医療IT最新トピック
インフルエンザや熱中症の危険性が分かる室内見守りサービスが登場
医療・ヘルスケア業界のITベンチャー支援プロジェクト、インフルエンザ感染の危険性を知らせる「室内環境見守りサービス」の提供など、医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、医療・ヘルスケア業界のITベンチャー支援プロジェクト、アジア全体のヘルスケアIT市場の2020年までの予測、インフルエンザ感染の危険性を知らせる「室内環境見守りサービス」などを取り上げる。
医療・ヘルスケア業界での事業展開を目指すITベンチャーを支援
インフォコムが、医療・ヘルスケア関連分野における新規事業創出プログラム「デジタルヘルスコネクト」を開始した。デジタルヘルスコネクトは、医療やヘルスケアビジネスの関係者とスタートアップ企業とをマッチングし、業界の課題に対する双方の議論を活性化させ、議論から生まれる事業アイデアを実現することを目的とする。
以下の3プログラムを運営・展開することで、医療・ヘルスケア業界のイノベーション推進を支援する。
- ネットワーキングセミナー(医療・ヘルスケア現場と起業家との交流会。ヘルスケアITベンチャーや医療関係者によるセミナー)
- ビジネスプランコンテスト(ITベンチャーや医療従事者らが現状の課題に対する解決方法とそのビジネスプランを競う)
- スタートアップ起業家支援(業界へのアクセスや経験豊富なメンターネットワークの提供で、経営課題の解決を支援する)
現在、実施中のビジネスプランコンテストでは、「ヘルスケアIT」をキーワードに医療、介護、健康、予防などの領域における新規ビジネスの事業プランを募集している(非営利事業は対象外)。審査を通過した応募チームは、医療・ヘルスケアビジネスの従事者からのアドバイス、医療従事者やヘルスケア関連企業との交流、アプリ・インフラエンジニアの技術サポートを受けることができる。また、コンテスト優勝チームは賞金50万円の他に、スポンサー企業との事業提携のアレンジ、資金調達のサポートなどの支援が得られる(発表:インフォコム<2014年12月2日>)。
アジアのヘルスケアIT市場の規模、2020年には倍増
調査コンサルティング会社フロント&サリバンが、アジア太平洋地域(APAC)のヘルスケアIT市場が2020年までに2倍に成長するという予測を発表した。同社の調査報告「アジア太平洋地域におけるヘルスケアIT市場分析」によると、APACのヘルスケアIT市場は2013年から2020年にかけて年平均成長率(CAGR)13.3%で成長し、同市場の規模は2013年の52億7000万米ドルから2020年には126億米ドルに到達するという。今回の調査では、医療機関で用いられる管理・財務情報システムと臨床情報システム(Clinical Information System: CIS)の2分野におけるソフトウェア、サービスを対象としている(ハードウェアは除外)。
同社によると、市場成長の背景には「医療ツーリズムの拡大」「各国政府による医療費削減などを目的としたインセンティブ施策による導入推進」があるという。一方、医療機関が投資に対して慎重となっているとも指摘する(発表:フロント&サリバン<2014年12月4日>)。
インフルエンザの危険性を知らせる「室内環境見守りサービス」
ニフティが、室内環境見守りサービス「おへやプラス」を提供開始。おへやプラスは、離れて暮らす家族の部屋の温度や湿度を、専用Androidアプリから確認できるサービスだ。このサービスでは、ニフティが提供するVPNサービス「スマートサーブ」の機能と、家電操作装置開発業のグラモが提供する赤外線学習リモコン「iRemocon Wi-Fi」を活用している。
ニフティによると、一般的な見守りサービスとは異なりカメラを利用せず、温度や湿度といった室内環境のみを計測するため、家族のプライバシーに配慮しながら見守りができることが特徴だという。また、室内環境の確認機能の他、事前設定した温度、湿度になるとプッシュ通知で知らせる機能、季節性インフルエンザや熱中症の危険を知らせるアラート機能、天気予報データとの連動機能なども提供する。
利用料金は、新規申し込みの場合で初期費用が5000円(以下、税別)、月額利用料金が980円、スマートサーブを利用している場合は初期費用が不要となり、月額680円で利用できる。2015年1月末まで初期費用と月額料金が無料となるキャンペーンを実施。iOS版の提供も予定している(発表:ニフティ<2014年12月4日>)。
サ高住向けのクラウド型システムを共同開発
制御機器製造の日本アレフとマンションサービス業のファミリーネット・ジャパン(FNJ)が、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)分野における「クラウド型スマートウェルネスシステム」の共同開発で業務提携することに合意した。
日本アレフのセンサー技術・システムと、FNJの集合住宅向け情報通信サービスの開発・運営ノウハウを組み合わせて、見守りやヘルスケアのセンサーモニタリングと全戸インターネットサービスを連係するシステムを開発する。このシステムでは、テレビやインターホンなどを使った高齢者向けの情報提供、計測データに基づく健康増進サポート、介護が必要となった場合のセンサー設備の変更などを行う。継続的なQOL(生活の質)向上を支援するとともに、モニタリングやデータの集中管理・分析を通じたサービス運営の高度化支援を目指す(発表:日本アレフ、ファミリーネット・ジャパン<2014年12月4日>)。
健康保険組合/自治体向けの健康管理支援サービスの機能を強化
NTTデータは、健康保険組合などの医療保険者や自治体向けの健康管理支援サービス「クリエイティブヘルスNEXT」の機能を強化した。現在、厚生労働省が計画中の保健事業「データヘルス計画」に対応することが目的だ。
クリエイティブヘルスNEXTは、NTTデータと契約を交わした健康保険組合や企業に所属する組合員や自治体住民が利用できるPHR(Personal Health Record)サービス。利用者は、健診データや血圧、体重、体脂肪率、歩数などの健康データをクライアントPCやスマートフォンで管理して健康増進に役立てることができる。また、利用者に健康増進の取り組みを継続してもらうためのインセンティブプログラムとして、日常生活や運動による歩数、医療保険者が実施する各種イベントへの参加数でポイントがたまるポイントサービスを用意。同サービスでは「Ponta」「ドコモポイント」などのポイントサービスのポイントと交換できる。
厚生労働省のデータヘルス計画では、医療保険者の組合員の生活習慣における問題点の発見や改善を促すため、健診データなどを自己管理ツールで有効活用することを掲げている。同省は現在、全ての健康保険組合でデータヘルス計画の作成に着手するように指導しており、2015年度から第1期を実施する予定。NTTデータはこうした状況を受けて、クリエイティブヘルスNEXTの管理者機能を強化し、特定健診フォーマットで格納された組合員の特定健診データを取り込めるようにした。利用者は健診データを経年で管理したり、自分の検査値が全体の中でどの位置にあるのかを視覚的に捉えやすくなるという。NTTデータは2015年度末までに100団体の新規利用団体獲得を目指す(発表:NTTデータ<2014年12月8日>)。
音声認識を応用した看護・介護用の「見守り呼びかけシステム」を開発
コンテックが、音声認識を応用した看護・介護用の「見守り呼びかけシステム」を開発した。見守り呼びかけシステムでは、患者・要介護者の行動を各種センサーでリアルタイムに見守り、転倒などの危険な動きを未然に検知。自動音声による声かけを行うと同時に、看護・介護従事者にリアルタイムに通報する。
また、起床、離床したときの画像を看護・介護従事者に送信することで、見守り対象者の状態を把握できるようにした。さらに、音声認識で取得した患者・要介護者の会話内容を蓄積。看護・介護従事者はその履歴を看護・介護ケアプランの作成に役立てることができるという。
コンテックでは、この技術を利用したシステムの商品化に向けて研究開発を進める。また、既に提供している「ベッドサイド端末システム」や医療機器組み込み用のコンピュータなどに加えて、医療・介護関連製品/サービスのラインアップを強化する予定(発表:コンテック<2014年12月12日>)。
医療・介護従事者と在宅訪問対応薬局のマッチングサイトを開設
エス・エム・エスは、医療・介護従事者と在宅訪問対応薬局のマッチングサイト「訪問薬局ナビ」(http://pharma-navi.net)を開設した。
在宅訪問対応薬局は、訪問薬局ナビに「対応内容」「実績」「対応可能範囲」などの内容を入力する(「まずは認知症の方の服薬指導から」「平日13時~16時は対応可」「みとり対応実績有り」など)。介護・医療従事者は薬局から提示された詳細な情報を基に、患者が必要としているサービスを提供可能な薬局を選択できる。
訪問薬局ナビはエス・エム・エスが提供する他サービスと連係する。2014年12月16日現在の連係サービスは以下の通り。連係サービスは順次増やす予定だ。
- 「ケアマネドットコム」:ケアマネジャーに特化したコミュニティーサイト
- 「ナース専科」:看護師・看護学生に特化したコミュニティーサイト
- 「ケアマネタブレット」:ケアマネジャー向けの業務支援ツール
同社は訪問薬局ナビを通じて、医療・介護事業者と薬局との連携強化に貢献することを目指す(発表:エス・エム・エス<2014年12月16日>)。
小規模クリニック向け健康診断支援ソフトの廉価版を提供
医療関連システム開発のシステム・ビットとインターソフトウェアは、小規模クリニック向け健康診断支援システム「健診システム Light」の提供を開始した。
健診システム Lightは、インターソフトウェアが提供する総合健診システムの中から健康診断業務に必要な機能のみをパッケージ化したソフトウェア。Windows 7/8/8.1環境で動作する。
- 健診者登録・受け付け
- 検査結果入力
- BMI・標準体重などの自動計算
- 健診結果やメタボリック判定の自動化
- 問診票や健康診断報告書など各種帳票出力
などの機能を備える。オプション機能やサポートサービスの追加も可能だ。パッケージの基本料金は48万円(税別)。
システム・ビットによると、本格的な健診システムはカスタマイズなしでも300万円以上掛かることもあるが、健診システム Lightでは複雑な業務や例外的な業務の対応を避けることでコストダウンを実現したという(発表:システム・ビットとインターソフトウェア<2014年12月16日>)。
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