集客だけで終わらせない
小さな会社の「デジタルマーケティング入門」、独りよがりにならないためには?
Webサイトにトラフィックを集めるだけではビジネスには役に立たない。スモールビジネスにとってマーケティングはどうあるべきか。本稿で基本を伝授しよう。
私は数カ月前、数人のビジネスパートナーと共同で新会社ThinkDigitalを設立した。主力業務は、「顧客エンゲージメント/顧客開拓」と「顧客インタラクション」のための最新かつ効果的な手法を顧客企業に提供することだ。顧客エンゲージメント/顧客開拓と顧客インタラクションはそれぞれ、ソーシャルマーケティングと魅力的なWebプレゼンスについて語る際に用いられる業界用語だ。
スモールビジネスのマーケティングでは、これらの領域の取り組みをうまく連動させることが非常に重要となる。自社のWebサイトにどれほど大量のトラフィックを集められても、そこで提供するユーザーエクスペリエンスがお粗末であれば、ビジネスは伸びず、マーケティングの努力は無駄に終わる。従ってWebサイトではスマートフォン、タブレット、PC、ウェアラブルといったデバイスの種類に左右されない、一貫性のある魅力的なユーザーエクスペリエンスを提供する必要がある。逆に、いくら皆のニーズと要望を持たす素晴らしいWebサイトを用意できても、その存在を誰にも知ってもらえなければ、やはりせっかくの努力が水の泡だ。
魅力的なデスティネーションサイト
さて本題に移り、スモールビジネスのマーケティングの基本を確認していこう。まず、Webプレゼンスとは何か。Webプレゼンスとはすなわち、ソーシャルマーケティングを通じて獲得する全てのトラフィックの目的地となるデスティネーションサイトのことだ。
Webプレゼンスの構築に際しては、幾つか基本的だが重要なポイントを抑えておく必要がある。まず非常に重要なのは、サイトは自分のためではなくターゲット顧客のために設計し構築するものであるということだ。世の中には、独りよがりのサイトが何と多いことか。ターゲット顧客の本当のニーズをくみ取れないまま、ビジネスのステークホルダー(利害関係者)が自身の思うままにサイトのデザインや動作を決定してしまったようなケースだ。この種のミスをさけるためには、ユーザーエクスペリエンス(UX)の専門家の助けを借りながら、自社の顧客について学ぶことが重要となる。
今どきの消費者はかつてないほどITに精通し、技術力も高いので、販売サイトの良しあしで、利用する会社を次々に変えられる。だからこそ、スモールビジネスは顧客のことを知り、何をどうすれば他社ではなく自社を選んでもらえるかを見極める必要がある。スモールビジネスにとっては幸いなことに、消費者には相手がFortune 100企業であろうと遠く離れた街の小売り業者であろうと関係ない。どちらも同じ製品とサービスを提供しているのなら、「よりお得でより優れたオンラインエクスペリエンス」を提供している方が選ばれる。汝の顧客を知れ、ということだ。
ソーシャルマーケティング
もう1つ注目すべきは、顧客の購買行動と購買傾向だ。誰も、自分が買わない製品や欲しくもない製品の広告が大量に表示されることを望まない。今日のデジタル市場では、多くの消費者は自身のインターネット検索傾向や購買行動をより透明化することの価値を理解している。なじみの小売り業者やサービスプロバイダーに自分のことをより詳しく知ってもらえば、その方が買い物がより便利でパーソナルなものになり、コスト効率も高まるとの考え方だ。例えば、同じブランドのドッグフードをこの5カ月間に5回、同じペット会社のオンラインサイトで購入しているユーザーがいたとする。この場合、このペット会社がすべきは、ユーザーの先回りをして、6回目の購入時用に当該ブランドの割引クーポンを送ることだ。ここで言う「送る」とは、ユーザーが次回サイトにアクセスしてきたときにポップアップやプッシュ通知という形で提供するか、あるいは購買傾向に基づき、そのユーザー宛に個別にメールを送信するということだ。
この例からも分かるように、スモールビジネスのマーケティングはわずか1年前と比べても大きく変化している。何も私は、紙媒体やラジオ、テレビといった従来のマーケティング手法をけなそうというのではない。私自身の経験からして、こうした大づかみなマーケティング手法はもはや、オンラインサイトに多くの消費者を呼び寄せるという点で有効ではないということだ。多くの消費者は今や、商品やサービスについてオンラインで調べ、オンラインで購入している。知り合いの口コミを頼りに売り手を選び、そこで買い物をするという消費者も増えている。そして今の時代、口コミはオンラインで広まる。Facebookの14億4000万人のアクティブユーザーに聞いてみるといい。Facebookのタイムラインには、ユーザーがこれまでに購入したことのある製品やサービス、友人が話題にしているもの、Facebookにアクセスするほんの数分前にGoogleで検索した製品やサービスなどの広告が表示される。これこそがソーシャルマーケティングの最たる例だ。
減らすことでより多くを得る
では実際、スモールビジネスがターゲット顧客のエンゲージメントを高めるためにはどうすればいいのか。顧客が時間を過ごしている場所でマーケティングを行うことだ。消費者がテレビの前やラジオを聴いて過ごす時間は減り、オンラインで過ごす時間が大幅に増加している。私たちがぜひおすすめしたいのは、FacebookやTwitter、Instagram、Snapchatの他、PinterestやLinkedInといったソーシャルチャネルを通じたマーケティングへの注力だ。こうしたチャネルを利用する場合、スモールビジネスは数セントから数ドル程度の料金を支払い、より多くの、それでいてより特定層の人たちに向けてマーケティングメッセージを発信することになる。ここでもやはり鍵となるのは、顧客を知ることだ。その上で、こうしたチャネルで自社のブランドと製品を宣伝するためのコンテンツを作成する。その後は、顧客分析によって顧客の人物像や購買行動を把握しながら、顧客へのマーケティングをグループと個人の両側面から継続的に微調整していくことになる。
ThinkDigitalでは2015年6月に独自のソーシャルマーケティングキャンペーンを展開し、「減らすことでより多くを得る」といったメッセージを発信する方針だ。包括的で大規模なユーザーグループ向けのマーケティングを減らし、代わりに、特定の顧客や特定の顧客層に向けたマーケティングメッセージを増やすよう呼び掛けていく。
本稿筆者のブライアン・バリンジャー氏は、エンタープライズモビリティの専門家であり、ユーザーの取り込み、ユーザーエクスペリエンス(UX)、ユーザーインタフェース(UI)、消費者エンゲージメントを得意とする著名なスピーカー。シリアルアントレプレナーでもある同氏は最近、企業のデジタルビジネス化を促進する会社ThinkDigitalを立ち上げた。同社は組織的なソーシャルマーケティングを活用する企業向けに消費者重視のマルチチャネルソリューションを提供し、トータルなデジタル化への転換に向けたバックオフィスシステムインテグレーションを支援する。
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