「IBM Watson」×「Salesforce Einstein」 AI連携が生む価値両者の役割分担は?(1/2 ページ)

「Salesforce Trailhead Live Tokyo」の講演内容から「IBM Watson」と「Salesforce Einstein」が連携することで企業にはどのようなメリットがもたらされるのかを探る。

2017年07月20日 05時00分 公開
[冨永裕子]

関連キーワード

ビッグデータ | データ分析 | 機械学習


ceos Salesforce.com CEOのマーク・ベニオフ氏とIBM CEOのジニ・ロメッティ氏

 2017年3月にグローバル戦略パートナーシップを発表したIBMとSalesforce.com。人工知能(AI)技術を活用した両社の製品/サービスである「IBM Watson」と「Salesforce Einstein」を連携させ、企業のスマートな意思決定をより迅速な形で支援すると説明していたが、具体的にはどういうビジネスに、どのような形でベネフィットがもたらされるのだろうか。

 本稿では、2017年7月4日に開催された「Salesforce Trailhead Live Tokyo」における日本アイ・ビー・エム理事の浅野智也氏、セールスフォース・ドットコムでプロダクトマーケティングのシニアディレクターを務める御代茂樹氏、Salesforce.comプロダクトマネジメントディレクターのケン・ワカマツ氏の講演内容を基に、両社のパートナーシップが顧客関係管理(CRM)を中心とする既存のビジネスにもたらすインパクトについて考察する。

Salesforce.comとIBMの戦略的パートナーシップ

speakers 左から御代氏、ワカマツ氏、浅野氏

 セールスフォース・ドットコムの御代氏は冒頭、Einsteinが目指すこととして、「機械学習や深層学習、予測分析、自然言語処理などを活用したアプリケーションを誰でも簡単に使えるようにする、すなわち『AIの民主化』だ」と主張した。続いて登壇したワカマツ氏は、「テキスト、画像、音声のような非構造化データを扱うには、従来型の機械学習よりも深層学習が優れている」と述べ、リード(見込み客)スコアの改善やマーケティングキャンペーンの最適化といったSalesforce.comの事業の中核となる機能の向上に深層学習が役立つことを指摘した。

 2人に続いて登壇した日本アイ・ビー・エムの浅野智也氏は、両社の戦略的パートナーシップの内容について説明した。このパートナーシップは両社の顧客により良い顧客体験を提供するためのものであり、以下に示す4つのフォーカスエリアがあると述べた。

  • WatsonとEinsteinの連携
  • IBMの子会社であるThe Weather Companyが持つ全世界の天候データの提供
  • 同じくIBMの子会社であるBluewolfがWatson導入を支援
  • オンプレミスの企業データとクラウド内データの連携

CRM領域におけるWatson活用の現状

       1|2 次のページへ

ITmedia マーケティング新着記事

news084.jpg

生成AIが生み出す「バーチャル生活者」の声を聴くメリットとは?
博報堂は、独自の大規模生活者調査データベースに生成AI技術を組み合わせて作り出した「...

news038.jpg

生活者の生成AI利用動向 10代後半はすでに5割近くが経験――リクルート調査
テキスト型生成AIサービスの利用経験者の割合は若い年代ほど高く、特に10代後半はすでに5...