挑戦者から王者まであらゆる企業に必須
ライバルはAmazon? Uber? 戦う企業のためのデジタル顧客戦略3ステップ
一貫性のある顧客戦略をどう構築するか。米Forrester Researchが、デジタル顧客体験の管理、エンゲージおよび測定に必要なツールを解説する。
われわれは、デジタル化によって製品、消費者、従業員、経営、顧客サービスが変化した世界に住んでいる。優れた顧客体験、すなわち顧客が自社とのやりとりの中で得る認識は、顧客の囲い込みや他社との差別化に大きな力を発揮する。それにもかかわらず、一貫性のあるデジタル顧客体験は、いまだ多くの企業に広がっていない。デジタル顧客体験への過度の傾斜は、企業にリスクをもたらすからだ。具体的には、実験に実験を重ねても成果が得られない、重複ばかりで無駄が多い、成果測定のためのデータが少な過ぎる、といったリスクがある。
CIO(最高情報責任者)や顧客窓口、Web/モバイル/デジタル開発担当のアプリケーションリーダーは、会社のイニシアチブをサポートするために、マーケティング部門や経営者と連携し、デジタル戦略を練り上げ、リスクの軽減という難題に進んで取り組まなければならない。
デジタル顧客体験が会社を救う
CIOはまず、プロジェクトチームを鼓舞し、デジタル体験が顧客と会社の関係構築に有効である理由として、以下のような点に目を向けさせる必要がある。
- デジタルタッチポイントはエンゲージメントを強化する
- デジタル化した競合他社の脅威
- デジタル体験は多彩でパンチ力がある
- モバイルはデジタルを普及させる
タッチポイント(顧客との接点)が実店舗とコールセンターしかなかった時代、企業への問い合わせは難しく、また不便だった。しかし、Webサイト、モバイルアプリ、SNS(ソーシャルネットワークサービス)など、デジタルエコシステムの普及拡大により、タイムリーかつ簡便なやりとりが可能になり、今日のライフスタイルにうまく適合して、企業と顧客のコミュニケーションは大きく前進した。
“Web生まれ”の競争相手は今日、ほとんど全ての産業に浸透し、コストカットを加速し、製品の柔軟性を高め、圧倒的な体験を提供している。米Amazon.comに挑む小売業者から米Uberと戦うタクシー業界に至るまであらゆる企業が、競争相手からの脅威に対抗し、さらには一歩踏み込んで差別化するために、独自のデジタル体験に取り組まなければならない。
メディアを駆使した“没入型”タッチポイントは、認知から購買に至るまでのギャップを埋める体験を可能にする。例えば、Uberや米Lyftで配車を依頼すると、顧客は運転手について知ることができ、ピックアップまでの経路や時間を確認でき、運転手への支払いとサービスに対する評価も簡単に行える。企業は、デジタルタッチポイントからデータを掘り起こし、顧客とのやりとりに関する実体的な情報を得て、迅速な分析を行うことが可能になる。さらに、デジタルチャネルとタッチポイントは、比較的少ない投資で大きな見返りを得ることが期待できる。
2017年までに、米国の成人オンライン人口の74%がスマートフォンを所有し、同46%がタブレットを所有する。米国の外に目を向けても、アジア太平洋地域でモバイルは急速に普及しており、世界レベルでもモバイル導入はパラダイムシフトを引き起こしつつある。こうした状況は、既存顧客や見込み客、従業員に、コンピューティングパワーやさまざまな情報への、いまだかつてないアクセスをもたらした。このアクセスは、全ての情報をあらゆるデバイス、あらゆる状況下で個々人の必要に応じて入手できるという期待とともに出現した。
デジタル能力を開発する3ステップのプロセス
多くの企業がデジタル体験に取り組むために、さまざまな技術に膨大な投資を行ってきた。だが、異なるタッチポイントに対して統一されたデジタル体験をサポートするときに必要とされる技術を、企業は必ずしも全て持っているわけではない。
米調査会社Forrester Researchでは、デジタル能力をチェックするシンプルな3ステップの評価プロセスを提案している。
1. 体験作成プロセスを管理する
ビジネスユーザーがデジタル体験や関連するコンテンツを作成して管理する場合に必要な技術は、コンテンツオーサリングツール、チェックイン/チェックアウトやバージョン/権限管理などの基本のコンテンツサービス、そしてワークフロー/承認だ。
2. 顧客、提携先、見込み客をエンゲージする(関心や愛着を高める)
ここでの一連の技術は、顧客同士のやりとりに加え、デモグラフィック(年齢や性別などの人口統計学的な属性)、閲覧行動、言語、地域、デバイスなどの要素別にコンテンツを変換する仕組みをサポートする。また商取引や取引先との付き合いなどもサポートする。
3. 体験に対する反応を測定する
アナリティクスを通してマーケティング担当者は、ユーザーがタッチポイント内でどのように行動するか、ユーザーが体験していることに対してどのように反応するかといったことをデータとして手に入れることができる。A/Bテスト(AとBの2パターンを比較して選択するテスト)や多変量テスト(複数の要素の組み合わせを入れ替えて効果を測り最適な組み合わせを見つけるテスト)のツールを利用すれば、施策を大規模に展開する前に、特定のセグメント向けに作成した複数のデザインを検討することが可能だ。これらの技術は、徐々に管理ツールとプロセスツールに統合化されつつあり、コンテンツはマーケティング担当者や情報担当者が作成した段階ですぐに利用可能になり、さらに、(自動コンテクスト化を可能にする)エンゲージメント技術に統合化されつつある。
本稿筆者のステファン・パワーズ氏は、米調査会社Forrester Researchの副社長でリサーチディレクター、マーク・グラナン氏は同社のアナリスト。両氏はアプリケーション開発・デリバリーのプロフェッショナルでもある。
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