不可解なポリシー変更
「Windows 10 Anniversary Update」で「Pro」ユーザーが悲鳴を上げる理由
Windows 10 ProにAnniversary Updateをインストールすると、企業のWindows管理者は、グループポリシーでサードパーティー製アプリのインストールをブロックできなくなる。この問題に多くの企業が悩んでいる。
企業のWindows管理者は、「Windows 10 Anniversary Update」のインストール後に「Windows 10 Pro」で、よく使うグループポリシー設定の一部を利用できなくなる。
これまで管理者は、Windows 10 Proでグループポリシー項目「ストアアプリケーションをオフにする」を有効にすることで、ユーザーによるサードパーティー製Windowsストアアプリケーションのインストールをブロックできた。だが、Microsoftは2016年8月2日にリリースしたAnniversary Updateで、Windows 10 Proではこのグループポリシー項目を使えないようにした。7月29日までWindows 10の無償アップグレードキャンペーンを実施していたことから、多くのユーザーがWindows 10 Proに無料で移行している。
併せて読みたいお勧め記事
Windows 10 Anniversary Updateの機能
- Windows 10がAnniversary Updateで本気モード、革新的“キラーアプリ”を徹底レビュー
- 「Windows 10」次期更新で「Pro」ユーザーが迫られる“究極の選択”
- 「Windows 10」の“1周年記念”大規模アップデート、最もワクワクする機能は?
- アップグレードし損ねた人が顔色を失う「Windows 10」の驚くべき進化
「Windows 10」で不具合が起きたときは
Microsoftは、「管理者はWindows 10 ProのWindowsストアの『おすすめ』で、サードパーティー製ストアアプリケーションが表示しないように設定できる」と述べている。しかし、「ストアアプリケーションをオフにする」ことでサードパーティー製ストアアプリケーションを完全にブロックするには、Windows 10 Proのユーザー企業はコストをかけてWindows 10 Enterpriseにアップグレードしなければならない。
この1年間に多くの企業がWindows 10の無償アップグレードキャンペーンを利用してWindows 10 Proに移行しており、一部のアーリーアダプターは、このグループポリシー設定が使えなくなることを喜んでいない。
「われわれのようにAnniversary Updateにアップグレードしたいと考えていた企業でも、グループポリシーで希望通りの設定ができないとなると、アップグレードには消極的にならざるを得ない」。医療機器メーカーのMillarでITマネジャーを務めるスティーブン・パワーズ氏はそう語る。「要するに、MicrosoftはWindows 10 Enterpriseを売りたがっているということだ」と同氏は見る。
MillarのIT部門は、Windows 10 Insiderプログラムに参加し、2015年10月にWindows 10 Proに移行するまでに、同OSの機能とアプリケーションの互換性のテストに数カ月を費やした。ここにきてWindows 10 Anniversary Updateで、それらの機能の一部が使えなくなったことから、Millarはこのメジャーアップデートを大規模にはインストールしていない。
「われわれに必要な機能が省かれてしまうのは、理不尽だ」(パワーズ氏)
セキュリティに影響するWindows 10 Proの変更
「サードパーティー製Windowsストアアプリケーションをブロックできなければ、マルウェアに感染したアプリやトロイの木馬プログラムなどのセキュリティ脅威を招く恐れがある」と、IT調査会社Enterprise Management Associatesのリサーチディレクター、デビッド・モナハン氏は語る。
「これは明らかに問題だ」(モナハン氏)
Windows 10 Proのグループポリシーの変更は、顧客にWindows 10 Enterpriseへのアップグレードを促そうというものではないと、Microsoftの広報担当者は述べている。同社では、Proは中小企業向けエディションであるのに対し、Enterpriseは大企業向けの機能を搭載していると考えているという。
Microsoftは電子メールで次のように述べている。「Windows 10 Pro を使用する管理者は、Windows 10に関するヒント、テクニック、おすすめ、そしてWindowsストアのおすすめとして、Microsoft関連コンテンツのみを表示し、サードパーティー関連コンテンツは表示しないようにするポリシーを適用できます。Windows 10 EnterpriseとEducationエディションでは、管理者はこれらの機能を完全に無効にし、何も表示しない設定に変えることもできます」
しかし、Microsoftのパートナー企業や顧客は、Windows 10 Proにおけるグループポリシー項目「ストアアプリケーションをオフにする」の変更に悩まされている。
「一部のグループポリシーが機能しなくなって困っている。ユーザーは、IT部門が締め出したいソフトウェアをインストールできてしまう」。Microsoftのパートナー企業であるHillSouthの創業者でCEOのロビー・ヒル氏はそう語る。
ヒル氏によると、無償アップグレードキャンペーンがあったので、Windows 10 Proは、特に中小企業に広く普及しているという。
「このグループポリシーが機能しないのが、勘違いだったらよかったのだが。こんなことは想定外であり、ユーザーは望んでいなかった。もっといいアップデートが登場してほしい」(ヒル氏)
HillSouthとその顧客は、Windows 10 Anniversary Updateで別の問題にも直面した。顧客がこのアップデートをWindows 10 Proに適用したところ、OSがKaspersky Labsのウイルス対策ソフトウェアを検出できなくなったという。HillSouthは同社のパートナーでもある。この問題は、顧客からのヘルプデスク呼び出しの増加をもたらした他、別のウイルス対策エージェントのインストール時に衝突が生じるなどの問題につながる可能性もあると、ヒル氏は指摘する。
一方、Windows 10 Proのユーザー企業はWindows 10 Anniversary Updateの適用により、Microsoftの仮想化ツールである「Application Virtualization(App-V)」と「User Experience Virtualization(UE-V)」についても、不便を被ることになる。Windows 10 Anniversary UpdateはWindows 10 Enterpriseのユーザー企業には、App-VやUE-VをOSの一部として提供する。だが、Windows 10 ProでApp-VとUE-Vを使用してきたユーザー企業が、今後も両ツールの最新版を使い続けたい場合、Windows 10 Enterpriseへ移行する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー