コロナ禍で進む「VPN」の変化【後編】
“未来のVPN”はどうなる? セキュリティの観点で予測
在宅勤務などのテレワークが広がる中、セキュリティ確保の手段として広く使われている「VPN」。ITの在り方が変わる中、VPNも変化が求められている。セキュリティの観点で、VPNの変化を予測する。
前編「テレワークの必需品『VPN』の変化を予測する」は、在宅勤務などのテレワークの広がりや、関連技術のこれまでの進化を基に、「VPN」(仮想プライベートネットワーク)の変化の大まかな方向性を予測した。後編となる本稿は、セキュリティの視点からVPNの変化を予測する。
“未来のVPN”はどうなるのか
併せて読みたいお薦め記事
「VPN」についてもっと詳しく
テレワークを支援するVPN以外の手段
VPNは、暗号化技術で通信を保護する。暗号化技術は、最近のWebブラウザには標準で組み込まれている。SSL(Secure Sockets Layer)/TLS(Transport Layer Security)といった通信路暗号化プロトコルを利用することが一般的だ。
クライアントデバイスを不正アクセスから保護することも、VPNの役割だ。これは全ての通信が、クライアントデバイスと社内LANに設置する「VPNデバイス」との間を流れるよう要求することで実現している。
「ファイアウォール」や「IDS」(侵入検知システム)/「IPS」(侵入防止システム)のような他のセキュリティシステムは、コンテンツフィルタリングやマルウェア検出、既知の攻撃のブロックによってクライアントデバイスを保護する。IT担当者は今後、こうしたセキュリティシステムに機械学習などの人工知能(AI)技術が適用され、ネットワーク管理者やセキュリティ管理者の作業負荷を軽減する事例を多く目にすることになりそうだ。
同様の変化は、VPNにも起こると予想できる。
クライアントデバイスがSaaS(Software as a Service)のようなインターネットサービスとやりとりする場合、VPNを利用するとデータ伝送の効率が落ちる。クライアントデバイスはデータをまずVPNデバイスに送信しなければならず、VPNデバイスがインターネットを介して、SaaSのデータセンターにそのデータを転送することから、レイテンシ(遅延)が大きくなるからだ。
VPNを利用する必要がある通信のみにVPNを適用する「スプリットトンネリング」が、こうした非効率を解決する可能性がある。ただしIT部門はセキュリティホールが発生しないように、VPNを利用する通信を慎重に選択する必要がある。「Cisco Umbrella」をはじめとする、DNS(ドメインネームサービス)の仕組みをセキュリティ対策に応用した「スマートDNS」との連携により、ネットワーク管理者やセキュリティ管理者が特定サイトへのスプリットトンネリングを管理できる。
より優れたセキュリティアプローチは「ゼロトラスト」の考え方を採用することだ。ゼロトラストでは、クライアントデバイスは場所にかかわらず侵害されていると想定する。調査会社Forrester Researchが2010年に提唱したゼロトラストは、ネットワークが満たすべき新たな基準となっている。
将来のVPNは、侵害の影響範囲を仮想マシン単位など論理的な境界内に最小化する「マイクロセグメンテーション」など、ゼロトラストを実現するセキュリティコンポーネントを自動的に実現、維持する方法を提供するようになるだろう。IT担当者は、将来のVPNはセキュリティが向上するとともに、セキュリティの実装と維持に必要な労力が軽減されることを期待できる。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー