単純なマニュアルは通用しない
転職希望者が戸惑う、Windows管理者の面接で必ず聞かれる5つの質問
Windows管理者の採用面接を受ける応募者は、多くのライバルがひしめく中で自分をアピールできるように、入念に準備する必要がある。
Windows管理者は、米MicrosoftのWindows OSファミリーを搭載するシステムやサーバの導入、管理、メンテナンスに責任を持つIT担当者だ。多くのIT担当者がキャリアのどこかの時点で管理者として働くが、実はその仕事に就くのは見た目より難しい。Windows管理者の日常業務は多く、多岐にわたるからだ。OSに関する業務をはるかに超えており、組織によって著しく異なる。担当範囲には、トラブルシューティングやハードウェアアップグレード、基本的なプログラミング、ビジネスアプリケーションの管理などに加え、法規制の順守も含まれる。スーツにアイロンをかけて面接に赴く前に時間を割いて、応募先で求められる責任の範囲を調べ、面接で聞かれそうな幾つかの質問を想定して備えておこう。
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Q. これまでの経験について話してください。あなたはこの仕事に何をもたらしますか?
この質問の言葉は通常、最初の自己紹介やあいさつを経て、面接の“本番”が始まる合図だ。こうした質問による話の切り出し方はたくさんある。よく使われるバリエーションの1つが、典型的な1日、あるいは1週間の過ごし方を尋ねるというものだろう。しかし、募集企業がどのような形でこうした質問をするかにかかわらず、その目的は常に、応募者が持っている、募集企業に関連する専門的な知識や経験、ノウハウの範囲を見極めることにある。
こうした質問をされると、履歴書に書いたことをそのまま話したくなりがちだが、それは禁物だ。そもそも、応募者が面接の場にいるのは、応募先が既に履歴書を読み、恐らく内容を精査した上で、応募者に声を掛けたということだ。応募先にとって、こうした質問からのやりとりで肝心なのは、履歴書に書かれていない事柄を知ることだ。
応募者としては、採用要件を把握しておき、「自分がどのような領域で、求められているレベルを満たしているか、あるいは上回っているか」に焦点を当てて話すことが重要だ。一般的なWindows管理者のポストに就くには、2年または4年課程による技術系の正式な学位と、最近のWindows Server環境での2~5年間の実務経験が必要になるだろう。学習経験が話題になったら、MCSE(Microsoft認定ソリューションエキスパート)など、仕事に関連する認定資格や、大学で好きだったITの授業、あるいは自分が担当した、応募先のビジネスと関連のあるITプロジェクトで最も成功したものについて話そう。例えば、応募先がソフトウェア開発会社なら、自分が好きだったJavaプログラミングの授業や、重要な役割を果たしたJavaベースWebアプリケーションの開発プロジェクトについて話すとよいだろう。応募先のビジネスを理解していることを伝えるわけだ。
職歴の話題に移ったら、履歴書に記載した社名と勤務期間にとどまらず、採用要件に沿って詳しく説明しよう。一般的なWindows管理者は通常、幅広い業務を担当する。日々のシステム監視、リソース(サーバとストレージ)の整合性チェック、システムプロセスの状態監視、システムおよびアプリケーションログ調査によるエラーやセキュリティアラートの検出、ソフトウェアやサービスのインストールと構成といった具合だ。募集企業が求める担当範囲を理解し、その範囲に当てはまる業務経験を重点的に説明するとよい。
例えば、仮想化できなかったエラーだらけのレガシービジネスアプリケーションの単調な管理業務について話しても、面接でプラスにはならないだろう。しかし、募集企業が「Windows Server 2012 R2」を使用している場合、応募者について、現在担当中のデータセンターにおけるこれまでのOSアップグレードへの関与、「Microsoft Hyper-V」と仮想マシン管理への取り組み、トレンド調査へのログ解析の利用、「Active Directory」の管理状況など、自社と募集ポストに直接関連し得るさまざまな業務の実績を詳しく知ろうとするかもしれない。
また、Windows管理者の仕事に、リモート管理やオフサイト管理の業務が含まれることもある。こうした場合、応募者はリモートシステム管理やサポートの知識や経験を強調して説明すればよい。さらに、大規模データセンターは週7日24時間体制で運用されていることが多いため、シフト勤務への柔軟な対応や、オンコール対応が可能なことをアピールするのも非常に効果がある。
Windows管理者の仕事内容はさまざまであるため、自分の学習経験と職務経験が応募先の要件にぴったり合わないこともあるかもしれない。だが、心配することはないし、謝る必要もない。応募者は、応募先にうってつけの候補者ではなくても、面接しただけのことはあったと応募先に思わせることもできる。そのためには、自分は「仕事内容に関連する経験があり、今後の伸びしろもある人物である」ことを示せばよい。例えば、応募先がある管理ツールを使っていて、応募者が別の管理ツールを使っている場合、重要なのは、応募者が元来、管理ツールを使いこなすための知識やノウハウを持っているということだ。このため、応募者は、管理プラクティスと効果的なWindows管理手法を理解していることを訴えればよい。そうすれば、新しいツールの使用手順を学ぶ必要があっても、応募先から問題視されることはない。
Q. どのようなアプリケーションを担当してきましたか?
企業はさまざまなアプリケーションを利用して業務を行っている。アプリケーションには「Microsoft Exchange Server」「Microsoft SQL Server」「Microsoft Internet Information Services(IIS)」「Microsoft SharePoint」の他、DHCPやDNSなどのような各種ネットワークサービスが含まれる。こうしたアプリケーションの多くはWindows上で動作するため、それらのインストール、サポート、メンテナンスは通常、Windows管理者が担当する。
仮想化を利用している企業は、米VMwareの「VMware vSphere」やMicrosoftのHyper-Vのようなハイパーバイザーを、アプリケーション管理のカテゴリーで考えるかもしれない。Exchange Serverが仮想マシンとしてうまく稼働しているように、ハイパーバイザーは少なくとも、面接でのアプリケーションに関する対話の重要な要素を占める。仮想化はビジネスアプリケーション管理を一段と複雑にするため、この対話で言及するに値する。応募先がこうしたアプリケーションの仮想化に取り組むことを考えている場合はなおさらだ。
上の例のようなビジネスアプリケーションに関する質問も想定して下調べを行い、応募先が使っているアプリケーション(例えば、Exchange Server 2010 SP3など)を確認するとともに、アプリケーションのサポート、パッチ管理、トラブルシューティング、アップグレードなどへの自分の関与度を説明できるようにしておく必要がある。通常、全てのアプリケーションやバージョンを把握しておくことは重要ではないが、自分がOSのみならず、重要なアプリケーションの運用管理も行うことで、企業とその社員やユーザーをサポートできることを具体的に説明できるようにしたい。
ここで、関連する有益なヒントを紹介しよう。OSやアプリケーションのサポートは多くの場合、ITチームのメンバーが分担し、スキルを共有して協力し合って行う。その過程で多くのスキルを磨き合うことになるため、これらのサポートは、面接でチームの一員、さらにはチームリーダーとしての能力をアピールする格好の材料になる。募集企業にとってこの能力は、「Microsoft Office」の特定のバージョンに精通していることよりもはるかに価値がある。
Q. どのようにWindowsを管理していますか? SCCMを使いますか?
サーバの展開、アップグレード、最適化のいずれにおいても、Windows管理者は、ユーザー管理、コンピューティングリソースの構成、ワークロードパフォーマンスの監視、システムインベントリのリポート、将来のコンピューティングキャパシティーの見積もり、システムとアプリケーションの機能状態のチェック、その他の多くの業務に対応できる優れたマネジャーでなければならない。
Windows管理者は一連の洗練されたツール、例えば「Microsoft System Center Configuration Manager(SCCM)」「Windows PowerShell」などを使ってこれらの作業を行っており、ユーザー管理はActive Directoryと密接に結び付いている。募集企業がWindowsやシステムの管理ツールに対する応募者の習熟度を聞き出そうとするのは、ほぼ間違いない。応募者に募集企業と同じツールを使った実務経験がある場合は特にそうだ。
面接での個々の質問や話題には、複数の意図や目的があることが多い。多くの有能なIT担当者が、上の例のような質問への答えで注目される機会を逃している。この質問は、応募者が知っている「X、Y、Z」というツールの名前を聞き出そうとしているのではない。応募者がある特定の管理ツールを使えるからといって、管理に長けているということにはならない。車のハンドルがどこにあるかを知っていても、運転がうまいということにはならないのと同様だ。この質問に答えるときはもっと踏み込んで、自分がどのようにWindows管理ツールやシステム管理ツールを使って、生産性の向上やコンピューティングキャパシティーの拡大、コストの削減などでビジネスに貢献してきたかを応募先に説明しよう。
また、Windowsやシステムの管理では、プロセスの標準化や自動化の導入が進んでいる。標準化されたプロセスを適用すれば、管理手続きがより迅速に、より一貫して実行されるようになる。よく行われる管理タスクを扱うPowerShellスクリプトの作成と実行などの自動化技術は、エラーを減らし、ユーザーからの問い合わせやヘルプデスクチケットに対するIT部門の応答時間を改善することで、企業のコストを削減する。標準プロセスと自動化を組み合わせることで、Windows管理者は予防的な取り組みを行い、潜在的な問題を特定して、ユーザーが気付く前に解決できる。
これらは、管理を通じて企業とそのユーザーに重要な貢献をするためのアイデアの一部にすぎない。こうしたアイデアを打ち出して実行できるかどうかが、有能なWindows管理者と単なるツールユーザーの分かれ目になる。
Q. 今までどのようなトラブルシューティングを行ってきましたか? どのような技術的課題に直面してきましたか?
データセンターには不具合や障害などのリスクが付き物だ。昨今では洗練された技術がビジネスを支えているが、これらのリスクは避けられない。しかし、現在のビジネスは週7日24時間体制で行われることが多く、アップタイムが売上高やユーザー満足度の観点から測定されるようになっている。このため、Windows管理者などのIT担当者は、ビジネスを継続させるために、幅広いハードウェア障害やソフトウェアの問題を隔離して解決できる専門技術者であることも求められる。
面接によっては、技術的なテストの質問が課されることもあるかもしれないが、応募者にとって、面接で聞かれそうな全ての質問や起こり得る全てのやりとりのシナリオについて、答えを用意しておくことは重要ではない。代わりに、障害が発生したハードウェアのトラブルシューティングをしたり、ソフトウェアの構成上の問題を特定したりするために利用しているツールやプラクティスを説明できるようにしておこう。募集企業は、応募者がトラブルシューティングの能力を持っていて、問題発生時にどのように対処すべきかを知っていることを確認したいと考えている。Windows管理者は初動サポートを提供するので、ユーザーからのヘルプデスクチケットを処理する際や、監視ツールで生成されたアラートに対応する際に取るアプローチについて話すとよい。
Windows管理者は一般的に、単独でトラブルシューティングをするわけではない。通常はITチームの他のメンバーと連携し、多くの場合、ベンダーのエンジニアリングスタッフとも密接に協力して、問題を突き止めて修正する。これについて話すときは、トラブルシューティングから話題を広げて、チームでの仕事における調査力、共同作業能力、リーダーシップ力を強調する重要な機会になる。
経営サイドは、IT部門がビジネスのパートナーになることをますます期待するようになっている。ITプロフェッショナルには、「どのような技術的な取り組み(特に、慢性的な技術課題への対処方法)によって、コンピューティングパフォーマンスの向上や、コンピューティングキャパシティーの追加、システムアップタイムの改善、企業のコスト削減を実現できるか」が分かるという他の職種にはない強みがある。応募者に、最近のトラブルシューティングで調査を実施し、創造的なコスト削減策を編み出した実績があれば、応募先は特に注目するかもしれない。
Q. 他にどのような専門知識や経験、能力をこの仕事にもたらしてくれますか?
企業側は、募集している仕事への応募者の適性を知ろうとする。Windows管理者の仕事は、IT業界で最も幅広くかつ多様な部類に入る。どの仕事も、Windows OSとWindowsベースのビジネスアプリケーション(Exchange ServerやSQL Serverなど)がベースにあるのは確かだ。だが、個々の企業とその技術ニーズやビジネスニーズによって、Windows管理者の仕事は多種多様に広がる。この種の質問は、表面的には単純に聞こえるかもしれないが、その答えとして、まだ言及していなかった認定資格をずらずらと列挙したり、これまでの経験をあらためて繰り返したりする応募者は皆、輝くチャンスをふいにしている。
代わりに、面接前に時間を取って、募集されている仕事の説明をよく調べ、自分の職務経験および学習経験と、応募先が定めた必須の採用要件および望ましい要件を比較対照しておこう。応募先は、Windowsをインストールしたり、エラーログを読んだりできる人が欲しいわけではない。多くの場合、ITとビジネスを前進させることができる多才な専門家を求めている。難しい注文だが、応募先固有のニーズを理解し、ITに関する自分の知識と経験のビジネス価値を示すことができる応募者が、仕事を得る可能性が最も高い。
例えば、応募者が持つ仮想化の展開や管理(Hyper-Vなどを利用した)の知識や経験、ノウハウは、まだ仮想化を導入していない企業や、仮想化による新たなコンソリデーションプロジェクトを考えているような企業にとって大きな魅力だ。応募者が、自分の関与した仮想化の取り組みがリソース使用率の向上、コンピューティングコストの低減、柔軟性の拡大といった明確なビジネスメリットをもたらしたことを示すことができれば、特に効果的だ。
一部の組織では、厳しいコンプライアンス規則に基づく統制が行われているかもしれない。例えば、どの上場企業も、SOX法(サーベンス・オクスリー法)に詳しいITスタッフが欲しいと考えられる。病院などの医療機関は、HIPAA(医療保険 の相互運用性と説明責任に関する法令)に関する実務経験があるWindows管理者を探すかもしれない。小売業者は、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)の要件に精通したIT担当者が欲しいだろう。法律事務所や政府機関のような組織は、バックアップとリカバリ、データの保護、アーカイビング、保持、法的な開示、それらに関連したタスクに力を入れる必要がありそうだ。
Windows管理者は、業界で最も多種多様な仕事をこなすIT担当者の部類に入る。採用面接ではこのことがプラスにもマイナスにも働く。これは要するに、ある単純な事実に起因している。それは、「同じWindowsデータセンターは2つとなく、Windows管理者の仕事は2つと同じものがない」という事実だ。このため、面接では、一般的な質問を想定して無難な型通りの答えを用意していても、通用しない。応募者は、Windows管理者の採用面接ごとに準備に精を出し、個々の募集企業に固有の関心事に応じて話ができるようにしておかなければならない。こうして特別な準備をすれば、多くのライバルがひしめく中で自分をアピールでき、次の仕事を見つけるのに役立つだろう。それでは幸運を祈る。面接がどのように進んだか、教えてもらえればうれしい。
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