在宅勤務などのテレワークが市場の変化を後押し
「Skype」があまり使われなくなった「Zoom人気」以外の理由
「Skype」が衰退した原因は、「Zoom」などのWeb会議ツールの急速な普及だけではない。コミュニケーション市場の変化の背景を、専門家の見解から探る。
Microsoftの「Skype」はかつて、個人や中小企業に人気のテキストチャット・テレビ電話ツールだった。だがZoom Video Communicationsの「Zoom」のようなWeb会議ツールが普及すると、Skypeの人気は低下。Microsoftはユニファイドコミュニケーションツール「Microsoft Teams」に力を入れるようになった。
調査会社Creative Strategiesが米国内の1000組織以上を対象として2020年4月に実施した調査によれば、テレビ電話やWeb会議にZoomを利用している組織はほぼ3分の1を占めた。Teamsは18%、Skypeは15%だった。
業界コンサルタント、アンディ・アブラムソン氏のブログによると、Skypeの衰退に拍車を掛けているのはZoomやTeamsだけではない。
なぜSkypeはあまり使われなくなったのか
Slack Technologiesの「Slack」をはじめとするビジネスチャットツールもまた、Skypeに影を落としている。SlackはSkypeと同様の機能を提供しながら、「Google Drive」「Dropbox」「Box」といったファイル同期サービスとも連携する。
「TeamsでSlackに対抗しようとするMicrosoft自らの取り組みが、Skypeを存続させようとする取り組みを阻害した」とアブラムソン氏は解説する。SkypeはSlackとも連携させることができ、エンドユーザーはSlackの中でSkype通話を開始できる。
ただしSlackはZoomとの連携も可能だ。例えばPBX(構内交換機)の機能をクラウドサービスとして利用できるクラウドPBX「Zoom Phone」が利用できたり、「Google Calendar」「Outlook」といったカレンダーツールにZoom会議の予定を登録したり、会議の通知を設定したりできる。
テレワークのコミュニケーションを支援
Web会議ツールは在宅勤務などのテレワークのコミュニケーションにとって必須のツールになり、テレワーカーの間ではZoomの人気が高まった。調査会社Informa Techの技術調査部門Omdiaのアナリスト、ポーリン・トロッター氏のブログによると、コミュニケーションベンダーはZoomの魅力に対抗し、無料版のエンドユーザーを有料版のエンドユーザーに転換させることが課題になっている。
通信大手VerizonによるBlue Jeans Network(「BlueJeans」の名称で事業展開)買収の計画は、コミュニケーションベンダーがユーザー企業を引き付けるために取っている戦略の表れだ。短期的には、Web会議利用がこれまでにない規模で利用される中で、確立されたWeb会議ベンダーを買収することは、Verizonにとってメリットがある。Verizonはまた、自らの電話ツール「One Talk」の完成度を高めるために、今回の買収を利用することもできる。
トロッター氏によれば、コミュニケーションベンダーはWeb会議の先を見据えてテレワークのコミュニケーションを支援し、機能豊富なユニファイドコミュニケーションツールに力を入れる必要がある。こうしたツールを通じてユーザー企業のための新しい価値をつくり出すことが、コミュニケーションベンダーの成長には必要だ。
ビジネスチャットの成功
特にテレワーカーの間でリアルタイムのコミュニケーションができる手段が求められる中で、ビジネスチャットツールの採用が広がっている。調査会社Nemertes Researchによると、2021年までに組織の67%がビジネスチャットツール(同社は「チームコラボレーションアプリケーション」と定義)を導入する見通しだ。
ビジネスチャットツールを採用した全ての企業が成功を収め、生産性の向上やコスト削減といったメリットをフル活用できているわけではない。Nemertesのアナリスト、アーウィン・レイザー氏のブログによると、ビジネスチャットツールの成功には複数の要因が関係する。ビジネスチャットツールの採用に成功した企業は、ビジネスチャットツールを仕事用のハブとみなし、ビジネスワークフローに組み込む傾向がある。これによって従業員は、ビジネスチャットツールから離れることなく業務を達成できる。
レイザー氏によると、成功を収めている企業は自社のビジネスチャットツールを、例えばシングルサインオンやデータ保持ポリシー、暗号化機能といった、多様なセキュリティ、ガバナンス、コンプライアンス(法令順守)関連製品と確実に連携させている。
コミュニケーションの分断を防ぎ、会社を横断するコラボレーションを実現するためには、ビジネスチャットツールを全社的に打ち出す必要がある。「ビジネスチャットツールは、誰もが参加できる状況において最大の恩恵を引き出せる」とレイザー氏は説明する。
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