調査結果で判明
私物スマホの社内持ち込み、経営者は本当はどう思っているのか?
CIOを対象とした調査でBYODを懸念分野に挙げた回答者は5番目に多かった。一方で、IT投資分野対象としては、21番目にとどまった。
現在、CIO(最高情報責任者)の大半が、スマートフォンなどのBYOD(私物端末の業務利用)に対する懸念やリスクを常に念頭に置いている。
だが、米ITコンサルティングのSociety for Information Management(以下、SIM)がこのほど発表した調査結果によると、その懸念はIT予算には反映されていない。
BYODの懸念が高まるも、IT予算には反映されず
SIMの第34回ITトレンド調査は、米ボストンで開かれた「IT Party 2.0 SIMposium」の一環として実施され、参加したCIOやIT担当の上級管理職483人に、最大の懸念分野を3項目挙げてもらった。その結果、BYODを挙げた回答者は5番目に多かった。一方で、IT投資分野対象としては、21番目にとどまった。
SIMの調査を主導したノーステキサス大学の情報システム担当教授、レオン・カペルマン氏は、この不一致について、BYODが比較的少ない投資で済む一方で、大きなリスクを伴うという実態に起因すると解説する。
「BYODにはそれほどコストが掛からない。経費節減になることもある。だが不安は大きい。大きなセキュリティ問題だ。あちこちに抜け穴を作ってしまう」(カペルマン氏)
カペルマン氏はノーステキサス電子犯罪対策部会に関わっている。最近の会合には米連邦捜査局(FBI)やシークレットサービスの科学捜査専門家も出席し、BYODは「ただ人々を苦しめている。セキュリティ的には悲惨だ」と指摘した。
2012年の調査では、IT部門の投資分野でBYODは7位だった。ただ今回の2013年の調査が483人から回答を得たのに対し、2012年調査の回答者は195人だった。CIOに最大の懸念事項を尋ねたのは今回調査が初めてだという。
BYODのセキュリティ不安
カペルマン氏が司会を務めたパネルディスカッションでは、現職のCIOやCIO経験者がこの調査結果について話し合い、BYODとセキュリティの矛盾に驚いた様子だった。
米電子メールマーケティング企業のCIOを務めたスー・バーガモ氏は、こうした問題に対処する予算を獲得するために、CIOがもっと力を入れなければならないと述べ、「こうした溝を埋め、穴をふさぐための取り組みを確実に強化する必要がある。われわれのデータに掛かっている」と力説した。
BYODやセキュリティといった分野の予算不足は、同じ懸念に対するCEOとCIOの見解の不一致に起因することもあると解説するのは、米資産管理企業Hudson Advisorsの元CIOで、現在は副社長兼最高管理責任者を務めるジャニス・オブライアン氏。「CEOも含めてわれわれの誰もがデータにつながっていたいと思う」と話す。
セキュリティとユーザーニーズはトレードオフの関係
同氏の勤務先は米証券取引委員会(SEC)や米国家安全保障局(NSA)などの連邦機関が定めた厳格なガイドラインに従って、BYODにまつわる懸念の多くに対応している。
バーガモ、カペルマンの両氏によると、企業はBYODのセキュリティポリシーを定め、エンドユーザーのハードウェアの刷新や入れ替えを行い、BYOD端末からデータを消去できるエンタープライズアプリに投資している。
「本当に綱渡りだ。いつもノーとしか言わないとユーザーに思われたくはない。BYODの導入もその一環だ。だが常にそれに不安を感じている」とバーガモ氏は打ち明ける。IT部門が望んでも望まなくてもBYODは起こる。その流れを食い止めようとあがいても無駄なこともあるという。
BYODはセキュリティ基準の確保と、エンドユーザーのニーズを満たすこととの「トレードオフ」だとオブライアン氏は述べる。
「ビジネスではこの全て(セキュリティの確保とユーザーニーズへの対応)をBYODで要求する。だがそれは、常にシステムを管理するというIT部門の仕事に完全に反する。それで複雑さが増し、流動的な部分が多くなる」とカペルマン氏。
調査でBYODを上回る懸念分野として挙がったのは、分析/ビジネスインテリジェンス(BI)、セキュリティ、ディザスタリカバリ(DR)、クラウドコンピューティングの順だった。IT投資に関しては、分析/BIが1位、クラウドコンピューティングが3位、DRが11位、セキュリティは14位だった。
また、エンタープライズアプリケーションインテグレーションとレガシーアプリケーションは、CIOにとっての懸念順位ではそれぞれ7位と8位、IT投資では20位と17位だった。カペルマン氏によると、この分野は比較的少ない投資で比較的大きなメリットがあると見なされている。
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