaticのプラットフォーム戦略ディレクター、リチャード・ソーベル氏は「広告で一番重要なのはデータだ。1960年代のテレビ番組のスポンサーの場合も、視聴者は誰かということが常に重視された」と話す。
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