「続けたくなるテレワーク環境」の作り方【第2回】
“テレワーク前提”なら無視してはいけない「セキュリティ」の課題と解決策
テレワークを一時的な施策ではなく長期施策として継続する場合に、無視できないのがセキュリティに関する課題だ。どのような課題があり、どうすれば解決できるのか。
前編「テレワークを避けられないなら最低限押さえておきたい『経営課題』とは」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としての一時的なテレワーク導入から、継続的なテレワークへの移行を進める上で、企業が直面する主な経営課題を整理した。本稿はテレワークを支えるIT面の課題のうち、特に重要なセキュリティの課題と、その解決策を解説する。
テレワークを実現するために必要な設備とセキュリティ
テレワークに必要なITインフラの中でも、ネットワークとデバイス(エンドポイント)管理のセキュリティに関しては、特に重視していただきたい。エンドユーザーが自宅や宿泊先などから社内システムにアクセスして業務を進める行為は、情報漏えいの可能性がある経路に該当するからだ。
1.ネットワークセキュリティ
ほとんどの企業が、顧客情報を含む機密情報を何らかのサーバに保管している。これらの情報に外部から安全にアクセスするためには、VPN(仮想プライベートネットワーク)などのリモートアクセス手段が必要だ。既にVPNを使っている企業ならテレワーク実施に当たって回線容量(帯域幅)を増やす必要があり、まだVPN設備を持たない企業は新規に設置する必要がある。
接続可能な無線LANクライアントデバイスを限定したり、不審な経路でアクセスしたデバイスがないかどうか監視したりする必要もある。クラウドサービスを使用している場合(または使用する計画がある場合)、ファイアウォールなどネットワーク境界で守る従来型の境界型防御だけではなく、信頼性に基づいてアクセスを許可する「ゼロトラストセキュリティ」の構築も視野に入れるべきだ。
2.デバイス(エンドポイント)セキュリティ
誰が、いつ、どこで、どのようなデバイスを使っているかを把握することはセキュリティの基本だ。これらの情報を把握できていないと、不審なデバイスのアクセスを検知できず、対処できない。IT資産管理システムは、社内外のデバイスを管理し、現状を把握するための基本的なシステムだ。
従業員がデバイスを社外に持ち出す際は、企業はデバイスの盗難や紛失時の対策を講じる必要がある。デバイス内のデータが悪用されるリスクをどのように回避するかという点が対策の中心になる。まずはデバイスそのものへの不正アクセスを防ぐ手段として「BIOSやOSのパスワードの設定」が挙げられる。予算に余裕があれば、生体認証機能が付いたデバイスを導入する手もある。
デバイス内のデータが悪用されることを防ぐために、
- マルウェア対策ソフトウェアの導入
- ストレージの暗号化
- リモートデータ消去・ロック機能の利用
- 外部記憶媒体の利用制限(USBポートのロック、SDメモリーカードの利用制限など)
などの対策が必要だ。
その上で、そもそも持つべきでないデータを保存しているデバイスや、組織の許可なくデータをオンラインストレージに保存しているデバイスを検知する仕組みがあるとよい。こうした仕組みがあれば、デバイスが盗難に遭い機密データが悪用されたり、オンラインストレージにあるデータを盗み見られたりするリスクをさらに軽減できる。
デバイスにデータを保存する必要性をなくす意図で、「VDI」(仮想デスクトップインフラ)とシンクライアントを利用するのも一つの方法だ。ただし十分なスループット(反応速度や操作性)を確保するには実装に多大なコストがかかることから、及び腰になる企業もある。実際、筆者が見聞きした事例でも、テレワーク導入を機にシンクライアントからファットクライアントに切り替えた企業があった。
従業員のほとんどは組織のルールに従って仕事をしているものだが、中にはルールから逸脱する人がいる。本人にルール違反の意図がなくても、知らないうちに悪意のある第三者にデバイスを踏み台にされて、自社がサイバー攻撃を受ける可能性もある。従業員が業務で利用するデバイスは、企業の資産の入り口となる。デバイスの管理をしっかり実施することで、大事な資産を保護することができる。次回はこうしたデバイス管理に焦点を当て、具体的にどのような仕組みが必要か、そのためにどのような製品を検討すればよいかを述べたい。
この連載について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策としてテレワーク体制に移行することになったものの、VPN(仮想プライベートネットワーク)やVDI(仮想デスクトップインフラ)のリソースを十分に用意できなかったために「通信がつながりにくい」「動作が重い」などの不満に直面した企業は少なくない。本シリーズは「テレワーク(特に在宅勤務)を前提にしたデバイス管理のベストプラクティス」をテーマに、テレワークを長期的に継続する上での技術的課題や不満の解消に役立つ情報を紹介。現状の課題整理、課題の解決と必要なシステム、支援ツールの情報などを整理する。
田北幸治(たきた・こうじ)
アイ・ビー・シー 代表取締役社長
大学院修了後、外資系コンピュータベンダーで金融機関向けシステムエンジニア(SE)、営業を経験。その後IT企業を立ち上げ、ソフトウェア事業を展開。外資系ソフトウェア企業の日本代表を経て、2015年にエンドポイントセキュリティやエンタープライズモビリティー管理(EMM)に特化した製品を扱うアイ・ビー・シーを立ち上げる。
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「続けたくなるテレワーク環境」の作り方
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策としてテレワーク体制に移行することになったものの、VPN(仮想プライベートネットワーク)やVDI(仮想デスクトップインフラ)のリソースを十分に用意できなかったために「通信がつながりにくい」「動作が重い」などの不満に直面した企業は少なくない。本シリーズは「テレワーク(特に在宅勤務)を前提にしたデバイス管理のベストプラクティス」をテーマに、テレワークを長期的に継続する上での技術的課題や不満の解消に役立つ情報を紹介。現状の課題整理、課題の解決と必要なシステム、支援ツールの情報などを整理する。
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