連載「最新のOpen Compute Projectで何が変わった」第3回
「使ってみたら不満続出」にServer Design“Ver.2”で対応する(1/2 ページ)
Facebookが提唱するサーバ規格のデファクトスタンダードの第1弾は2011年4月に公開している。多くのベンダーとユーザーが支持したこの規格だが、程なく「不満の声」が表面化することになる。
連載「最新のOpen Compute Projectで何が変わった」
Facebookが開始したプロジェクトであり、主に電力効率を重視してサーバなどのデータセンター関連機器の規格を策定して公開する「Open Compute Project」(以下OCP)が、データセンターを構成するサーバやストレージ、ネットワークなど、7つのカテゴリーで標準規格を立ち上げた。しかし、サーバ規格で第1弾となる「Server Chassis and Triplet Hardware v1.0」は、登場当初こそ多くのベンダーやユーザー企業が支持していたものの、いざ使ってみるとさまざまな不満が出てきた。
不満が続出した主な原因は、規格が2011年当時のCPUやメモリ、ストレージを前提としていたことだ。規格の策定作業を行っていた時期において、メモリ規格の主流はDDR3でストレージでメインとなるのはHDDだった。
この後、新しいメモリ規格としてDDR4が登場したが、DDR3とDDR4に互換性がないので第1世代のサーバでは利用できない。ストレージはSSDが主流になっただけでなく、インタフェースに「M.2」「U.2」という小型のコネクターが登場した。Serial ATA(以下SATA)とSerial Attached SCSI(以下SAS)対応のSSDに関しては第1世代のServer Chassis and Triplet Hardware v1.0に準拠したサーバでも利用できるが、M.2とU.2はインタフェース規格が異なるので、第1世代ではライザーカード(マザーボードの拡張用基板)などを介して接続する必要がある。こうした最新の規格に対応できるようになってほしい、という要望がユーザー企業から出てきた。
併せて読みたいお薦め記事
Facebookが自前で用意したデータセンターとは
Open Compute Projectに対するベンダーの反応は
Open Compute Projectが進めるネットワークの標準化
Server Chassis and Triplet Hardware v1.0では、独自規格のラック仕様「Triplet Rack」も不満の一因となっていた。新規構築ならTriplet Rackの導入は難しくない。しかし、既にあるサーバルームやデータセンターに対する独自仕様ラックの導入は難しい。レイアウトに影響するサイズの違いのみならず電源系の仕様も異なるため、部屋の増設が必要になるからだ(この問題については「Facebookによる“ハードウェア設計のオープンソース化”は成功するか?」で言及している)。
さらに、それまでサーバベンダーが提供してきた「差別化のための独自機能や機構」を搭載しないため、サーバ管理に必要なアプリケーションやマネジメントモジュールなどをユーザー企業が自力で構築する必要があった。Facebookぐらい大規模な組織なら自前で用意できるだろうが、彼らの管理ノウハウが詰まったツールまでオープンで提供するほど“気前良く”はない。仮に提供できたとしてもFacebookのような巨大なデータセンター向けのシステムが全てのユーザー企業にそのまま適用できるとも考えにくい。
こうした要望を取り入れた形で第2世代の規格を「Server Design」プロジェクトと「Open Rack」プロジェクトで2014年に公開した。
規格策定と技術進化のタイムラグに対応するVer.2
2014年の時点でAdvanced Micro Devices (以下AMD)はサーバマーケットのシェアをほとんど持っていなかった。そのため、「Server Design」「Open Rack」各プロジェクトが策定した第2世代の規格ではIntelアーキテクチャに対応したフォームファクタだけを用意している。その構成は第1世代と違いは少ない。マザーボードの設計では以下の違いがある。
- 最新CPUとDDR4メモリに対応
- M.2(開発コード名はNGFF)スロットを搭載
- BMC(Baseboard Management Controller)を搭載
BMCとはサーバ管理用の新しい標準規格だ。Facebookは「OpenBMC」と呼ぶ新しいシステム管理のソフトウェアフレームワークを同時に発表して、第1世代にはなかった管理方法に対する回答とした。
この第2世代のサーバ規格は第1世代の更新用という位置付けという、いわば「ワンポイントリリーフ」だったが、2016年1月にマイナーアップデートを経て現在も多くのベンダーが採用している。
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