MDMが不要に
Amazon WorkLinkで社内システムに簡単モバイルアクセス、その仕組みは?
Amazon WorkLinkでは、ユーザーが手持ちのモバイル端末でファイアウォールの背後のコンテンツにアクセスでき、面倒なVPNやモバイル端末管理の手間を省く助けになる。
AWSがこのほどエンドユーザーコンピューティング市場で打ち出した新しい管理サービスを利用すれば、仮想プライベートネットワーク(VPN)接続やモバイル端末管理(MDM)を使わずに、従業員が自分の私物端末で会社のイントラネットやWebアプリケーションに安全にアクセスできる。
セキュリティは万全
Amazon WorkLinkでは、VPN接続や専用ブラウザを必要としない半面、従業員は自分の端末にアプリをダウンロードする必要がある。このアプリによって、端末上のブラウザを使ってファイアウォールの背後のコンテンツに安全にアクセスできるようになるのだ。社内のどのコンテンツがモバイル端末に表示されるかは、IT管理者がコントロールできる。AWSによると、WorkLinkはAWSのコンピューティングおよびネットワークインフラを使ってコンテンツをベクター形式に変換し、完全な機能を備えた図形としてユーザーの端末に送信する。
WorkLinkのアーキテクチャのアプローチでは、ユーザーが自分の端末上で使うデータの操作性が損なわれることはない。ベクター形式に変換されたコンテンツは完全な双方向性を保ち、スクロールや入力、拡大などもできる。
さらに、顧客がモバイルアクセスのセキュリティ対策のために自分たちでVPNやMDMソフトウェアを設定してメンテナンスする必要はなく、アクセス認証用のセキュリティキーやワンタイムパスワード、専用ブラウザといった手間がかかる手段は一掃できる。図式化された情報が端末の持続ストレージに保存されたりキャッシュが残ったりすることもないので、セキュリティリスクも低減できる。
Amazon WorkLinkは北米と欧州で提供が開始され、料金はアクティブユーザー1人当たり月間5ドル。他の地域でも年内に利用できるようになる。
従来VPNやMDMの導入は複雑でコストがかさみ、複数のベンダーが絡むこともあった。AWSコンサルティング企業ServerCentral Turing Groupのブレンダン・コールフィールド氏によると、VPNやMDMのような機能を単一の管理サービスとしてユーザー当たりの料金で利用できれば、企業がそうしたロジスティックス面や資金面での問題を回避する助けになる。
Amazon WorkLinkは当然ながらAWS中心だが、AWS Management Consoleの内部で既存のID管理対策を拡張したい企業にとっては魅力的なサービスになる。「同サービスではそうした機能の導入がシンプル化され、AWSデプロイの全てとは言わないまでもほとんどで、それまでセキュリティ対策がなかった企業にとって頼れるコンポーネントになるだろう」とコールフィールド氏は言う。
注意すべき点は?
Amazon WorkLinkは、従業員の私物端末を完全に管理することは望まないものの、そうした端末からファイアウォールの背後のコンテンツにアクセスさせたい企業のニーズに応えることができるはずだとIDCアナリストのフィル・ホチマス氏は指摘する。「企業のモバイルチームにとっては、非管理型と高度にセキュアなアプローチの間の新しい選択肢になる」
ただし、WorkLinkはどんな企業にとっても適しているわけではない。特に、コンプライアンスとセキュリティ対策を徹底させるために従来型のVPNやMDMインフラを使っている高度な規制対象の業界には適さない。例えばWorkLinkでは必ずしも遠隔操作で端末上の情報を消去することができず、ホワイトリストやブラックリスト、アプリのコンテナ化、データ消失防止などにも対応できない。
WorkLinkは、従業員エクスペリエンスの領域への進出を急拡大するAWSを反映したサービスであり、エンタープライズワークスペース管理における顧客の幅広い用途に対応する仮想デスクトップやアプリケーション仮想化のサービスを補完するものでもある。ただし顧客が考慮すべき注意点はもう1つある。
「これはセキュリティであり、コンテンツへのアクセスであり、さらに重要なことに、モバイル進入口でもある。ここでの課題は、組織が徐々にAWSに囲い込まれつつあることだ。そうした組織はマルチクラウド戦略に対応できるアプローチを見つける必要がある」。Constellation Researchの創業者兼CEOの「レイ」ことR・ワン氏はそう話している。
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