医療IT最新トピック
日野市とGEヘルスケアが実践――高齢社会の新しい官民連携モデルを探る
東京都日野市とGEヘルスケア・ジャパンの高齢社会の課題解決に向けた協業、育児に役立つコンテンツを提供するスマホアプリの提供開始など、医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、東京都日野市とGEヘルスケア・ジャパンの高齢社会の課題解決に向けた協業、訪問介護/看護の最適ルート支援サービス、育児に役立つコンテンツを提供するスマホアプリなどを取り上げる。
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日野市とGEヘルスケア、高齢社会の課題を解決する連携モデルの構築を目指す
東京都日野市とGEヘルスケア・ジャパンが「少子高齢社会における地域連携モデル作りのためのパートナーシップ協定」の締結に合意した。今後両者は資源、人材、ノウハウやネットワークなどを活用し、地域発のソーシャルイノベーションの創出を推進するという。この協定に基づく、具体的な取り組みは以下の6分野となる。
| 分野 | 具体的な取り組み |
|---|---|
| 地域の健康・医療・福祉の向上に関すること | ビッグデータの分析ノウハウを活用した地域健康課題の分析支援、2014年11月20日に解説する「イオンモール多摩平の森」での啓発活動の連携 |
| 地域産業の活性化に関すること | 産業支援施設(2015年整備予定)における連携:人材育成やGEヘルスケア・ジャパンのナレッジ活用 |
| 産官学連携による地域人材の育成に関すること | 学校と連携した理科教育、リーダーシップ人材の育成、連携大学などとのインターンシップの協力 |
| 女性が働きやすい街づくりの検討に関すること | 女性就業者の視点からの行政との意見交換会の開催、産官学連携による女性の社会参画意識の啓発 |
| 災害時の支援、連携に関すること | 災害時の要支援者のサポートにおける連携 |
| その他、地域の活性化に関すること | 地域の啓発活動などのイベントでの協力 |
市制50周年を迎えた2013年、日野市は次の50年を見据えて「人口バランス・定住化促進戦略」「産業立地強化・雇用確保戦略」「ヘルスケア・ウェルネス戦略」の3つの戦略の策定に着手。新たな職住近接の街づくり、少子高齢社会における医療、介護におけるサービスの充実に向けた取り組みを強化した。その背景には、近年の大型工場の閉鎖や移転、急増した人口の高齢化などの課題がある。日野市の大坪冬彦市長は「日野市は現代の日本を象徴するような課題を抱えている。大学や民間企業、地域団体と社会的課題を共有し、われわれ自治体との協働と共創による“諸力融合”で市民サービス・生活の質の向上、新たなビジネスの創出などのイノベーションを創出したい」と語る。
日野市に本社を構えるGEヘルスケア・ジャパンでは、2009年から日本を“課題先進国”と位置付け、高齢社会に必要な解決策を提供する「Silver to Gold」戦略を展開している。2012年に創立30周年を迎えた同社は、従業員の自主的なプロジェクトチームが複数立ち上がった。その中で日野市の高齢化問題の解決に取り組んだチームの活動が、今回の協定のきっかけとなった。GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者)の川上 潤氏は「日野市での取り組みで学んできたことを“地域版Silver to Gold”モデルとして広く発信する」と語る。
同社のプロジェクトチームは、介護老人保健施設や特別養護老人ホームの現場視察(2012年)から始まり、その後日野市の関係部署・職員との対話を進めて高齢者健診率向上や簡易見守りサービスなどの行政サービスに関する短期的なプロジェクトを実施した。その結果、「日野市は優れた行政サービスを提供しているのに、それらがつながりを持っていないため、市民のニーズにうまく応えられていないことが分かった」(プロジェクトに携わるGEヘルスケア・ジャパンのラジェンドラ・マヨラン氏)という。
現在、プロジェクトチームは日野市と共催で社会福祉協議会、地域包括センター、実践女子大学、首都大学東京、富士通研究所、JR東日本、多摩信用金庫など13の企業・団体が参加する交流会などを定期開催している。マヨラン氏は、GEヘルスケア・ジャパンだからこそ提供できる価値として、ファシリテーションやリーダーシップのスキルの提供、ビッグデータの分析技術を用いて地域の健康課題を分析することなどを挙げた(発表:東京都日野市、GEヘルスケア・ジャパン<2014年11月17日>)。
訪問ルート作成支援サービスを共同開発:セントケア、ちばぎんコンピューター
セントケア・ホールディング(セントケア)、セントワークス、ちばぎんコンピューターサービス、ちばぎん総合研究所が、在宅介護の最適な訪問ルートを自動作成する新サービス「訪問ルート作成支援サービス」を共同開発した。セントケアが提供する介護経営サポートシステム「SuisuiRemon」のオプションサービスとして2014年9月に先行導入しており、2015年1月からセントワークスとちばぎんコンピューターが外販を開始する。
訪問ルート作成支援サービスは、介護サービス利用者の重症度や介護職員の熟練度、移動手段、移動距離などの条件を基に、利用者と介護職員の相性や介護職員の負担の平準化に配慮した、在宅介護の最適な訪問ルートを自動作成するサービスだ。まず、各訪問系事業所が、利用者、介護職員、相性設定など訪問ルート作成に必要な情報をSuisuiRemonに登録してスケジュール作成処理を行う。SuisuiRemonはインターネット回線経由でちばぎんコンピューターのデータセンターに情報を伝達し、同データセンターから最適な訪問ルート情報を返却してもらう仕組みを取る。
利用者情報としては、
- 位置情報(住所、緯度、経度)
- 駐車の可否
- ケアに必要な介護職員の熟練度(3段階)
- 介護職員の心理・身体的負担(3段階)
- サービス開始時間の許容範囲
などを登録する。また、介護職員情報としては、
- 移動手段
- 提供できるサービスの熟練度(3段階)
- 心理/身体的負担の上限値
などを登録する。
これらの情報を基に得た「Microsoft Excel」形式の訪問ルート情報に利用者と介護職員の相性を入力して再度システムに取り込むことで、利用者ごとの月間スケジュール、訪問ルートを作成する。セントケアによると、訪問ルートの作成担当者から「これまで30分~1時間かかっていた作業がボタン操作1つで完了し、訪問ルート作成に費やす時間を削減できた。その時間をスタッフの人材育成などの業務に当てることができた」といった声が上がっているという。業務の効率化による利益改善やコミュニケーション時間の創出による介護人材の定着に向けた効果が期待できると説明する。
訪問ルート作成支援サービスの月額利用料は、3万3000円(税別)。SuisuiRemonとの組み合わせ販売(SuisuiRemonの基本利用料は2万円)となる(発表:セントケア・ホールディング、セントワークス、ちばぎんコンピューターサービス、ちばぎん総合研究所<2014年11月19日>)。
SDVによる品質管理手法にダメだし――メディデータ
メディデータは、治験実施施設のリスクに基づくモニタリングにおける「原資料の直接閲覧(source document verification:SDV)」の持つインパクトを評価するデータ解析結果を発表した。治験を効率化する手法の開発に向けて製薬大手企業10社が設立した企業連合である、TransCelerate BioPharmaと共同で実施した。
この共同解析では、メディデータのクラウド型臨床研究支援サービス「Medidata Clinical Cloud」が提供する業務データを使用して、症例報告書(CRF、電子CRF)データと原資料との照合プロセスであるSDVが臨床試験データ全体の品質にどの程度寄与しているのかを調査した。解析の結果、SDVによって修正されるのは治験実施施設の電子CRFデータの1.1%であることが明らかになった。両者は、データ全体の品質に対するSDVの影響は極めて小さいことを確認したという。
また、セントラルモニタリング(※1)と原データレビュー(※2)は、総合的な価値がSDVと比べて高く、SDVを臨床試験の主要なデータ品質管理手法として使用すべきでない、という結論を裏付けるものだと説明する(発表:メディデータ<2014年11月26日>)。
※1:central monitoring:症例報告書などの提出物から医療機関での臨床試験実施状況を把握し、規定の手順や観察項目から逸脱していないか、被験者の権利と安全性に必要な配慮がなされているかなどを確認する作業。
※2:source data review: SDR。原データの品質チェック、プロトコルのコンプライアンスのレビュー、重要プロセスと原資料などの適合性を確認するプロセス。
ORCAとのデータ連係に成功、メディ・ウェブ
メディ・ウェブが提供するクラウド型診療支援サービス「3Bees」が、日本医師会のレセプトコンピュータソフト「ORCA」とのデータ連係に成功したことを発表した。
メディ・ウェブが約2000件のヒアリングを重ねた結果、要望が非常に多く、業務効率改善、スタッフの負担軽減と患者サービスの向上に大きく貢献することが見込まれる「レセコン、電子カルテへの接続」を最重要テーマの1つとして開発に着手。マイクロサーバ「Beeエクスチェンジ」を活用し、診察予約、診察順番表示など6つの全アプリとORCAとの接続、データ連係を実現した。
メディ・ウェブでは、順番表示や予約システムなどの入力効率が向上し、受診患者情報をより効率的に管理できるようになると説明。このサービスの利用には、有料版「3BeesPremium」への契約が必要となる(発表:メディ・ウェブ<2014年11月26日>)。
信頼性の高い育児関連情報を配信するスマホアプリ「育児手帳」
博報堂DYメディアパートナーズは、スマートフォンアプリ「育児手帳」を開発し、2014年11月27日から「Google Play」「App Store」で無料配信を開始した。NTTドコモと共同で2013年12月から運営している「妊婦手帳」アプリをベースに開発した。
育児手帳は、医師や専門家が監修した信頼性の高い育児関連情報を月齢に合わせて配信するサービス。毎週届く子どもの成長コラム「This Week’s Baby」、よくある悩みに関する「育児Q&A」、その時期に行ってほしいことやアドバイスを配信する「お子さまのためにして欲しいこと」などを提供する。
また、子どもの成長の意味を理解しながらその経過を記録するツール「子育てレコード」では、乳児期から6歳までの発達判定法「デンバー式発達スクリーニング検査」を参考にした。その他、連携医療機関から通院中の両親などへ情報提供ができる医療機関向けツールも用意。ソニーマーケティング、明治、ピジョンなどの協賛企業が、3歳までの育児に役立つ機能やコンテンツを提供する(発表:博報堂DYメディアパートナーズ<2014年11月27日>)。
睡眠の悩みに回答するQ&Aサイト「カラダメディカ」
エムティーアイが運営するスマートフォン向け健康Q&Aサイト「カラダメディカ」は2014年11月27日、新メニューの「睡眠相談」を追加した。
カラダメディカは、電話やメールで24時間365日、ユーザーの質問や疑問に現役医師や看護師、薬剤師などが回答するサービス。今回追加した睡眠相談メニューでは、睡眠専門外来に勤務する医師が原則24時間以内にメールで回答する。
カラダメディカでは、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなどの疾患から、遅寝遅起き、睡眠まひによる金縛りまで幅広い症状を診察している現役医師が、症状緩和のためのアドバイスを提供するという(発表:エムティーアイ<2014年11月27日>)。
病院検索・予約Webサイト「ESTDoc」をリニューアル
エストドックは、病院検索・予約Webサイト「ESTDoc」を2014年12月1日にリニューアルした。ESTDocは診療科目、日時、場所を指定して医療機関を検索し、空いている時間を選んで予約・診療受付をするサービス。
今回のリニューアルでは、内科や産婦人科、小児科、眼科、皮膚科などの診療科を対象に、30分以内で診療が可能な時間帯を画面表示できるようにした。名前、電話番号のみで予約が取れるSMS機能を搭載したことで、従来は診察予約の際に入力が必須であったメールアドレスを不要にした。また、病院の満足度の把握に役立つ「満足スター」機能を追加。ユーザーが実際に通院した医療機関について、「清潔感」「待ち時間」「総合評価」の3項目の満足度を星の数で評価できる(発表:エストコーポレーション<2014年12月1日>)。
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