社員のモバイルアプリ管理が容易に
“社内”App Store、Google Play構築のススメ
企業ではモバイルアプリケーションをより適切にコントロールするため、米Appleや米Googleが運営するアプリストアに代わり、IT部門が用意した企業内アプリストアが使われるようになっている。
「モバイルアプリストアは、社内アプリケーションの配布、ボリュームライセンス契約の管理、承認済みのパブリックアプリの提供を容易に実現できる手段になる」と話すのは、製薬会社の米Sanofiでモバイルエンジニアリング担当ディレクターを務めるブライアン・カッツ氏だ。
調査会社、米Gartnerのアナリスト、イアン・フィンリー氏によれば、米AppleのApp Storeや米GoogleのGoogle Playでは、マルウェアが組み込まれたアプリが提供されている可能性があるが、IT部門が用意したアプリストアは、それらに代わる信頼できるアプリストアになるという。
Gartnerは2013年2月に発表したリポートにおいて、「今後5年間で、企業の25%がモバイル端末で使われる会社公認のアプリを管理する企業内アプリストアを導入する」と予想している。ただし現在、企業内アプリストアを運用している企業数は明示していない。
「企業内アプリストアは、モバイルアプリケーション管理(MAM)の最大の課題であるポリシー徹底とセキュリティ対策を解決する。企業内アプリストアがなければポリシーとセキュリティを使ってモバイルアプリケーションを保護することはほぼ不可能だ」と語るのは米Citrix Systemsのモビリティ担当ゼネラルマネジャー、アミット・パンディ氏だ。
「皆、話題にするのを避けるが重要なのは配布モデルを確立することだ。それがなければMAMは使い物にならない」(パンディ氏)
また、モバイルアプリケーションの配布はIT部門がコントロールできる“関所”で行われなければ、極めて複雑になり得る。
例えばパブリックアプリストアから配布するアプリの場合、一般向けバージョンとアプリのラッピングが可能なバージョンの2種類を用意することがソフトウェアベンダーに義務付けられる場合がある。しかし、「ユーザーが正しいバージョンをダウンロードする保証はないし、そもそもソフトウェアベンダーがそんな要求に応じるとも限らない」とパンディ氏は指摘する。
Gartnerのフィンリー氏は「モバイルアプリケーションの配布に内部システムを利用している組織は、従業員によるアプリの使用状況をよりきめ細かくコントロールできる」と指摘する。実際、リテールマーケティング企業、米Ivie&Associatesの情報システムディレクター、ジェイ・アックリー氏は、「ユーザーがどんなアプリを使っているか全く把握できていなかった」と話す。
モバイルアプリ管理のさまざまなアプローチ
約3年前(2010年4月)のiPadのリリースで従業員の意識が大きく変化し、縛りのある会社支給の端末ではなく、私物端末を業務に利用したいという声が強くなった。「IvieでこのようなBYOD(Bring Your Own Device)に向けた動きが本格化したのが約1年半前だ」とアックリー氏は話す。
アックリー氏の推測では、現在Ivieの従業員約500人のうち約75%がスマートフォンと、タブレット端末を業務に利用している。その結果、同社のIT部門が管理する対象は、従来のハードウェアから従業員が使うアプリとデータへとシフトしている。
ユーザーが好き勝手にアプリケーションをダウンロードして使っていたので、「私は少し急ぎ始めた」とアックリー氏は振り返る。
IvieのIT部門はモバイル環境をコントロールする能力を失いつつあった。そこでアックリー氏は米Apperianのアプリケーションストアと管理ツールを導入することにした。
新入社員は、送られてきたSMSメッセージからApperianのアプリストアをダウンロードすると、IT部門が精査したパブリックアプリとカスタムアプリにアクセスできる。
このアプリストアのおかげで、ユーザーが希望する私物端末の業務利用を撤回することなく、IT部門は安心できるレベルでコントロールできるようになった。また、企業内アプリストアを採用したことで予想外のうれしいおまけもあった。IT部門と業務部門間の連携がさらに良好になったのだ。
「アプリストア導入の結果として、今ではオープンドアポリシーが確立している」とアックリー氏は話す。「ユーザーは仕事に使いたいアプリケーションを見つけたら、IT部門に報告をする。IT部門はそのアプリケーションを評価し、承認できるものであれば社内ストアで公開する。ユーザーはIT部門がタイミングよくこの処理をすることが分かっているので、IT部門に隠れて何か画策をする必要もなければ、古いアプリケーションに甘んじることもない」
中には、新しいソフトウェアのライセンスを購入するのではなく、既存のソフトウェア投資を生かして社員向けのモバイルアプリ用ポータルを作成している企業もある。
「もっと確実な企業内アプリストアのソリューションはきっとあるだろうが、弊社では基本的に社内Webサイトを使っている」と製造企業でグローバルサプライマネジメントのプロセスとシステムを統括するアーニー・ヒューバー氏は話す。「構築もそれほど難しくなかった」
ヒューバー氏の会社ではSharePointポータルを構築し、モバイル端末の業務利用に関する資料と、承認されているモバイルアプリケーションへのリンクを管理部門が公開するリポジトリとして利用している。認定社外アプリについては、単純にGoogleやAppleが運営するパブリックアプリストアへのリンクを掲載している。一方、社内のカスタムアプリは、SharePointポータルに接続されている社内リポジトリから配布する。
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