不動産市場で進むアナリティクスの活用【中編】
不動産テック(PropTech)は「コロナ禍でも使われるオフィス」を生み出せるか
「不動産テック」(PropTech)は商用スペースの開発と建築において重要な役割を果たす。建物の環境負荷軽減や有効活用のために、不動産開発会社はどのようにデータを活用しているのか。先進事例に学ぶ。
「不動産テック」(PropTech:不動産に特化したアナリティクス技術群の総称)が重要な役割を果たす分野の一つが、商用スペースの開発と建設だ。新しい建物は環境に負荷を掛ける可能性がある。不動産開発会社はデータを利用することで、効果的な資源の使い方を理解し、進化し続ける環境影響基準を満たしやすくなる。
開発におけるアナリティクス活用
コンサルティング企業PricewaterhouseCoopers(PwC)でナショナルパートナー兼リアルエステートプラクティスリーダーを務めるバイロン・カーロック氏によると、不動産開発会社が建築で利用するコンクリートの増加が、環境問題の大きな一因になっている。「廃棄物を出さない建築が重要で、アナリティクスの活用によって一定の効率化が期待できる」(カーロック氏)
不動産には、環境ガバナンス、社会ガバナンス、コーポレートガバナンス(企業統治)も無縁ではない。不動産開発業者は現在、新しい建築物で、環境に配慮した建築の認証「LEED」(Leadership in Energy and Environment Design)を取得しようとしている。LEEDの基準を満たすため、建物を効率良く建築するだけでなく、一部の古い建物の転用も進んでいる。
カーロック氏によると、不動産開発会社は太陽光パネルを設置した屋根や壁面にアナリティクスを関連付けることで、これらの設備からの電力の取り込みを改善し、より効率的に建物を機能させることが可能になる。このようにあらゆる要素に関連付けた分析が「全ての面で非常に重要な進歩になると考える」と同氏は語る。
コロナ禍での“脱オフィス”の危機を「アナリティクス」で乗り越える
不動産テックは、建物を環境に優しく保つことを後押しするだけでなく、さまざまな分野の不動産開発もサポートする。インテリアデザイン企業Unispace Globalは、アナリティクスを使用してオフィススペースの利用率を最適化している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生以前、Unispaceはオフィススペースの利用状況を把握するために「機会、非効率性、課題を特定できる幾つかの定量的指標に注目していた」と、同社で戦略および設計部門のグローバルプリンシパルを務めるアルバート・デ・プラザオーラ氏は語る。同社は不動産テックを利用することで、十分に活用されていないオフィススペースを最適化し、従業員のニーズに適するように設計を見直してきた。同社のアナリストは、こうしたオフィススペースを使う従業員の人数や共同作業スペースのニーズを分析することで、従業員のニーズに合うように新しくしたオフィススペースを設計する。
当然、2020年3月までのデータは既に役に立たない。コロナ禍をきっかけにオフィスの在り方そのものが根本的に変わってしまったからだ。だからといってオフィススペースの設計をさらに見直す必要があるわけではない。「安全になったらオフィスに戻りたい」と考える従業員もいる。今後どれだけの収容人数が必要かをオフィスマネジャーやビル所有者が把握するのに、データが一つの指針になる可能性がある。
テレワークという勤務形態は、従業員による働き方の一つとして受け入れられ、一定の割合を占めるようになるとデ・プラザオーラ氏はみる。「オフィススペースにとっては今こそがチャンスだ。以前の目的からその役割が変化する中で、そこにオフィススペースをどう適応させるかが重要になる」(同氏)
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