音声操作も視野に
Salesforce.comとAppleのパートナーシップの強化でCRMはどう変わる?
新しいSalesforceのモバイルSDKを利用すれば、開発者はAppleのプログラミング言語「Swift」を使って、iOSデバイス向けのネイティブSalesforceアプリを簡単に作成できる。
Salesforce.comは、同社のCRM(顧客関係管理)機能を展開する新しい方法を企業に提供する取り組みの一環として、ソフトウェア開発においてAppleのiOSアプリエコシステムとのつながりを深めている。
Salesforceは最近、iOS向けソフトウェア開発キット「Salesforce Mobile iOS Software Development Kit(SDK)」をアップデートし、iOSとの連携を強化した。開発者はこのSDKを使って「iOS 12」と「Swift」に最適化されたネイティブSalesforceアプリを作成できるようになった。iOS 12は「iPhone」と「iPad」向けのAppleの最新OSで、SwiftはAppleのプログラミング言語だ。
SalesforceはSDKのアップデートを2019年1月に発表した。同社の年次カンファレンス「Dreamforce 2018」でAppleとの大規模なパートナーシップを発表してから3カ月強のタイミングだった。SalesforceとiOSの連携は、両社がお互いのポートフォリオを広げるために打ち出そうとしている幾つかの施策の1つだ。Appleはエンタープライズ技術への足掛かりを固めようとしており、Salesforceは同社のCRM機能をよりアクセスしやすくしようとしている。
CRMと顧客体験を専門とするアナリストのブレント・リアリー氏は、「AppleがCRMの業界リーダー企業と組むのは賢明な動きだ。Salesforceが新しい製品や概念の伝道に熱心であることを考えればなおさらだ。この提携は、Salesforceにとっても勝利だ。CRMとモバイルを連携させるのは理にかなっているし、Appleとのパートナーシップがそのために役立つのは明らかだ」と語る。
モバイルへの注力
Salesforceのエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるレイラ・セカ氏は「モバイルはSalesforceとAppleのパートナーシップの中心を占めている」と語る。Salesforceは、モバイルデバイスを1日に3時間以上使う従業員の仕事を楽にすることを目指している。iOSフレンドリーなSDKやSalesforceとAppleが進める他の協業の取り組みを見れば、Salesforceが直感的なユーザー体験を提供するエンタープライズモバイルアプリケーションのサポートに注力していることがはっきり分かる。
「iOS開発に精通した企業は、顧客ニーズに合わせて独自の工夫を加えてSalesforceアプリを作成できる」。セカ氏は、アップデートされたSDKについてそう説明する。
セカ氏によれば、企業はこのSDKにより、iOSでおなじみのユーザーを提供するアプリを開発できる。それらのアプリは、安全で信頼性の高いSalesforceデータベースに接続され、デバイス固有の機能にアクセスできる。
「この新しいiOS SDKは、経験を積んだ開発者がアプリ作成に利用できるように作られているが、シンプルでもあり、例えばドラッグ&ドロップ機能も提供する。そのため、コーディングに詳しくないユーザーも、自分のニーズに合ったアプリを作れる。あなたがiOS開発者なら、このSDKでは、あなたがiOSやJavaに期待するのと同様のものが得られる。このSDKを活用して、非常に簡単に仕事ができる」(セカ氏)
例えば、開発者は「Face ID」と「Touch ID」(それぞれAppleのモバイルデバイスの顔認証システムと指紋認証システム)を容易に統合できるという。
CRMの新しい使い方が可能に
Salesforce Mobile iOS SDKプラットフォームは、CRMを容易にする新しい方法を提供する可能性がある。その最たるものが、Salesforceアプリの新しい音声操作機能だと、リアリー氏は指摘する。
SalesforceはDreamforce 2018で、「Einstein Voice」も発表した。Einstein Voiceは、自然言語処理を利用して、ユーザーがSalesforceアプリケーション内で行う必要がある更新作業を分類する。ユーザーはモバイルデバイスでEinsteinに音声コマンドを発行し、顧客プロファイルを更新したり、電子メールを書いたり、会議をスケジューリングしたりできる。リアリー氏は、Einstein Voice(現在はパイロット段階)とiOSの「Siri」の間で、Salesforceが、音声やAIベースの企業向けアプリケーション市場への足掛かりを固めようとしていると見ている。
「これからは、音声で操作されるアプリが増えるだろう。タイプやクリックではなく、音声で情報を入力できれば、CRMが利用しやすくなる。iPhoneは、営業担当者に最も人気があるモバイルデバイスなので、CRMは会話プラットフォームを持つことになる」(リアリー氏)
これら以外にも、SalesforceとAppleの提携に基づく開発中の製品がある。iOS向けの再設計されたモバイルSalesforceアプリ(パイロット段階)や、Salesforceのオンラインラーニングプログラム「Trailhead」用のiOSアプリなどだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー