自社の環境にどう対応するか
2018年のVDI(仮想デスクトップ)、IT担当者なら押さえておきたい4つのトレンド
新年を機に、VDIをけん引する4つの主要トレンドをチェックしていく。ユーザーエクスペリエンスやデータ集約型アプリケーションが、VDI分野で注目を浴びている理由が見えてくるだろう。
新しい年が動き出したこのタイミングで、2017年にVDI(仮想デスクトップインフラ)分野で起こった大きな動きを振り返ってみよう。VDIの4つのトレンドは、今後もこの分野の焦点となるからだ。
こうしたVDIの主要トレンドを把握しておけば、自社の環境に求められる要件にタイムリーに対応していく上で役立つ。
1. モニタリングツールでUXを点検
良好なユーザーエクスペリエンス(UX)はユーザーの生産性を高める。企業にとっては、これはVDIのROI(投資対効果)の向上につながる。ユーザーエクスペリエンスが貧弱な場合は、誰も仮想デスクトップを使おうとしなくなり、企業の投資が無駄になってしまう。
適切なハードウェアとソフトウェアを組み合わせてVDIを運用している企業は、共有ワークロードでもユーザーに優れたパフォーマンスを提供する。こうしたハードウェアとソフトウェアには、例えば、ユーザーが行っている作業に最適化されたシンクライアントや、ユーザーの日々の業務を支援するタイプのアプリケーションなどが含まれる。
VDIモニタリングツールは、IT担当者がVDIの動作状況全体を把握し、問題を迅速に特定、解決できるようにすることで、良質なUXの実現を支援する。
多くのユーザーは、仮想デスクトップで経験している問題を説明できないため、VDIモニタリングツールは、UXを提供する上で重要だ。IT担当者は、ログインの集中によるハイパーバイザーの過負荷など、問題を特定するのにモニタリングツールを利用できる。
2017年には、VDIモニタリングツールの大手各社が製品の機能強化を進めた。例えば、Liquidwareは同社のツールの最新版「Stratusphere UX 6.0」で、アプリケーションごとのGPUの使用状況に関する指標を導入した。
2. グラフィック集約型やデータ集約型アプリケーションに対応
グラフィックスは、もはやパワーユーザーのためだけのぜいたく品ではない。拡張現実(AR)アプリケーションから、メッセージングアプリケーションのGIFチャットまで、全ての従業員がグラフィックスや大量のデータを使いたいと要求するようになっている。「Microsoft Office」のようなアプリケーションも、今ではグラフィックスアクセラレーションを利用している。
VDI環境が高い処理負荷に対応できない場合、企業は、大部分のデータを処理できる高価なエンドポイントデバイスに投資しなければならなくなる。さもないと、システムのパフォーマンスが低下してしまう。
VDIを運用する企業は2017年に、こうした流れを踏まえ、CPUをグラフィックスレンダリングから解放するGPU技術への投資を拡大し、VDI環境を調整した。GPUはデータセンターにおいて、アプリケーションの発行や、仮想デスクトップのシームレスな実行、リソース集約型アプリケーションを使用するハイエンドワークステーションをサポートする。
グラフィック集約型およびデータ集約型のVDI環境には、適切なリモートディスプレイプロトコルも不可欠だ。優れたリモートディスプレイプロトコルは、レイテンシや競合を防止できる。
VMwareは、ポート共有機能とセキュリティ証明書の追加により、同社のリモートディスプレイプロトコル「Blast Extreme」のセキュリティを強化した。ポート共有機能は、従業員が企業ネットワークの外部から1つのポートに接続できるようにすることで、ファイアウォールの負担を軽減する。
Citrix SystemsとMicrosoftもリモートディスプレイプロトコルを提供しており、「Parallels Client」など、サードパーティーオプションも数多くある。
3. ハイパーコンバージドインフラが躍進
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)向けに設計されたアプリケーションやセキュリティ機能が増える中、企業にとってHCIの導入は、魅力的な選択肢となっている。IDCによると、2017年第1四半期のHCIの売上高は、前年同期比で64.7%伸びた。
HCIがIT部門にアピールするのは、IT部門が仮想デスクトップ環境を提供する上で管理しなければならないもの(メモリ、ストレージ、ネットワーキングなど)を全て1つの技術に統合しているからだ。HCIを使用すれば、VDIにおけるリソースの割り当てが容易になる。管理者は、稼働中のバックエンドシステム全体と、ハイパーバイザー内の仮想マシンの構成のような個々の細部とを、同時に見ることができるからだ。
IT部門は、コンピューティングおよびストレージリソースクラスタを追加することもできる。長期的な成長を考慮すると、これは企業にとって好都合だ。
HCIベンダーは数多く、IT担当者は個別ニーズに合わせてNutanix、Dell EMC、SimpliVity、VMwareといったベンダーから製品を選択できる。HCI市場ではNutanixが老舗の1つだが、Dell EMCもHCI技術に積極的に投資しており、IDCによると、2017年第1四半期には24%のシェアを獲得し、市場で首位に立った。
4. 経済性を追求
VDIは、初期コストの高さが導入の最大のネックの1つとなってきた。そのために多くの企業が、従来のPCの方が財務責任を満たす選択肢だと考えるに至った。だが、ストレージの進化とハードウェアの価格低下を背景に、VDIのコストは下がっている。また、ベンダーは長年、価格帯の異なる複数製品をラインアップしてきた。例えば、Citrixの「XenDesktop VDI」は、EnterpriseとPlatinumの両エディションがある。これらは2017年にVersion 7.16にアップデートされた。
ストレージでは、さまざまな選択肢がより手ごろな価格となり、VDIのコスト低下につながった。例えば、重複排除や圧縮といった機能を提供するオールフラッシュアレイの価格が下がっている。
一方、VDIは、長期的なコスト削減を支援する。VDIではエンドユーザーデバイスとして、安価なシンクライアントが使えるからだ。2016年12月に発売され、2017年にメジャーアップデートされたIGELのシンクライアント「UD Pocket」は、ペーパークリップほどのサイズしかなく、これまでのシンクライアントの概念を変える製品だ。小売店によっては169ドル程度で販売されている。
またVDIは、企業がBYOD(私物端末の業務利用)を実施する機会を広げる。BYODは、企業のセキュリティおよびデータ利用ガイドラインに従うという条件で、従業員が私物のデバイスを仕事に使えるようにする取り組みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[セコムトラストシステムズ株式会社] SCS評価制度で重要性が増す「SASE」 制度の要求事項と機能はどう関係する? -
製品資料
[株式会社オプティム] SaaS管理やID管理などの「資産管理」をまるごとカバーする方法とは? -
製品資料
[株式会社kickflow] 3分でわかる「kickflow」 どのようなワークフローを実装できる? -
事例
[株式会社kickflow] 出前館も実践 ワークフロー刷新で得られる効果とは? -
事例
[株式会社kickflow] ワークフロー活用事例:社内システムとのAPI連携で業務効率化&統制強化を実現
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
4
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
5
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
-
6
本当にそのIBM iに問題はない? ブラックボックス化と属人化を防ぐ第一歩
-
7
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
8
「シェルコード」とは? 凶悪なマルウェア感染を可能にする手口
-
9
ファイル転送サービスの使用で気を付けたいセキュリティポイント
-
10
自社と顧客の脱炭素化を推進するGoogleのクラウド戦略
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
6
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
7
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
8
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
9
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
10
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー