失敗しないための4つのチェックポイント
会社用「App Store」「Google Play」をどう作る? モバイルアプリ配布のコツ
企業内アプリストアは従業員にモバイルアプリへのアクセスを提供するための仕組みだ。これをうまく構築するためには、管理のしやすさやライセンス、クロスプラットフォーム対応などを考慮する必要がある。
モバイルユーザー向けに企業内アプリストアを構築したいのであれば、プラットフォームを購入し、自社のニーズに合わせて構成設定する作業が必要となる。
企業内アプリストアがあれば、従業員は一般消費者向けのモバイルアプリストアと同様の方法で、アプリのダウンロードやインストールを実行できる。ただし、企業版のアプリストアは単なるポータルではない。エンドユーザーにアプリを配信するために、バックエンドでは複雑なシステムが稼働している。
企業内アプリストア用のソフトウェアやクラウドを用いた同様のサービスを提供しているベンダーは数多く存在し、それぞれが独自の手法でアプリを配布している。そのため、バックエンドの配信メカニズムに関しては、製品間に一貫性はあまりない。
ID管理
まず考慮すべき問題の1つはID管理だ。ユーザーにアプリストアの利用を承認し、ユーザーのアプリ入手状況を追跡する方法が必要となる。
人気の高い企業内アプリストアの大半は米Microsoftのディレクトリサービス「Active Directory」に対応しており、ユーザーまたはデバイスのいずれかをベースに認証を行うことができる。タブレットやスマートフォンなどコンシューマーレベルのデバイスには大概「ドメイン参加」の機能がないので、ほとんどの場合はユーザーベースの認証が好まれる。
「Windows Server 2012 R2」には「Workplace Join(社内参加)」という認証機能があり、個人デバイスとActive Directoryの連携に使用できる。ただし、通常Active Directoryオブジェクトを使用するドメイン参加機能とは異なり、Workplace Join機能は認証に証明書を用いる。
一般向けアプリストアの利用
企業内アプリストアを構築する場合、一般のアプリストアからもユーザーがアプリを入手できるようにするかどうかを決める必要がある。企業内アプリストアのプラットフォームには、米Googleの「Google Play」や米Appleの「iTunes」といった一般のアプリストアとの統合をサポートしないものもある。
企業内アプリストアにおいて一般のアプリストアへのアクセスを提供する場合は、アプリのライセンス方法も決める必要がある。プラットフォームによって選択肢は異なるが、通常、企業内アプリストアはユーザーポータルと一般向けアプリストアの仲介役を果たす。
こうした場合、エンドユーザーは自身のActive Directoryアカウントを使って企業内アプリストアにログインする。ユーザーが一般のアプリをリクエストすると、企業内アプリストアがサービスアカウントを使って一般向けアプリストアから当該アプリをダウンロードし、それをエンドユーザーに提供するという仕組みだ。
ライセンスの問題
企業内アプリストアから一般のアプリストアを利用できるようにするのなら、アプリのライセンスの問題への対処法も検討する必要がある。企業内アプリストアの中には、一般向けアプリストア内の無料アプリへのアクセスだけを提供し、有料アプリへのアクセスを提供しないものもある。
あるいは、有料アプリのライセンスについては事前購入を必須にするという方法もある。例えば、ある一般向けアプリを社内のアプリストア経由で従業員に提供したいとする。そのような場合、当該アプリのライセンスを先に100本分購入してから、従業員によるダウンロードを許可するといったやり方が可能だ。ユーザーがアプリをダウンロードする際には、ライセンス数の上限を超えないよう、使用中のライセンス数を企業内アプリストアが確認する。
一般のアプリストアを利用する場合、ユーザーは通常、アプリ購入時の決済に使えるようクレジットカード番号を入力する。企業内アプリストアの中にも、同様の方法を用いるものがある。ただし、そのような場合、ユーザーごとにクレジットカード番号の入力を求めるのではなく、アプリストアにおける全ての購入に対して会社全体で1つのクレジットカードを使う形が一般的だ。
アプリ購入にこうした方法を用いる企業内アプリストアは大半が、不正使用を防ぐための仕組みを豊富に用意している。一般的な対策としては、例えば、アプリを購入できるユーザーをアクセス制限によって制御する「パーミッションモデル」がある。
その他、支出の上限を設定したり、アプリの購入には上司の承認を必須としたりといった対策もある。また管理者は通常、各アプリを個々に承認または拒否する権限を持つ。
カスタムアプリ
多くの場合、企業は従業員にカスタムアプリを配布する方法として企業内アプリストアの構築に乗り出す。プラットフォームごとに違いはあるが、アプリストアがあれば、カスタムアプリの追加は概して容易だ。
カスタムアプリをストアにアップロードした後、管理者は通常、アプリの名前と説明を入力し、対応するモバイルOSを選択する。中にはスクリーンキャプチャー機能をサポートするストアもある。
企業内アプリストアの構築は概してシンプルな作業だ。それでも、購入前にソフトウェアの機能をしっかり確認することは重要だ。企業内アプリストアによっては、例えばAndroidデバイスしかサポートしないなど、対応するデバイスが制限されている場合もある。
同様に、企業内アプリストア製品には、一般向けアプリストア内のアプリへのアクセスを提供しないものもある。従って、自社のニーズを十分に満たすアプリストア製品であるかどうかを導入前にしっかり確認することが重要となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ゾーホージャパン株式会社] サイバー攻撃からネットワークを守る上で確実に押さえておきたいポイントとは? -
事例
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 中小企業でも安心して活用できる「手ごろなSOCサービス」とは? -
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
NECの「BluStellar」に必要なデータ保護と活用のための技術とは
-
5
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
6
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー