「磁気テープは古い」こそが時代遅れ
富士フイルム、ソニーが“テープ保存”に回帰した意外な理由
2014年に入り、富士フイルムやソニーなどが磁気テープの新技術や新製品を相次いで発表している。ディスクに置き換えられる運命だと思われたテープが再び脚光を浴びた理由とは?
富士フイルムの米国子会社FUJIFILM Recording Media U.S.A.は2014年3月、LTFS(Linear Tape File System)アーカイブアプライアンス「Dternity」の出荷開始を発表した。このNAS(Network Attached Storage)アプライアンスは、テープライブラリをファイルシステムとして扱えるため、企業はディスクベースのストレージの使い勝手のまま、テープ媒体の低コストを享受できる。Dternityでは、同社のオンラインストレージサービス「Dternity Media Cloud」への接続も可能だ。
DternityはNAS、クラウド、テープストレージが使えるようになっている。容量が5.7Tバイト、12Tバイト、21Tバイトの3つのモデルがある。DternityのクラウドではさまざまなSLA(Service Level Agreement)オプションが用意されており、顧客は自社の要件に合うプランを選択できると、FUJIFILM Recording Mediaは述べている。
「実際に製品を見てみると、あって当然の製品のように思えるだろう。しかし、どのベンダーもこうした製品は出していなかった」と、ストレージ市場の分析を手掛ける米Storage Switzerlandの創業者で社長を務めるジョージ・クランプ氏は指摘する。「FUJIFILMは、3種類のストレージへのインタフェースを抽象化した。ユーザーはこの抽象化された領域にデータを書き込む。するとシステムがポリシーに従って、そのデータをどこに配置するかを判断する」
さらに、クランプ氏はこう続ける。「アーカイブストレージの多くはプロプライエタリな技術を採用している。それにはもっともな理由があることもある。しかし、FUJIFILMはLTFSにあえてこだわった。このことにより、ディープアーカイブ用のストレージのユーザーが抱える大きな問題が解決される。それは、今から20年後には、プロプライエタリな技術を採用したストレージに保存されたデータは、読めるかどうか分からないという問題だ。こうしたユーザーにとっては、あらゆる主要OSでテープをマウントし、データがアーカイブに含まれる場合も含めて、テープからデータをリストアできる規格にコミットした製品が、選択できるようになった」
医療やメディア、政府機関にニーズが
クランプ氏は、Dternityのユースケースには、大量の非構造化データを扱う医療やメディアのような業種が含まれるだろうと語る。だが、Dternityは、政府機関向けの用途で最も普及するかもしれない。
「大量の非構造化データの利用が最も顕著に見られるのは、州レベルの政府機関だ。カメラのような機器を使ってデータが収集されており、動画の量の多さと解像度の高さから、収集データを全てディスクに保存しておくのは困難になっている」(クランプ氏)
クランプ氏は、Dternityは1つの製品でデータの保存とアーカイビング用にNAS、クラウド、テープを使えるようになっているため、ユーザーにとってメリットが多いと語る。その一方で同氏は、企業で現在生成され、管理が必要なデータの膨大さも指摘する。テープはアーカイビングのための経済的な選択肢であり、稼働消費電力がディスクよりも少ない。テープは今後も市場で成功し続けるだろうと、同氏は見る。
「明らかにテープは、バックアッププロセスの一部として再び注目されている」とクランプ氏。「テープ業界は、“アーカイブの担い手”を掲げている。いまだに多くのユーザーが、バックアッププロセスの構成要素として、リストアのための最後の手段としてテープを利用している」
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