医療IT最新トピック
法人化したITヘルスケア学会、ウェアラブル端末の情報利用に関するガイドライン策定へ
ITヘルスケア学会が、日本初となる業務委託やウェアラブル端末などの健康情報利用に関するガイドライン策定を目指して法人化。その狙いとは。医療IT関連の気になる最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、富士フイルムの医療IT事業を拡大、NTTデータの医療機関と臨床検査会社間の情報共有ネットワークサービス、ITヘルスケア学会の法人化とウェアラブル端末からの健康情報利用に関するガイドライン策定などを取り上げる。
トピック一覧
- 訪問介護向けクラウド型業務支援システムを販売開始、ファボック
- 富士フイルム、米TeraMedicaを買収して医療IT事業を拡大
- 地域医療連携ネットワーク構築サービスを販売開始、メディカルインフォメーション
- ResearchKitアプリとのインタフェースを公開、臨床試験情報と統合可能に――メディデータ
- メディ・ウェブ、クリニック向けタブレット用アプリ2種を提供開始
- NTTデータ、医療機関と臨床検査会社間の情報共有ネットワークサービス基盤を構築
- 各種センサーの情報から専門医がアドバイスする健康改善見守りシステム――大阪市立大学 医学部ら
- 佐世保中央病院、電子カルテの暗号化や災害対策など情報セキュリティを強化
- ITヘルスケア学会、ウェアラブル端末からの健康情報利用に関するガイドライン策定へ
訪問介護向けクラウド型業務支援システムを販売開始、ファボック
業種向けクラウドサービスを開発するファボックが、訪問介護向けクラウド型業務支援システム「Care Arranger」の販売を開始した。Care Arrangerは、顧客・案件管理や請求・入金確認、給与管理機能などを備える業務管理システム。顧客情報理画面では、顧客基本情報や契約情報、訪問状況、連絡履歴などを一覧表示でき、顧客の要介護度や自立度、担当ケアマネジャー、認定期間、相談日などの検索も可能。スタッフ情報画面では、20種以上のスタッフの資格情報を登録・管理でき、資格別に手配したいスタッフを検索できる。その他、定期契約やスポット契約などの手配状況や訪問スケジュール管理、各種書類作成機能なども備える。初期費用が10万円。月額利用料金はサービス実施数によって異なり、月間のサービス実施数が1000件未満の場合は7万円から。オプションメニューを選択したり、利用機関ごとにカスタマイズできる点が特徴だ(発表:ファボック<2015年5月11日>)。
富士フイルム、米TeraMedicaを買収して医療IT事業を拡大
富士フイルムは2015年5月13日、販売子会社である米FUJIFILM Medical Systems U.S.Aを通じて、米医療ITシステムメーカーTeraMedicaの買収を完了し、富士フイルムグループの100%子会社としたと発表した。TeraMedicaは、医用画像管理システム(PACS)の検査画像や各種動画情報を管理・保管するアーカイブシステム「Vendor Neutral Archive」(以下、VNA)を提供。同社と富士フイルムは2013年に米国における販売業務の提携をしていた。今回の子会社化により、富士フイルムは病院内の電子化された広範な診療情報を一括管理できるVNAの導入を促進。病院間の診療情報を連係するシステムを構築することで、地域医療連携の促進を図る狙い(発表:富士フイルム<2015年5月13日>)。
地域医療連携ネットワーク構築サービスを販売開始、メディカルインフォメーション
医療情報システムの開発・販売を手掛けるメディカルインフォメーションが、地域医療連携ネットワーク構築サービス「Karte Window」を提供開始した。通信用ゲートウェイ(GW)を設置し、電子カルテやPACSなど院内にある既存システムの情報を収集してデータセンターにVPN経由で伝送する。処方や注射、検体検査、アレルギー情報、病歴などの診療情報は医療情報交換規格「SS-MIX」形式で、CTやMRI、CR(コンピュータX線撮影)などの画像データを医用画像標準規格「DICOM」形式でそれぞれ取得。連携先のクリニックなどの医療機関は、それらの情報をWebシステムから閲覧できる。月額利用料は15~20万円(税別、回線の通信料金は除く。以下、同)で、約3カ月の導入期間を見込む(発表:メディカルインフォメーション<2015年5月15日>)。
ResearchKitアプリとのインタフェースを公開、臨床試験情報と統合可能に――メディデータ
ライフサイエンス業界の臨床研究支援事業を展開するメディデータが、米Appleの医療・健康の研究調査用ソフトウェアフレームワーク「ResearchKit」とメディデータのクラウド型臨床研究支援サービス「Medidata Clinical Cloud」を連係するオープンソースのインタフェースを発表した。オープンソースコミュニティーである「GitHub」で公開。ResearchKitアプリケーションをメディデータのデータプラットフォームへ接続可能にする。これにより、ResearchKitを使って開発したアプリケーションで測定したデータをメディデータのデータプラットフォームにマッピングし、臨床試験で収集する情報と組み合わせて活用できるようにする(発表:メディデータ<2015年5月18日>)。
メディ・ウェブ、クリニック向けタブレット用アプリ2種を提供開始
医療向けクラウドサービスの開発を手掛けるメディ・ウェブが、タブレット用患者満足度調査「Bee患者満足度調査」のAndroid版アプリの提供を開始した。患者がタブレットで入力した自院に関する調査データの集計や管理を容易にする。専用の調査票はiPadアプリ版、Androidタブレット用アプリ版、Webブラウザ版の3種を用意。同社によると満足度調査の入力が約1分で完了できるという。
また同社は待ち時間・順番表示システム「Bee診察順番表示」のiPadアプリ「Bee診察順番表示 for iPad」の提供を開始した。Bee診察順番表示 for iPadは、Bee診察順番表示の待合室向け「順番表示画面」機能を備える。待合室で診察を待つ患者自らがiPadを使って診察待ち状況を確認できる。利用に当たっては、同社のクラウド型診療支援サービス「3Bees」のアカウント、または診療予約サービス「予約Suite」の利用が前提となる(発表:メディ・ウェブ<2015年5月18日、21日>)。
NTTデータ、医療機関と臨床検査会社間の情報共有ネットワークサービス基盤を構築
NTTデータは、医療機関と臨床検査会社の一元的なネットワーク基盤を構築し、2015年12月に「L-AXeS エルアクセス」としてサービス提供を開始すると発表した。L-AXeS エルアクセスは、医療機関や臨床検査会社間、臨床検査会社間など複数機関が共通のネットワーク基盤を共有し、検査依頼や結果報告を相互に送受信できるようにするサービス。利用機関はWebブラウザから検査依頼・結果報告ファイルのアップロード/ダウンロード、送信状況の確認、ユーザー管理などができる。NTTデータがレセプトオンライン接続サービスや地域連携サービスなどで提供している医療機関向けネットワークサービス「@OnDemand」を採用。同社によると、鍵交換プロトコルIKEを使ったIPsec接続を提供する同サービスにより、医療情報を扱うネットワークとして適切なセキュリティを確保できるという。医療機関ごとに初期費用2万5000円で導入でき、月額1350円~2300円で利用できる(発表:NTTデータ<2015年5月19日>)。
各種センサーの情報から専門医がアドバイスする健康改善見守りシステム――大阪市立大学 医学部ら
大阪市立大学 医学部 疲労医学教室と同医学部発のメディカルITベンチャーであるエコナビスタが、健康改善見守りサービス「ライフリズムナビ+Dr.」を2015年8月1日に提供開始する。寝室に設置した生体センサーや活動量センサー、環境センサーから利用者の睡眠状況や活動量、寝室内の温室度などの情報を収集してクラウドへ伝送。専門クリニックがそれらの情報を解析して健康アドバイスやリポートを作成し、利用者やその家族、介護スタッフなどに通知する。
例えば、マットレスの下に敷く非拘束型のセンサーでは、睡眠時間や睡眠深度、睡眠中の呼吸・心拍数などを見守る。また、温湿度センサーが居住空間の快適性を監視することで熱中症や脱水症を防ぎ、異常時にはアラートを通知する(発表:大阪市立大学 医学部 疲労医学教室、エコナビスタ<2015年5月21日>)。
佐世保中央病院、電子カルテの暗号化や災害対策など情報セキュリティを強化
社会医療法人財団白十字会が運営する佐世保中央病院(長崎県世保市)がIT基盤を刷新して、電子カルテの暗号化や災害対策のバックアップ構成など情報セキュリティを強化した。日本オラクルのデータベースセキュリティ製品「Oracle Advanced Security」「Oracle Data Guard」を導入した。新システムへの移行に当たってはリアルタイムデータ統合製品「Oracle GoldenGate」を利用し、約1分でシステムの切り替えを実施した。
長崎県北部や福岡市で医療・介護施設を運営する白十字会は、地域全体でより質の高い医療サービスを提供することを目標に電子カルテシステムを2002年に導入し、2005年からは電子カルテ情報を地域の診療所と共有するシステムを運用してきた。今回のシステム刷新では、Oracle Advanced Securityの暗号化機能で通信経路上のデータとデータベース全体の暗号化することでセキュリティを強化し、電子カルテの全ての情報へのアクセスを監査可能にした。また、データベース保護製品であるOracle Data Guardを導入したことで、佐世保中央病院と福岡県にある白十字病院間で電子カルテデータを冗長化するバックアップ環境を構築した(発表:日本オラクル<2015年5月26日>)。
ITヘルスケア学会、ウェアラブル端末からの健康情報利用に関するガイドライン策定へ
ITヘルスケア学会が2015年5月25日付で任意団体から一般社団法人に移行した。同時に学会検診事業を開始し、ウェアラブル端末などから得られる健康情報の保全・流通に関するガイドラインを策定すると発表した。学会検診の最初のモデル事業として、臨床プログラムを開発・提供するクリニカルパスに、皮膚常在菌量検査を含む皮膚の肌質検査を行う自由診療検診プログラム「美肌菌ドック」の開発と事業運営を委託する。
同学会は、学会検診事業やウェアラブル端末の医療利用に関するガイドライン策定は日本では初の取り組みになると説明。健康情報の保全・流通については「日本ではデータの利用に関する基準が無い中、既に企業や団体でデータの保全は進んでおり、海外へのデータの流出リスクやデータ開示の面で課題がある」と指摘する。また今後、健康情報の利用促進を目的として、検診に代表される研究目的のデータ収集を委託実施すると公表。データ保全のガイドラインを定義するスキームの普及が必要であるとの見解を示す。これらの事業展開を積極的に実施するため、法人化が必要になると説明する(発表:ITヘルスケア学会<2015年5月27日>)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー