オフィス再開後に“非接触会議室”を作るなら考えたい「BYOD」3つの用途私物スマートフォンを「鍵」にする

オフィス勤務を再開してもソーシャルディスタンスの確保がまだ必要ならば、会議室の在り方を見直す必要がある。非接触型の会議室を構築する際、重要な役割を果たすのは私物スマートフォンだ。その理由は。

2021年06月29日 05時00分 公開
[Jon ArnoldTechTarget]

 「BYOD」(私物端末の業務利用)という概念が登場して久しい。従業員が私物のスマートフォンを業務に使うことを企業が禁止したり、制限したりする時代は終わりつつある。生まれたときからITが身近にあるデジタルネイティブ世代は、当たり前のようにスマートフォンを使いこなしている。いずれ「5G」(第5世代移動通信システム)のサービスが家庭と職場に新しいトレンドをもたらすようになれば、BYODはさらに定着すると考えられる。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大でテレワークを余儀なくされたとき、固定電話を使うという選択肢を持たなかった従業員は、モバイルデバイスを多用することになった。企業がオフィス勤務の再開に向けて勤務ポリシーを検討する際には、このことも念頭に置く必要がある。

 非接触型の職場環境を整えるために従業員の私物スマートフォンを活用しようと考えるとき、重要になるのは私物スマートフォンの「スマート」の部分だ。従業員は私物スマートフォンを主に電話やテキストメッセージ、動画視聴の用途に利用するが、私物スマートフォンには他にも活用法がある。接触低減型や非接触型の会議室を作る際に、従業員の私物スマートフォンが役に立つ3つの用途を紹介しよう。

用途1.何にも触れずに会議室へ入室

 当たり前のことだが、会議室を使うには入り口から中に入らなければならない。このとき非接触型の入室手順には2つの要素がある。1つ目は入室を制限している場合に何らかの認証や本人確認を要すること。2つ目は物理的にドアを開閉することだ。従業員の私物スマートフォンを使えば、非接触でこの両方の要件を解決できる。IDカードをかざしたり、キーパッドにパスコードを入力したり、ドアレバーやドア表面を触ったりしなくてもよくなる。

用途2.何にも触れずに会議へ参加

 会議室に入ったら、次は会議を開始するか、会議に参加する。現在の会議システムは総じてセンサーを装備していて、非接触で操作できる。中には顔認識や音声認識、RFID(Radio Frequency IDentification)といった非接触技術を利用可能な会議システムもある。従業員の私物スマートフォンは会議システムを操作するためのデジタル鍵として機能する。アプリケーションを使用して会議への参加認証をしたり、各参加者の参加レベルやアクセスレベルの承認をしたりすることができる。

用途3.ソーシャルディスタンスの確保

 オフィス勤務を再開するなら、共有物への接触機会を減らすことが重要だ。従業員間のソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保することも重要であり、そちらの方が難しい。特に会議のように、密閉された空間を使う行為は難題だ。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保がまだ必要な状況では、会議室という密閉空間は従業員にとって危険な場所になりやすい。従業員の私物スマートフォンはこの場合の安全強化にも役立つ。スマートフォンの位置情報機能やGPS(全地球測位システム)を活用して接触追跡したり、会議中に従業員同士の距離が近づき過ぎたときに警告を出したりすることが可能だ。

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