iPadやノートPCで使えるオフライン技術が充実
「オフラインだと仕事ができない」は甘え? 進化するモバイルワーク技術
ネットワーク接続は、モバイルデバイスを仕事で利用する上で重要な要素であることは間違いない。とはいえ、オフラインだと何もできないのだろうか? 答えはノーだ。その理由を示そう。
モバイルワーカーは甘やかされている。彼らはいつでもどこでも接続を求め、仕事をするための無料のWi-Fi接続環境がないとパニックになる。
いまから20年ほど前は、ほんの一握りの幸運なエリートモバイルワーカーだけが9.6Kbpsのダイヤルアップモデムを与えられ、何とか持ち運べる重さのコンピュータから、ファイルやメールを会社に送ることができたものだ。
今日、モバイルデバイスはより軽く、より小さく進化し、多くのモバイルワーカーたちがWi-Fiや携帯電話網、クラウドサービスなどを利用して会社と常時接続している。接続は今や、いつでもどこでもが当たり前となった。
「現実の労働環境は変わりつつある」と語るのは、米ITコンサルティング会社En Pointe Technologiesのマーケティング担当ディレクター、ジョン・バーツ氏だ。
企業の従業員は、自宅でも会社でも常に自分のデバイスにつながっている。朝起きるや否や、モバイルデバイスをオンにしてメールをチェックする。オフィスでは別のデバイスを使い、仕事を終えて自宅に帰ると、クラウドに接続したタブレットで映像を見たりする。
その結果、ネットワークへの接続需要は目を見張るほど増大した。信頼できるネットワーク接続は、リモートで働く従業員の必須条件とさえ見なされるようになった。ネットワーク接続が利用できないことは、「もはや“出社するためのクルマがない”のと変わらない」と、米オハイオ州予算管理局の最高情報責任者(CIO)、ラジ・サブラマニアン氏は語る。
事実、オフィスの中でも外でも、ワーカーにとって今や接続性は不可欠といえるほど、ネットワークに接続したノートPCとスマートフォンは多くなった。
「モバイルデバイスの普及により、デバイスで処理する仕事は全てネットワークで、と人々は認識するようになった」と語るのは、米調査会社451 Researchのモバイル担当ディレクター、クリス・ハゼルトン氏だ。「タブレットで処理する仕事の多くは、ネットワーク接続が前提。会社所有のタブレットは大抵WANを利用できる」
米調査会社The NPD GroupのConnected Intelligence研究チームが2013年初めに発表したリポートによると、2013年第1四半期におけるタブレットの携帯電話回線(セルラー)接続は前年同期比で48%増加したという。ただし、米国におけるタブレットのセルラー接続率は、まだ12%にとどまる。
「オフラインの状態にあることは、ますます少なくなっている。飛行機に搭乗しているときでさえ、多くの時間、ユーザーはネットワークに接続している」と語るのは、米クラウドサービスプロバイダーAppirioのマーケティングおよび戦略担当副社長、バラクリシナ・ナラシムハン氏である。「非接続状態にある時間は珍しく、その間もユーザーは何らかのオフライン機能で補完している」
事実、ユーザーが非接続の状態にあるとき、オフラインで仕事をする方法は幾つかある。
接続性の喪失と生産性の喪失
接続性の喪失は生産性の喪失につながり、収益に影響を及ぼしかねない。だがこうした事態を回避する手段も少なからず存在する。
分子診断装置を開発する米Luminexでは、自社のフィールドサービス(保守サービス)用アプリケーション「ServiceMax」に米Appleの「iPad」を利用し、かつWi-Fiに依存している。
「われわれの懸念は、iPadが接続できないエリアに入った場合だ」と語るのは、Luminexの米国フィールドサービス担当ディレクター、スティーブ・ナバ氏である。ネットワークに接続できないエリアでも、サービス担当者がオフラインで仕事を継続するための手段を用意しなければならない。
「サービス担当者が接続エリア外に出た場合には、接続エリア内に戻ったときにドキュメントを同期してもらっている。オフラインの間は、作業のレベルを下げる必要がある」とナバ氏は語る。
企業向けソフトウェアベンダーは、接続が切れたときの対策としてオフラインクライアントを提供したり、モバイルワーカーがクラウドに接続しているとき、常に会社のサーバとデータを同期させる仕組みを実装するなどの対処をしている。
例えば、デスクトップ仮想化(VDI)製品の中には、オフラインで仮想デスクトップを利用可能な機能を持つものもある。米Moka5や米VMware、米Citrix Systemsなどのベンダーは、デスクトップ環境をリモートで提供しつつ、ファイルやユーザー設定といった幾つかの要素をオフライン利用のためにローカルに置く機能をサポートしている。
モバイルワーカーがWi-Fi接続をほとんど、あるいは全く利用できない場合でも、契約している携帯電話回線事業者がテザリングを許可していれば、スマートフォンをWi-Fiホットスポットとして機能させることができる。ただし、携帯電話回線の受信範囲にはどうしてもばらつきがあるので、やはりオフライン技術がベストな選択だといえそうだ。
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