コロナ禍の「VDI」導入計画【前編】
「オンプレミスVDI」「DaaS」を比較 在宅勤務でのVDI全社導入ならどっち?
オンプレミスのインフラにVDIを構築するか。VDIの機能をサービスとして使えるDaaSを利用するか。在宅勤務などのテレワーク全面実施に適したVDIの選び方を説明する。
テレワークを助ける技術の一つとして「VDI」(仮想デスクトップインフラ)がある。VDIを導入するときに管理者が直面する課題は少なくない。VDIを導入する場合でも、既に導入したVDIを調整する場合でも、IT管理者が検討しなければならない要素は多岐にわたる。本稿は全社的なテレワークに合わせてVDIを導入するときの、製品とサービスの選び方を説明する。
VDIを導入するならオンプレミスとDaaSのどちらを選ぶべきか
VDIを導入していない場合、最初の課題の一つとして、オンプレミスのインフラにVDIを構築する「オンプレミスVDI」を選ぶべきか、VDIの機能をクラウドサービスとして利用可能な「DaaS」(Desktop as a Service)を選ぶべきかを考える必要がある。
オンプレミスVDIは、オンプレミスのサーバで仮想デスクトップや仮想アプリケーションをホストする。DaaSは、仮想デスクトップや仮想アプリケーションのホスティングをクラウドベンダーに有償で委ねるため、ユーザー企業は自社でサーバの用意やホスティングの設定をする必要がない。
VDI製品を所有していない企業は、DaaSが適している。オンプレミスVDIはインフラのリソース調達とその設定に多くの先行投資を必要とするが、DaaSにはそれがない。オンプレミスVDIの導入は大きなプロジェクトになるため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行といった、非常事態の最中に遂行するのは難易度が高い。
一方でオンプレミスVDIは、特定の業務のためにカスタマイズする柔軟性がDaaSよりも優れている。VDIのハードウェア構成やOS、セキュリティなどの要素を細かく制御したい場合はオンプレミスVDIが適している。
VDI製品の選択
VDIの導入方法を決めたら、次に課題となるのが実際に導入するVDI製品の選定だ。コストは主要な検討事項の一つだが、それ以外にもさまざまな要素がある。
例えばIT部門は、各VDI製品が既存のITインフラと適合するかどうかを評価する必要がある。自社でVMwareの仮想化製品を利用しているのであれば、VMware製品ベースのVDI製品が理にかなった選択肢になるだろう。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響で、短期間で従業員のテレワーク環境を用意する必要がある企業は少なくない。このような場合は既に使用している製品と同じベンダーの製品やサービスを導入すれば、IT管理者が学ぶことが最小限に抑えられ、ベンダーのサポートに関する問題も少なくなる。
もう一つの大きな検討事項は、「パーシステント」(永続)方式の仮想デスクトップを利用可能にするかどうかだ。パーシステント方式の仮想デスクトップは、各エンドユーザーが独自のディスクイメージを持つ。そのためエンドユーザーはデスクトップアイコンの並べ替えやファイル保存など、物理デスクトップと同様の変更が可能になり、デスクトップの変更内容を、セッション終了後も次のセッションに引き継ぐことができる。ただしストレージの容量を多く必要とするため、IT部門の手間が増える恐れがある。
これに対して「ノンパーシステント」(非永続)方式の仮想デスクトップは、セッションの終了後は仮想デスクトップの変更内容を保持しない。エンドユーザーがセッションを開始するたびに、標準の仮想デスクトップを受け取る。そのため導入と保守がパーシステント方式と比べ容易になる。ノンパーシステント方式の仮想デスクトップはエンドユーザーのカスタマイズ内容を保持しないため、エンドユーザーが不満を感じたり、ユーザーエクスペリエンス(UX)を阻害したりする恐れがある。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー