管理やインフラのコスト削減では期待されるDaaS
VDIを上回るメリットがない? 期待のDaaSが想定外に普及しないワケ
DaaSを利用すれば、企業はVDIの複雑さや高いコストを回避できる。だが一部のIT部門は、DaaSの利便性やクラウドのセキュリティに懸念を抱き、導入をためらっている。
DaaS(Desktops as a Service)には幾つか、VDI(仮想デスクトップインフラ)にはないメリットがある。それにもかかわらず、一部のIT部門はDaaSの導入に消極的だ。
DaaSはVDIと同様のメリットを多数提供する。それに加え、DaaSはクラウドであることから、管理コストやインフラコストの削減も期待できる。だがITプロフェッショナルの中には、DaaSに対して慎重な人たちもいる。デスクトップ配信は自分たちで管理したいという考えからだ。
「もし誰かにDaaSに投資するように言われても、そうしないだろう。自分たちの環境は自分たちで管理できるようにしておきたいからだ」。Citrix Systemsの仮想化プラットフォーム「Citrix XenApp」を利用しているというTri-Counties Regional CenterのCIO、ドミニク・ナムナス氏はそう語る。
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企業がDaaSに不安を抱く理由には、クラウドのセキュリティに対する不安の他に、コンプライアンスやアップタイムをめぐる懸念がある。こうしたクラウド全般に当てはまる懸念の他に、DaaS市場には、ベンダーの多くがスタートアップ企業であるという懸念材料も存在する。DaaSの導入を検討するときには、スタートアップ企業が突如廃業する可能性があるという点に留意すべきだ。調査会社IDCの調査ディレクターであるロバート・ヤング氏はそう指摘する。
「長期的なDaaS戦略を任せられる相手かどうか。廃業するとなった場合、どうすればデータを取り戻せるか。ベンダーがこうした点まで考慮しているかどうかを確認する必要がある」(同氏)
調査会社Forrester Researchの主任アナリスト、デビッド・ジョンソン氏によれば、エンドユーザーにとっては、現状ではVDIではなくDaaSを使うことによる機能面でのメリットは特にない。
「DaaSベンダーはサービスの改良を続け、デスクトップ環境全体ではなくアプリケーションのみを提供するなど、顧客のニーズにますます的確に応えられるようになっている。そうした点では改良が進んでいる。ただしユーザーにとっては、DaaSにVDIを上回るメリットはない」と同氏は語る。
DaaSはまだ成長中の技術であり、機能面ではVDIを超えてはいない。だがGartnerによれば、この状況は1年半から2年後には変わる見込みだという。今後、DaaSの改良が進み、クラウドのセキュリティに対する懸念が軽減されるのであれば、市場の成長は加速するはずだ。Gartnerは報告書「Market Guide for Desktop as a Service」でそう指摘する。
報告書によれば、2019年には仮想デスクトップの新規ユーザーの半数がDaaSプラットフォームを導入するという。
「多くの人たちは、VDIがこの数年でもっと急速に成長すると予想していた。VDIが提供する価値は十分に理解されている。だが市場はまだ人々が予想したほど成長していない」とヤング氏は語る。
VDIを利用することで、企業はエンドポイント端末の管理やクライアントPCの延命に掛かる費用を削減できる。だが一方で、そのためのデータセンターインフラの実装に費用が掛かる。さらにネットワークとストレージとサーバの管理に精通したITプロフェッショナルを雇うとなると、PC管理スタッフよりも多くの人件費が掛かる。
デスクトップ配信をアウトソーシングすれば、企業はVDIを管理する複雑さから解放される。高いコストを負担する必要もなくなる。だが手元で管理できなくなることへの不安から、DaaSへの完全な移行をためらう企業は依然として少なくない。
「大企業はDaaSに全面移行はしていない。DaaSを部分的に導入し、VDIもオンプレミスで構築している」とヤング氏は語る。
DaaS導入時の留意点
Gartnerによれば、DaaSの導入を検討する企業は、自社の環境でテストしてみる必要がある。さもなければ、コスト削減どころか損失を出すことになりかねない。さらに、ユーザーの操作性を現状と同等かそれ以上のものにする必要がある。さもないと、生産性を落とすことになるからだ。
利用するアプリケーションがデスクトップOSを必要とするかどうかの確認も重要だ。一部のDaaSベンダーはWindowsのデスクトップOSではなく、サーバOS「Windows Server 2008 R2」を利用している。そうとは知らず、DaaSを導入した後になって、一部のアプリケーションのパフォーマンス低下に気付かされる企業は少なくない。
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