目指すべきはFacebookアプリ?
機能“全部乗せ”モバイルアプリが使われない、もっともな理由
今日、企業の従業員はビジネスアプリケーションが「Facebook」のようにスムーズに動作するのを望んでいる。このため、IT部門はモバイルアプリのユーザーエクスペリエンスのデザインに力を入れている。
数年前、ある大手グローバル企業がモバイル化を進めていた。その企業の経営陣は自社の出荷追跡システムをAndroid端末で置き換えたいと思ったが、それがどのような影響を及ぼすかまでは考えていなかった。
スピードを求めるユーザー
この企業の業務部門は従来、出荷追跡システムの修正やアップグレードを行うために、大量のソフトウェアアップデートが入った物理的CDやDVDをエンドユーザーに定期的に送付してきた。だが同社の幹部の1人は、Androidに移行すればこの手法が役に立たなくなることを知っていた。タブレットにはCDやDVDからソフトウェアをインストールできないという物理的な問題もさることながら、このやり方ではユーザーの期待に応えるアップデート間隔を実現できないからだ。モバイル時代には、アプリのアップデートが絶えず行われる。その間隔はわずか1週間、あるいは数日ということもある。この幹部はその点を同僚に指摘した。
「『そんな頻繁なアップデートは無理だ』と彼らは言った。だが、『どうやったらできるか考えてみよう』と私は答えた」と同幹部は振り返る。
今日、エンタープライズモバイルアプリ、特に社内で開発されるモバイルアプリの普及が拡大している。エンタープライズモバイル管理(EMM)ベンダーの米Good Technologyが発行している調査リポート「Mobility Index Report」の最新号によると、同社のプラットフォーム上でのエンタープライズモバイルアプリのアクティベート数は前年比で731%も増加したという。
だが、企業はアプリケーション開発とライフサイクル管理のプロセスの迅速化への要求に応えるのに苦労している。これはモバイルユーザーエクスペリエンスのデザインの問題だけではない。従業員は全ての社内アプリケーションに対して、定期的なアップデートと迅速なバグフィックスを求めているのだ。
開発者にフィードバックを提供する手段も必要だ。というのも、従業員は内蔵のモニタリング/アナリティクス機能によって問題が事前予防的に発見・解決されると期待しているからだ。
大手グローバル企業でモバイル戦略を担当するマーティ・レンスニック氏は、「エンドユーザーは、Facebookならこんな風に動作する。わが社のアプリケーションも同じように動作すべきだと期待する」という。
巨大ソフトウェア型のアプローチを脱却せよ
エンタープライズアプリケーションには通常、たとえ一部のユーザーにしかニーズがない機能であっても、それが必要とされる可能性がある以上は全て含まれる(「80%のユーザーはアプリケーションの機能の20%しか必要としない」という原則は以前から知られているが)。こうした機能満載のソフトウェアは改良するのに時間がかかり、アップデートに際してはユーザーエクスペリエンスが犠牲にされることも少なくない。
今日成功を収めているモバイルアプリケーションは、こうした遅い開発ペースと巨大ソフトウェア型のアプローチを避けている。Facebookもそうだ。PCユーザーであればWebサイトだけで全て事足りる。「ニュースフィードを見る」「友人とチャットする」「ページを管理する」「グループに参加する」といった作業を同じインタフェースから実行できるのだ。しかしモバイルデバイスでは、これらの作業に対してそれぞれ専用のアプリが用意されている。米Facebookも同社の主要なiOSアプリを4週間ごとにアップデートしている。
「モバイルアプリのライフサイクルの各段階、すなわち構想、設計、配備、モニタリング、フィードバックは共通しているが、それぞれ段階の複雑さは大幅に増している」と指摘するのは、「Mobile Backend as a Service(MBaaS)」(サービスとしてのモバイルバックエンド)を手掛ける米Kinveyの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるスラビッシュ・スリダー氏だ。
例えば、モバイルアプリの設計に際しては、複数のOS上でのユーザーエクスペリエンスを考慮する必要があるという。これらのOSは、さまざまな形態およびサイズのデバイス上で動作し、各デバイスはそれぞれ独自のユーザーインタフェースを備えている。
「アプリでは、特定のフォームファクターに対して独自のユーザーエクスペリエンスが付随する」とスリダー氏は語る。
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