Amazon、Microsoft、Googleを検証
3大クラウドストレージ性能比較、“キングAWS”を突き放したのは?
Amazon、Microsoft、Googleでクラウドストレージのパフォーマンステストを実施したところ、「Microsoft Azure BLOB」が最も高い結果を示した。
米Nasuniが1年おきに実施しているクラウドプロバイダーの速度と可用性に関するベンチマークテストのリポートによると、クラウドストレージのパフォーマンスの点で米Microsoftの「Microsoft Azure」は米Amazon Web Services(Amazon)の「Amazon Simple Storage Service」(S3)を依然上回っているという。
Nasuniは、オンプレミスのデータをパブリッククラウドストレージに統合するクラウドNASシステムを販売している。そのため、書き込み、読み取り、削除を大量に処理するクラウドプロバイダーの能力を、可用性とスケーラビリティの両面からテストしている。テスト結果の公開を始めた2011年当時は、S3が最高成績を記録したが、2013年に「Microsoft Azure BLOB」(BLOB)がS3を上回った。
関連記事
クラウドストレージのベンチマークテスト
主要クラウドパフォーマンス比較
- AWS、Azure、Google――クラウド“ビッグスリー”比較表で分かる本当の勝者
- AWS vs. Azure vs. Google、運用コストで選ぶ3大クラウドストレージ
- 【徹底比較】OpenStackで利用するストレージ、主要9製品を比べた
クラウドストレージの解説
クラウド ナビ
2015年に公開された結果では、BLOBストレージがS3と米Googleの「Google Cloud」を抑え、全体的に最高のパフォーマンスを記録したことが示されている。Microsoftは、クラウドでのデータの書き込み、読み取り、削除のパフォーマンスにおいて、AmazonとGoogleを上回った。
Nasuniのリポート「State of Cloud Storage」では、「読み取りパフォーマンスの点でMicrosoftが一貫して他のクラウドストレージプロバイダーよりも優位をキープしている」としている。「だが、書き込みパフォーマンスの点ではAmazonがMicrosoftとの差を以前よりも縮めている。読み取りパフォーマンスにおけるMicrosoftの優位性は削除のベンチマークでも見られ、ファイル削除の速さはAmazonの2倍を超え、Googleの5倍近くを示した」
Nasuniは、プロバイダーのクラウドでの書き込みと読み取りを3バージョン実行している。つまり、1日のさまざまな時間帯に、1Kバイト~1Gバイトのファイルサイズで、1~50個のスレッド数で書き込みと読み取りを行い、全体の平均を求めている。テストは12時間にわたって行い、テストマシンの複数のインスタンスを使用し、単発のテストランを複数回実行した。
「特に小さいサイズのファイルの書き込みと読み取りについては紙一重の差でBLOBがS3を上回った」とNasuni製品管理部長のジョン・カペロ氏は話す。「大きいサイズのファイルではS3がBLOBよりも優れていた。ファイルのサイズが大小混在する状態ではBLOBの方が優れている。理由ははっきりしない。ストレージ側で何が行われているかが明確ではないため、この点についての見解はあまり示せない。分かっているのは、Microsoftはアーキテクチャの管理とは対照的に、ネットワークと取り込みの処理に強いことだ」
可用性のテストは30日を1つの期間として行われ、60秒間隔で書き込み、読み取り、削除の単一のプロセスに対する各クラウドプロバイダーの応答時間が測定された。
応答時間の点でもAmazonとMicrosoftの差はわずかだ。Amazonが平均0.1秒だったのに対し、Microsoftは平均0.14秒だった。Googleは0.5秒と、大きく後れを取っている。
Nasuniはスケーラビリティのテストも行っている。このテストでは、クラウドプロバイダーが管理するオブジェクトの数が増えてもパフォーマンスを維持できるかどうかを測定する。カペロ氏によれば、パフォーマンスが最適であればミスは起こらないという前提で、Nasuniは1億個のオブジェクトを書き込み、書き込みと読み取りのミスの数を測定したという。テストでは変動とオブジェクト速度も測定された。
1億個のオブジェクトの書き込みでは、MicrosoftとGoogleは書き込みエラーがなかったが、Amazonは平均5回の書き込みエラーがあった。
Nasuniは書き込みの平均速度と変動も測定した。Amazonの書き込み速度は毎秒300オブジェクトで、MicrosoftとGoogleの3倍を記録した。Microsoftは書き込み速度が遅く、変動も大きかった。Googleの書き込み速度はMicrosoftよりもやや速く、変動は少なかった。
リポートによると、「オブジェクト数が増えていくにつれてパフォーマンスが低下するクラウドストレージシステムが多いため、今回のテストでは1つのコンテナに格納したオブジェクトの総数を数億まで増加させた場合にパフォーマンスレベルを維持するCSPの能力を測定した」という。
2015年のNasuniリポートに含まているクラウドプロバイダーは3社だけだ。リポートでは、米Hewlett-Packard(HP)の「HP Cloud Object Storage」と米IBMの「IBM SoftLayer」も検討し、限られた容量でのテストも行ったと示されている。だが、HPについては同社の方針転換によりリポートとの関連性に疑問が生じ、IBMについてはクラウドの定期休止によって、テストの実施が困難になったという。
「市場でエンタープライズクラスのパフォーマンスを実際に提供するクラウドは、AmazonとMicrosoftの2つだ。Googleも含め、3つのクラウドは実際の特徴がそれぞれ異なる」(カペロ氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
6
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
9
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
10
「RAGの利用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー