ドラフト候補生の各種データとスカウト基準を照合
NFL 49ersが実践、有望選手のスカウトにビッグデータ活用の波
いよいよ開催される「NFLドラフト2013」。アメリカンフットボールの名門チームであるサンフランシスコ49ersはデータ分析のクラウドサービスを導入し、将来有望なアスリートの評価を行ってきた。
2013年4月26日(日本時間)から3日間にわたり行われる「NFLドラフト2013」。ドラフト指名を受けるのは、主に大学4年生だ。「毎年、1万2000人の大学生がドラフトの対象になる。その人数のデータを分析することは、決して簡単な仕事ではない」と語るのは、SAP Labsのスポーツ製品管理担当副社長、リシ・ドワン氏である。
5回のスーパーボウル優勝など、NFLに輝かしい歴史を残すサンフランシスコ49ersは新しいクラウドベースのSAP分析アプリケーションを活用し、スカウトが将来有望なアスリートたちの評価を行っている。このアプリケーションは、SAPとサンフランシスコ49ersが共同開発した、SAP HANAインメモリデータベース上で動作する「SAP Scouting」である。
一般提供が開始されたSAP Scoutingは、フットボール選手特有の統計情報をもとに、スカウトやエグゼクティブ、コーチ、トレーナーが選手を評価するための各種機能を搭載している。その目的は、さまざまな情報を活用し、毎年実施されるNFLドラフト会議において、より良い意思決定を行うことにある。また、トレードやその他の評価にも活用できるように、長期間にわたってデータを構築、利用することも視野に入れている。
SAP Scoutingは、カレッジプレーヤーの情報を管理している「National Football Scouting」のデータベースから、データのコアセットを引き出す。このデータには、オールスターゲームの成績からNFLコンバイン(※)の情報まで含まれている。
編注:フィジカル、メンタルの両面からドラフト候補のプレーヤーをテストし、評価する身体能力測定会。
各チームはそのデータと、独自に設定する競技実績、個性、性格などのスカウト基準を照らし合わせ、有望選手をピックアップする。新聞やソーシャルメディアの記事も、ここでは重要な役割を果たす。「これらのデータソースは、各チームがドラフトにかける200人ほどのアスリートをえり分ける過程において必要不可欠なものだ」とドワン氏は語る。
SAPによると、このスカウト専用アプリケーションは、各チームがリアルタイムで有望選手を比較し、同じポジションでプレーする現行プロ選手の水準をクリアしているかどうかを判断するのに役立つだけでなく、チーム方針に合わせてドラフトの選択順位を表示できるインタラクティブな「ドラフトボード」も搭載しているという。
SAP Scoutingは、プロスポーツ界に意欲を示すSAPの最新の取り組みであり、現在のERP顧客層を超えてSAPブランドを押し広げ、新しいビジネスを構築するための足掛かりだ。2013年2月初旬、米プロバスケットボールリーグのNBAは、ファンサイトのNBA.comにHANAインメモリ対応の統計セクションを開設すると発表した。SAPもまた、各種プロスポーツ機構が顧客ロイヤルティーの強化や関連アプリケーションを構築するためのモバイルプラットフォームの開発計画を明らかにした。
「スポーツ市場では、いま膨大な投資が行われている」と指摘するのは、ソフトウェアに特化した米IT市場調査会社のApps Run the WorldのCEO、アルバート・パン氏だ。スポーツ/エンターテイメント市場のそうした動きは、SAPに人材資源管理、クラウド、モバイルコンピューティング、そしてSAP HANAプラットフォームなどの既存技術を活用して新しい顧客を開拓する大きなチャンスをもたらしている。
そうした中、SAPは2013年1月、スポーツ/エンターテイメント業界向けの顧客関係管理およびチケッティングソフトウェアアプリケーションを開発するドイツ企業の買収計画を明らかにした。
SAPが49ersと共同開発したSAP Scoutingを利用しているのは現在同チームだけだが、他のNFLチームやNFL以外のスポーツフランチャイズ、あるいは大学リーグなどでも有益なツールとして利用できる、とSAPは主張する。
SAP Americaのクラウド戦略担当上級副社長兼支配人のマイク・モリーニ氏は、「ホッケーリーグや野球のメジャーリーグなどもターゲットだが、いずれはNCAAなどのカレッジリーグのスカウト活動にも広げていきたい」と話す。
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