大学のIT導入を成功させる5つの方法【前編】
大学のIT部門が「学生や学部からの反感」を買わないIT調達のこつとは?
さまざまな立場の人が関わる大学で、エンドユーザー全員のニーズを過不足なく満たすIT戦略を策定することは困難だ。ニーズに折り合いを付け、IT製品の導入を成功させるために必要なこととは。
学生の活動を支援し、教職員の役に立つIT製品を評価して選定する際、大学のIT部門は特殊な課題に直面する。小さな都市の人口にも匹敵する数の学生を抱える大きな大学にとって、汎用(はんよう)的なIT製品を探すのは至難の業だ。
テネシー大学(University of Tennessee)の例を見てみよう。300棟近い校舎が立ち並ぶ敷地面積910エーカー(約3.68平方キロ)のノックスビル校のキャンパスには、2020年秋時点で3万人強の学生が在籍し、約1600人の教員と約6000人の職員が働いている。同大学のIT部門は、これら全てのエンドユーザーのニーズに応えるだけでなく、エンドユーザーが日常的に使用する「Linux」「macOS」「Windows」といったOSや教育システムなどの運用、保守もしなければならない。
大学のIT部門がIT戦略を推進して、成功を収めるための方法とは何か。テネシー大学の取り組みを基に5つの方法を紹介する。
- 学内のニーズに耳を傾ける
- 学内組織との信頼関係を構築する
- 単一製品にこだわり過ぎない(後編で紹介)
- 研修とサポートを手厚くする(後編で紹介)
- セキュリティに配慮する(後編で紹介)
方法1.学内のニーズに耳を傾ける
前述の通り、大学は学生や教職員など多様な立場の人が関わる組織だ。そのためIT製品の導入を考える際は「標準化とカスタマイズ」「コストとメリット」「セキュリティと利便性」のバランスを取らなければならない。IT部門が目指すのは、トラブルの連鎖のきっかけになったり、制御不能な状態を招いたりすることなく、エンドユーザーが必要なものを提供することだ。
テネシー大学はさまざまなニーズに応じるため、「Microsoft 365」「Google Workspace」など複数のオフィススイートを利用できるようにしている。導入候補のIT製品を評価する際は、購買プロセスに関わる立場の人から広く意見を取り入れるために、複数部門のエンドユーザーに参加を依頼している。このヒアリング作業は時間がかかる。それでもIT部門の決定事項に対してさまざまなエンドユーザーから賛同を得るとともに、新しいIT製品の定着につながるため、時間をかける価値はある。
方法2.学内組織との信頼関係を構築する
大学のIT部門にとって、学部や学科といった各組織との信頼関係を築くことは非常に重要だ。大学内の組織がIT製品を調達する場合、一般的にはIT部門の許可を得る必要がある。IT部門は各組織の声に耳を傾けて、各組織からの質問に答える時間を取るとよい。これにより各組織が勝手な行動を取ったり、「必要なものを手に入れる上で障害になる」と考えてIT部門を敵視したりすることがなくなる。結果として各組織はIT部門が定めた基準に従ってくれる可能性が高くなるため、長い目で見ればIT部門の仕事は楽になる。
信頼関係の構築は、学生の情報や履修内容を管理するシステムなどの基幹システムと、新しいシステムをシームレスに連携させる上で特に重要だ。人事、財務、学生情報を管理する基幹システムのデータに関する判断を下す際は細心の注意を払わなければならない。単一のシステムが全ての種類のデータを扱うのに適しているとは限らない。「単一システムの使用」への固執がIT戦略を制限し得ることも理解しなければならない。
後編は、残る3つの方法を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[テクバン株式会社] 1画面でITサービスデスク業務が完結 太陽ホールディングスに学ぶデバイス管理 -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] ライセンス無料 Drupalベースの「多言語ECサイト開発用パッケージ」の実力は? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 日本発グローバル企業用Drupal「Risley(リズリー)」の実力とは? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] Drupalサイト運用のリスク解消 潜在的なセキュリティ問題を迅速に発見する方法 -
製品資料
[株式会社ソースポッド] SCS評価制度への対応で工数が増大? 取得後の管理・運用をどう進めるべきか
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
世界PC出荷数が20%急減 情シスを直撃するPC先行調達の反動と価格高騰
-
5
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の運用管理と統制機能を徹底比較
-
6
326のIPアドレスで1200超のアクセス AIエージェント関与が疑われる攻撃の中身
-
7
セキュリティは「情シス任せ」が過半数 漏えい発生時やSCS評価制度の課題は?
-
8
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
9
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
10
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
3
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー