多要素認証(MFA)のために集めたユーザーの個人情報を広告に利用したTwitter。専門家はこうした行為がMFAへの信頼を損なう可能性があると指摘する。
連邦取引委員会(FTC)の消費者保護局の上席弁護士、レスリー・フェア氏は2022年5月25日(米国時間、以下同じ)、FTCの公式ブログで、FTCとTwitterの間で2010年に達した和解に言及した。FTCとSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)運営企業の間で早い時期に成立した、個人情報保護に関する和解の一つだ。
当時FTCは、Twitterが「ユーザーの個人情報の保護を怠って」おり、プライバシーを危険にさらしている疑いで摘発していた。この件を機にFTCはTwitterに対し、個人情報を保護するための強化を義務付けていたという。
米司法省(DOJ)とFTCは、Twitterに1億5000万ドルの制裁金を科したことを2022年5月25日に発表した。同社が2013年5月から2019年9月まで、多要素認証(MFA)のためにユーザーから提供された個人情報を許可なくターゲティング広告に使っていたと説明する。
FTCによると、Twitterには制裁金に加え、プライバシーと情報セキュリティの強化を図るためのプログラムの導入を要請。プログラムについて第三者の評価を受けることも求めた。
セキュリティベンダーEmsisoftの脅威アナリストであるブレット・キャロウ氏は、フェア氏の見解に同調。Twitterの同名SNSに「制裁金は妥当だ」と投稿した。ユーザーがセキュリティ強化のために提供した個人情報を企業が不正利用すれば、ユーザーが将来、個人情報を提供しなくなる可能性があるとキャロウ氏は主張。「そうなれば、MFAの仕組みは成立しなくなる」と同氏は言う。
MFAは、SNSで広く利用されているアカウント保護のためのツールだ。ただしセキュリティ専門家は、企業がMFA用の個人情報を悪用する可能性に懸念を表明している。個人情報が悪用されれば、MFAの普及の妨げになる恐れがあると専門家は指摘する。
個人情報の不正利用を摘発されたSNS運営企業はTwitterだけではない。Facebookは2018年、MFAのために集めたユーザーの携帯電話番号をターゲティング広告に意図的に利用。FTCは2019年、Facebookに50億ドルの制裁金を科した。
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