従業員には必須でも企業はそこまで手が回らない
「LINE」を仕事でも使う? ビジネスメッセージツール4種類の本命は
モバイルインスタントメッセージングは、エンタープライズの次の目玉となるのか。エンタープライズ用モバイルアプリの急増に伴い、その答えは「イエス」となり得る。
2016年までに、電子メールアカウントを持っている人の数は43億人になると推計されており、それと同じ数の人がIM(インスタントメッセージング)アカウントも持つことになるだろう。だが、モバイルIMが完全にモバイルメールに置き換わることになるとは断定できない。
企業のIT部門がモバイルIMの広まりを懸念するのはなぜか。文字で書かれたコミュニケーションはいずれもデータ漏えいのリスクを伴う。無料で使えるIMサービスの種類の多さを見るだけでも、IT部門がモバイル端末で交わされる内部情報を管理しきれなくなることを恐れる理由が分かるだろう。
モバイルIMアプリの種類
モバイルインスタントメッセージングは、無料またはほぼ無料のサードパーティー製アプリ、ネイティブアプリ、EMM(エンタープライズモバイル管理)ツール、企業インフラツールの4種類に分類できる。
無料のサードパーティー製アプリとしては、「Facebookメッセンジャー」「Snapchat」「Viber」「WhatsApp」などがある(編注:日本では「LINE」など)。「Tigertext」や「Cotap」のように企業での利用を想定した新しいアプリも、このカテゴリに含まれる。
ネイティブアプリとは、モバイル端末に最初から入っているインスタントIM機能であり、Blackberryの「BBM」、iOSの「メッセージ」、Androidの「Googleトーク」などがそれに当たる。
EMMツールは、IM文字列を暗号化するなど、TigertextやCotapと部分的に重なる機能を備えており、業務用のIMセッションと端末ネイティブのIMセッションを分離できる。
企業インフラツールでも、モバイルアプリを提供するものが登場してきた。「Microsoft Lync」「Yammer」「IBM Sametime」などのツールには、インスタントメッセージングインフラをサポートするアプリが含まれている。こうしたアプリは、以前はデスクトップ版に比べると使い勝手が劣っていたが、アップグレードを重ねるたびにどんどんよくなってきている。
タブレットとスマートフォン、ノートPCを使い分けるのと同じように、コミュニケーションツールもそれぞれ用途が異なる。あて先が多く、添付ファイルも送れて、相手が好きなときに読むことのできるフォーマルなコミュニケーションには、電子メールが適している。すぐに返事を必要とする迅速なコミュニケーションには、IMの方が向いている。数年後には、ミレニアル世代(2000年以降に成人を迎えた世代)が職場の3~5割を占めることを考えると、今後はモバイルIMが標準的なコミュニケーション手段になってもおかしくない。
ユーザーはモバイルIMを求めているのか
その場合、従業員は、会社から支給されるIMツールを使おうとするだろうか。それとも、個人所有のネイティブメッセージングプラットフォームや、Snapchat、Viberなどのアプリの方を使うだろうか。
これは、会社が支給する生産性アプリを使うか、個人所有の生産性アプリを使うかというのと同じ問題だ。企業側が使いやすいツールを提供して的確なトレーニングを行えば、従業員がそのツールを使う可能性は高まる。だが、インスタントメッセージングは、ガイドラインやポリシーにはなりにくい面もあり、ユーザーは会社から提供されたツールを使っていることさえ分かっていない場合もある。
筆者の同僚の中には、連絡先の情報を会社のEMMの連絡先リストにも端末の連絡先リストにも入れている人たちがいる。そこから名前を選択してIMを送るとき、どちらか簡単な方を選ぶことになりがちだ。そして大抵、より自然な操作ができるネイティブアプリの方を選ぶことになる。
ユーザーには、エンタープライズモバイルIMが必要なのだろうか。答えはイエスだ。では、企業側は、自社のEMMやインフラ以外のツールを採用するだろうか。答えはノーだ。大多数の企業にとって、ITのコンシューマライゼーションはごく新しいものであり、まだ端末や電子メールやアプリの管理が中心になっている。ほとんどの企業は、米MicrosoftやEMMツールベンダーがアプリの改良を進めて従業員用のIMツールを提供するのを待つだけだ。あるいは、大規模なセキュリティ侵害でデータ損失が発生するような事態が起これば、エンタープライズモバイルIMツールの進歩が加速するかもしれない。
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