イーロン・マスク氏が買収したTwitter社は、生き残りのためにさまざまな問題に対処する必要がある。同社のビジネスの成否を左右しかねないのが、「偽アカウント」「コンテンツモデレーション」の問題だ。
短文投稿サイト「Twitter」には、偽アカウントや詐欺が横行している問題がある。こうした不正行為によってブランドイメージが傷つけられ、顧客に被害が生じているユーザー企業にとっては深刻な懸念材料だ。この問題はTwitterに限らず他のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でも横行している。だがTwitterで偽アカウントを削除することは、他のSNSと比べて難しいのが現状だという。
Rapid7は、偽のSNSアカウントを見つけて削除するためのツール「Threat Command」を販売しているセキュリティベンダーだ。同社はSNS運営企業と連絡を取り、正当な理由でアカウントを削除するための証拠を共有している。同社広報によると、「LinkedIn」の偽アカウントは99%、「Facebook」と「Instagram」の偽アカウントは95%を削除できるが、Twitterの偽アカウントは82%しか削除できていない。
「マスク氏は広告主をTwitterにつなぎとめるため、今後のコンテンツモデレーション(投稿監視)がどのようなものになるのかに関して明確なガイドラインを示す必要がある」と、調査会社Insider Intelligenceのアナリスト、ジャスミン・エンバーグ氏は指摘する。Twitter社の広告ビジネスは「既に地盤が揺らいでいる」とエンバーグ氏は主張。景気低迷による不確実性に加えて「マスク氏の“奇行”が広告主の撤退につながった」とみる。
調査会社Forrester Researchのアナリスト、マイク・プロール氏は、今後1年は企業のメディア予算やイノベーション予算が引き締められると予測している。つまりマーケティングのリーダーは短期的な成長を勝ち取るためにも、SNSにしがみ付くことを余儀なくされる。
Twitterの方向性、特にコンテンツモデレーションの方向性が不透明なことから「Twitter広告の手控えは悪化の一途をたどる可能性がある」というのが、プロール氏の見方だ。マスク氏が広告主の信頼を得るためには「やるべきことがたくさんある」と同氏は指摘する。「まっとうな企業であれば、ブランドの安全が保障されない空間にいたいとは思わない。それだけだ」(プロール氏)
第4回はTwitterのセキュリティポリシーについて考察する。
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