HTML5対応で進む機能強化
Webブラウザが“OS化”しつつある
HTML5に対応することでWebブラウザはネイティブのアプリケーションに負けないほどの機能を実装しつつある。この進化はさまざまなアプリケーションに影響を与えるだろう。
今日、WebブラウザはOSに近づきつつある。特にHTML5に対応したWebブラウザでは、米Appleの「iOS」や米Googleの「Android」だけでなく、米Microsoftの「Windows」やAppleの「OS X」をほうふつとさせる機能が搭載されている。また、「Chrome OS」や「Chromium」(Chrome OSのオープンソース版)など実際にブラウザOSも誕生している。他のOSと同様に、ブラウザOSで実行されるソフトウェアとツールでは、新しく追加された機能を活用できる。
Webブラウザの機能は着実に強化されている。開発者ではなくエンドユーザーに最も大きな影響があるのはGPUアクセラレーションだろう。
GPUアクセラレーション対応のWebブラウザでは、一部のHTML5に関するユーザーエクスペリエンスが大幅に向上している。さらに使用するプロトコルによっては、ビデオのパフォーマンスが大幅に向上する。例えば、JPEGでエンコードされたイメージがクライアントに送信される場合、WebブラウザはGPUを使用してイメージの処理速度を上げることができる。処理速度はCPUを使用した場合よりも格段に速くなる。CPUには、他の視覚効果の処理など、イメージ以外の処理の負荷が掛かっている。そのことを考えれば当然の結果だろう。
GPUアクセラレーションが可能なフォーマットを使用しないクライアントでは、興味深い問題が生じる。例えば、サーバとクライアント間の双方向通信を可能にするWebSocket経由でリモートデスクトッププロトコル(以下、RDP)を実行した場合について考えてみよう。この場合、ネットワーク経由でクライアントに渡されるイメージはランレングス圧縮(RLE)形式で圧縮される。RLEは旧式のイメージ圧縮形式であり、Webブラウザの標準機能ではまず処理できない。そのため、JavaScriptでイメージを描画する必要が生じる。
Webブラウザの進化で簡単になった処理もある。組み込みのPDFビュワーによる出力処理、ブラウザウィンドウへのドラッグアンドドロップによるファイル転送、クリップボードのマッピングなどだ。どの処理もネイティブクライアントのエクスペリエンスには及ばない。だが、初期のWebブラウザでは、これらの機能は存在すらしていなかった。
Webブラウザのプラグイン
HTML5ではアドインを追加する必要はない。つまり、真のHTML5で構築したデスクトップであれば、HTML5対応のWebブラウザを使用して、どのデバイスからでもそのデスクトップにアクセスできる。だが、プラグイン(ブラウザアプリケーション)を追加し始めると雲行きが怪しくなる。
例えば、Chromeを搭載したクライアントPCへのリモートデスクトップを実現する「Chromeリモートデスクトップ」のChromeアプリでは、ローカルリソースへのアクセス権が必要になる(参考:iOS向けも期待 Android向け「Chromeリモートデスクトップ」の高い評判)。この場合、ローカルリソースへのアクセスは、Webブラウザでネイティブコードを動作させる技術 「Google Native Client」(NaCl )経由で行われる。NaClはChromeアプリ用の分離されたアプリケーション環境だ。NaClでアプリを実行すると、開発者がローカルデバイスの機能にアクセスできる範囲が広くなる。
NaClで実行されるWebブラウザベースのリモートデスクトップクライアントは、ローカルリソースに対して多大なるアクセス権を持っている。そのため、クライアントは使用するプロトコルを自由に選ぶことができる。従来のプロトコル、テキストベースのJPEG、モーションJPEGのいずれも使用可能だ。また、ユーザーエクスペリエンスは使用するプロトコルによって異なる。
ほぼ全てのWebブラウザにはプラグインがある。プラグインが抱える最大の課題は、プラグインがデバイス依存だということだ。NaClで動作するアプリには、ノートPCやデスクトップPCで機能するにもかかわらず、iOSでは機能しないものがある。
Webブラウザベースのリモートデスクトップクライアントについても、1つとして同じものは存在しない。また、Webブラウザ経由でアクセスするデスクトップだからといってHTML5を使用しているとも限らないだろう。
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