テレワークの必需品「VPN」の変化を予測するコロナ禍で進む「VPN」の変化【前編】

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で、在宅勤務などのテレワークが広がる中、「VPN」は仕事をするための“ライフライン”になった。VPNは今後、どのように変化するのか。

2020年08月30日 08時30分 公開
[Terry SlatteryTechTarget]

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 「VPN」(仮想プライベートネットワーク)の重要性は、2020年前半に大きく変わった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴い、さまざまな企業で在宅勤務などのテレワークが大規模に進み、幅広いオフィスワーカーに影響が及んだからだ。パンデミック前に始まったVPNのトレンドに、ごく短い期間で拍車が掛かった。

 オフィスワーカーのテレワークへの移行を背景に、新たな難問が浮上した。「PCやモバイルデバイスを使って自宅から企業リソースにアクセスするワーカーを、企業はどのようにサポートすべきか」という問題だ。そこで重要な役割を果たすのが、クライアントデバイスと社内LANとの間を安全につなぐVPNだ。

 今はまだパンデミックのただ中だが、VPNにはどんな将来が待ち受けているのか。

VPNはどう変わるのか

 VPN機能の実装は、ハードウェアよりもソフトウェア中心となるという予測がある。それでもデータ伝送を実現するためには、何かが物理的な接続を担わなければならないため、ハードウェアは依然として必要だ。

 x86ベースの一般的なコンピュータに取って代わり、専用ハードウェアがVPN処理を担うようになると考えられる。データの出どころである「エッジ」では特にそうだ。エッジではさまざまなコンピューティングリソースがすぐに利用できるようになっている。社内LANでも、高い処理速度を実現できる専用ハードウェアが求められる。

 これまでのVPNは、クライアントデバイスと社内LANとを安全につなぐ仮想的なトンネルを作成して、全ての通信がこのトンネルを使用することが一般的だった。この仕組みには代償がある。それはクライアントデバイスがクラウドサービスにアクセスする際、トンネルを介して社内LANを経由しなければならないことだ。社内LANは、インターネットを介してクラウドサービスにデータを転送する。

 VPNは「SD-WAN」(ソフトウェア定義型WAN)のように機能し始める可能性がある。SD-WANは、ベースとなる有線LANや無線LAN、移動通信システムといった物理ネットワークに依存しないデータ伝送を実現する。SD-WANの要素を加えたVPNは、複数の回線を透過的に切り替えることができる。


 後編は、セキュリティの視点からVPNの変化を予測する。

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