これで実現“辞めないIT部門”
「スタッフには毎日、1時間の自由を」、IT部門を劇的に変える10のステップ
データセンターには、高さ約42Uの故障しやすく予測不能な装置があふれている。だが同時に、「IT部門」というインテリジェンスも備わっている。
サーバやアプリケーションなど、データセンターの各種コンポーネントの円滑な動作を維持するのは難しい作業だ。だが、生産的かつ革新的なIT部門の構造を実現することの方が恐らくもっと難しい。
「目指しているのは、業績良好で、離職者が出ず、満足感を得られ、部門内でキャリア形成を追求できるチームの構築だ」と、国際複合輸送を手掛ける米Amerijet Internationalのテクノロジー情報サービス担当シニアディレクター、ジェニファー・トローン氏は語る。
Amerijetはデータ管理やライセンス管理を改善し、物理的な信頼性を高めるべく、買収などで各地に散らばっていたデータセンターを2カ所に統合した。1つは米フロリダ州フォートローダーデールに置き、その複製をジョージア州アトランタに置いている。この統合に合わせ、トローン氏はIT部門の構造とオペレーションも徹底的に見直したという。
以下に挙げる10のステップを通じてIT部門を最適化すれば、サーバ使用率の向上と同じくらいの効果を期待できる。実際、離職者のコストは給与を上回る。知識が失われ、プロジェクトは遅れ、書類は中途半端に放置される。その上、新人のトレーニングに時間と費用が必要になる。
現状で各種プロジェクトを期日通りに終了できているとしても、まだ改善の余地はある。目標は、長時間労働やスタンドプレーではなく、持続可能な職場環境だ。
米ミサイル駆逐艦ベンフォールドの元指揮官で、リーダーシップ論で知られるマイケル・アブラショフ氏は、次のように語る。「うまくやってはいても、改善がないようなら、うまくやっていることにならない」。これは、リーダーにもいえることだ。「細かいところまで規定して部下を管理するやり方では、優秀な人材が去ってしまい、残った者だけでは立ち行かなくなる」と同氏は語る。
軍用船の製造を手掛ける米造船会社Huntington Ingalls Industries(HII)の一部門である民間造船所Newport News Shipbuilding(NSS)でIT担当ディレクターを務めるデビッド・デルベッキオ氏は、ITIL(IT Infrastructure Library:ITサービス管理に関するベストプラクティス集)の活用や自動化とオーケストレーションの促進を目指し、IT部門の体制を整え直した。その際、同氏が行ったのは、チームの賛同を得られるよう、そうした取り組みがいかにしてビジネス部門の成功戦略を促すことになるかを詳しく説くことだったという。
優れたIT部門を構築し維持するためのコツについて、経験豊富なリーダーたちに話を聞いた。
データセンターチームを指揮するための10のステップ
1.集団の中でしっかりと働き、積極的に学べるスタッフを採用すること。そして、明確な目標、時間、リソース、トレーニングを与える。トローン氏によれば、理想的なのは自分の仕事を「適度に挑戦的で革新的」と捉えられるようなスタッフだという。
2.デルベッキオ氏によれば、「共通の目標を設定し、なぜその目標を目指すのかについて意見を交わすことが重要」だという。個々のプロジェクトが部門全体の戦略的目標にどのように関係しているのかを確認することが大切だ。
3.若手の管理者など、一番低いレベルの従業員のトレーニングに最大の投資を行う。「上級ネットワークエンジニアなど上層部のスタッフは深い知識を備えており、環境に合わせて自律的に働ける」と、トローン氏は語る。
4.IT部門とユーザーを結び付ける。ビジネス部門がIT部門を信頼していない場合、ビジネス部門は自ら購買決定を下し、IT部門の許可なくIT製品やサービスを利用する「シャドーIT」がはびこることになる。逆に、双方間のコミュニケーションが円滑であれば、ビジネス部門はIT部門の提案やルールに耳を傾けるはずだ。断絶を解消するには、ITスタッフを文字通りエンドユーザーに近い立場に立たせることだ。
「ネットワークエンジニアであれ、時には原点に立ち返り、自分の仕事の使命を再確認する必要がある」とトローン氏は語る。
いったん、部門の枠を超えた連携が実現し、ビジネス部門の延長としての役割を果たすようになれば、製品提供の面でも違いが出てくるはずだ。
5.問題解決に専念するために世界を止めることはできない。買収に伴うデータやプロセスの統合であれ、新しいストレージアレイへの移行でも同様だ。かといって、新しい販売アプリケーションの発売を遅らせるわけにもいかない。回避可能な遅れやミスは、金銭的損失につながるということを肝に銘じるべきだ。
6.チームを構築する際は社外にも目を向けることだ。例えば、ヘルプデスクの機能を外注すれば、「1つのタイムゾーンで午前9時から午後5時まで」しか提供していなかったサービスを「どこでも年中無休」のサービスへと切り替えられる。監視を外注すれば、給与総額を増やすことなく、必要なときにだけ、自社製品を知り尽くした専門家の助けを借りることが可能だ。
7.機能を賢く外注し、自動化した上で、データセンターチームには革新のための時間を与える。スタッフには毎日1時間、自由に使える時間を与え、全てのレベルの従業員に対し、洞察やアイデアの共有を促す。
8.アブラショフ氏が勧めるのは、従業員に一番好きなことと一番嫌いなことの他、自分が責任者なら何を変えたいかを尋ねることだ。良いアイデアであれば採用し、こちらの本気を見せるために従業員を正当に評価する。
9.達成を祝うために時間を割く。「目標達成まではるか遠くても、最初は小さな成功から祝うようにするといい。スキル面での成長だけでなく、同僚スタッフへの敬意やリーダーシップの発揮を促す意味もある」と、トローン氏は語る。
10.最後に、自分にも注意を払うこと。「自らに責任を持たせ、自分の姿を客観的に見つめることが大切だ」と、アブラショフ氏は語る。
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