なぜ日本の学校にITが必要なのか【中編】
小学校の「プログラミング教育必修化」が必要なこれだけの理由(2/3 ページ)
2013年に筋道ができていたプログラミング教育
では日本のプログラミング教育は、これからゼロベースで検討が始まるのだろうか。実は必ずしもそうではない。文部科学省は2015年4月、2014年度の情報教育指導力向上支援事業として「プログラミング教育実践ガイド」という資料を発行した。この資料はプログラミング実践事例として、中学校や高等学校はもちろん、小学校1年生からのプログラミング体験を53ページの資料としてまとめている。
プログラミング教育実践ガイドは、小学校、中学校、高等学校それぞれ4校、計12校における実例を交えながら、プログラミング教育の指導力向上の方法を紹介している。つまり少なくとも2014年度の時点で、国内でもプログラミング教育を実施する教育機関があったことになる。
掲載されている事例を詳しく見てみると、ある高等学校が整備したプログラミング環境は、プログラミング言語・実行環境の「Java」や統合開発環境(IDE)の「Eclipse」などで構成される。企業のシステム開発でも通用する本格的な環境だ。一方の小学生は画面の簡単な操作で絵やロボットを動かしてプログラミングそのものを理解してもらう内容になっていて、大いに参考になる事例がそろっている(図2)。
この12校の事例は、先駆的かつ厳選された取り組みであることは確実だ。そのため一般の小、中学校や高校がプログラミング教育実践ガイドを見たからといって、どの教育機関でも即座に充実したプログラミング教育ができる保証はない。だがこうした事例が既にあることは、今後プログラミング教育の現場に立つ教員にとって心強いに違いない。
プログラミング教育必修化は、前編「『学校IT活用・IT教育』が日本の“救世主”になり得る理由」でも紹介した、2013年6月の政府発表「日本再興戦略」と文部科学省発表「教育振興基本計画」にも示されている。つまり3年以上も前に、プログラミング教育必修化への道筋はできていたことになる。昨今の動きは、その道筋に沿った具体的な取り組みにすぎないのだ。
小中高での「プログラミング教育必修化」とは何なのか
私のもう1つの連載「失敗しない『学校IT製品』の選び方」では、学力向上や学習の高度化、効率化などに活用する「電子黒板」「無線LAN」といったIT製品を紹介してきた。教育機関のITといえば、こうした授業や校務などでのIT活用を指すことがほとんどだった。そこにプログラミングやITそのものを学ぶという、もう1つの道が見えてきた。
豊富な領土や資源があるわけではない日本にとって、その未来を創るための国家戦略の軸は、人であるべきだ。つまり日本の国家戦略は「教育こそ最重要だ」といっても過言ではない。こうした中「ITを活用した高度な教育の実現」「ITの理解や関連スキルの習得」双方の重要性は今後も高まると、私は考えている。この2つはあくまで両輪であり、片方だけでよいというものではない。両方そろってこそ、日本の国家戦略が目指す未来を実現する教育ITの姿になるのだ。
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なぜ日本の学校にITが必要なのか
日本の教育機関が今、IT活用やIT教育への注力を迫られているのはなぜなのか。海外の動向にも触れながら、その背景を探る。
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