ライブ配信や動画の同時閲覧が可能
比較で分かったGoogle「ハングアウト」のSkype、FaceTimeを超える機能
「Skype」「FaceTime」などが知られるビデオメッセージング市場に「ハングアウト」で本格参入した米Google。機能を詳細に見ると先行サービスを超える高い水準だった。機能を比較する。
ビデオメッセージングサービスは多くの選択肢があり、「Skype」「FaceTime」「ooVoo」が特に有名だ。だが、米Googleの「Hangout」(以下、ハングアウト)も見逃せない。このGoogleサービスは、他の人気サービスと同じ機能を全て網羅している上、他サービスにはない機能も幾つか提供する。
Googleは、2013年5月中旬に米国カリフォルニア州マウンテンビューで開催した年次開発者会議「Google I/O 2013」で、「ハングアウト」の名称で提供してきたGoogle+のビデオ通話サービスと、一般的なインスタントメッセージング(IM)機能、画像共有機能などを統合したサービスを発表した。名称は「ハングアウト」が踏襲され、このサービスのスタンドアロンアプリも公開された。
ハングアウトは、WebやAndroidおよびiOSプラットフォームで利用でき、「WhatsApp」や新たにアップデートされた「BlackBerry Messenger」のような類似のクロスプラットフォーム対応のメッセージングサービスと直接競合する。また、ハングアウトサービスのWebバージョンでは新機能が追加されており、絵文字の利用や画像共有が可能になった他、友人がオンラインでなくてもIMを送信できるようになった。
Skype、FaceTimeと機能を比較
それでも、ハングアウトはビデオ通話サービス(「ビデオハングアウト」と呼ばれる)が主体であり、Skype、FaceTime、ooVooのような類似サービスと比較されることが多い。
まず、機能について見てみよう。米Microsoft傘下のSkypeが提供するSkypeは、無料アカウントではIM、ビデオ通話、ファイル共有などができる。有料のPremiumアカウントではこれらに加え、割安な料金での国際音声通話や、最大10人までのユーザーでのグループビデオ通話などもできる。
米AppleのFaceTimeは、同社のiChatサービスとともに使うと、IMや、最大4人までのビデオ通話(グループ音声通話は9人まで)、ファイル共有、画面共有が可能だ。
米ooVooが提供するooVooの無料版では、こうした機能が全て利用でき、ビデオ通話は12人まで可能だ。ただし、Macを使う場合、画面に表示されるのは最大6人で、他の人については声しか聞こえない。また、ooVooでは、ビデオ通話中のユーザー全員が自分の画面のooVooウィンドウで、同時に同じ動画を見ることができるWatch Together機能も提供されている。
SkypeとooVooはPCとモバイル端末(BlackBerry 10搭載端末を含む)に対応しており、ダウンロードする必要がある。FaceTimeはiOSおよびMac OS Xユーザー専用だ。
Googleハングアウトは全ての人をターゲットにしている。ビデオハングアウト、Googleトーク、Gmail通話といったサービスは、全て円滑に連携する。これらの組み合わせは、Skype、FaceTime、ooVooを上回る豊富な機能を提供する。
Googleハングアウトでは、ユーザーは最大10人で同時にビデオ通話ができ、一緒にYouTube動画を見ることもできる。ハングアウトは画面共有や、Googleドライブを使ったコラボレーションもサポートしており、これはビジネスユーザーや、グループプロジェクトに共同で取り組む学生にとって重要な機能だ。さらに、ハングアウトの“オンエア”機能により、ユーザーはビデオ通話の動画を、自分のGoogle+プロフィール、YouTubeアカウントおよびYouTube動画リンクを埋め込んだWebサイトでライブ配信できる。
ハングアウトを立ち上げ、画面隅の「On Air」ボタンをクリックすると、ライブ配信が開始される。ハングアウトが終了すると、配信動画は自動的に保存され、ユーザーのYouTubeアカウントにアップロードされる。こうしたオンエア機能の使い方にはほぼ無限の可能性がありそうだ。例えば、この機能により、学校行事に出席できない家族のために、学校が行事の様子をライブ配信したり、アーティスト志望者が誰かの目にとどまることを期待して、手っ取り早くリビングから世界に向けてパフォーマンスを披露するといったことが可能だ。
ビジネスツールとしてのハングアウト
既に消費者との交流にハングアウトオンエアを利用し始めている企業がある。英Penguin Booksは、ビデオハングアウトを使ったブッククラブ(読書サークル)の様子をライブ配信している。スティーブン・スピルバーグ監督は俳優のジョセフ・ゴードンレビット氏とともに、ハングアウトオンエアで映画『リンカーン』の予告編を初公開した。ゴルフトーナメントを運営する米PGA Tourとプロレス団体の米WWEも毎週、それぞれハングアウトのライブ配信を行い、ファンと接している。ユーザーは、指定されたハッシュタグを使ってイベントのGoogle+ページやTwitterに投稿し、会話に参加できる。
Googleハングアウトサービスの企業における使い方は、顧客やファンとの交流だけに限らない。在宅勤務の普及が進む中、画面共有ツールとGoogleドライブによるコラボレーションツールのおかげで、Googleハングアウトは、ビジネスビデオ会議の有力な選択肢となっている。しかし、Googleハングアウトはビジネスに重宝するだけではない。グループプロジェクトに頻繁に取り組まざるを得ず、さまざまなGoogleサービスに精通していることが多い学生にとっても、ハングアウトは使いやすいソリューションだろう。
全ての人のためのハングアウト
Googleは2012年6月、Gmailが4億2500万人の月間アクティブユーザーを獲得し、Hotmail(現Outlook.com)を抜いて、最も使われるWebベース電子メールクライアントになったと発表した。この4億2500万人のユーザーは、Googleハングアウトサービスに簡単にアクセスできる。Googleは自社のアプリケーションをシームレスに統合しており、そのおかげで、Gmailアカウントを使っているときにGoogleハングアウトを開始するのは簡単であり、ほとんど意識せずに行える。
ハングアウトは、PCではGmail、Google+プロフィール、ハングアウトChrome機能拡張から、モバイル端末ではハングアウトアプリから、直接開始できる。ビデオ通話が始まったら、ユーザーの追加は、名前か電子メールアドレスを入力するだけで可能だ。ハングアウトは、どの機能のユーザーインタフェースもシンプルで直感的だ。
米TechTargetでは、スペイン、オランダ、米国のフロリダとボストンにそれぞれ在住の4人がビデオ通話を行い、Googleハングアウトをテストした。このサービスは宣伝通りに機能し、ビデオも音声も遅延がなかった。これはGoogleサービス自体と同じくらい、テストに使われたハードウェアの質のおかげかもしれないが、いずれにしても大きな長所だ。
画面共有機能と、一緒に動画を見られる機能もシームレスに動作した。ファイル共有と、Googleトークによるチャットも、並行して円滑に、かつ直感的に行うことができた。また、ハングアウトには、さまざまな面白機能や少々くだらない機能も盛り込まれている。例えば、画面上の友達の顔に海賊帽や口ひげといった、いろいろな小道具を加えられる機能がその1つだ。
Googleサービスはどれもユーザーインタフェースと連携がシンプルで直感的であり、技術に詳しいティーンエージャーからあまり詳しくない高齢者まで、誰でも簡単にハングアウトを使いこなせそうだ。
Googleハングアウトは浸透するか
Skypeは2013年4月、ユーザーがSkypeを使ってお互いにつながっている時間が1日当たり合計20億分以上に上ると発表した。ooVooは2012年8月、ユーザーが5400万人に達し、1日10万人近くのペースで増えていると発表している。
Googleは、ハングアウトのユーザー数の具体的な統計データを一切公表していない。だが、2012年12月、Google+プラットフォームのアクティブユーザー(Google+の標準ニュースストリームだけでなく、アプリケーションも利用しているユーザー)が2億3500万人に達しており、5億人以上のユーザーがGoogle+プロフィールに更新したと発表している。
だが、Googleは断然大きなユーザーベースを持っているのに、Googleハングアウトについてデータがあまり明らかにされていないのはなぜか。完全には答えられないが、知識に基づく幾つかの推測はできる。まず、Skypeは、消費者に提供された初の本格的なビデオ通話サービスであり、そのために初めて普及した。ユーザーは、自分の役に立つサービスを愛用するようになると、より新しい、より良いかもしれない選択肢が出てきても、これまでのサービスをそのまま使い続ける傾向がある。
また、Googleは非常に豊富な機能セットを提供しているため、ハングアウトはGoogle+プロフィールや、同社がラインアップする多くのコミュニケーションツールの中に埋もれてしまうかもしれない。ただし、クロスプラットフォームでスタンドアロンのハングアウトアプリがリリースされたことは、ユーザーがハングアウトサービスに注目するきっかけになるかもしれない。
Googleハングアウトは、類似サービスと機能を比較すると、同等以上だ。Googleはこのサービスのアップグレードを続けており、いつかは誰もが「スカイプする」代わりに、「ハングアウトする」ようになる日が来るかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
9
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
-
10
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー