セキュリティ担当者のメンタルヘルスを守る6つの方法【中編】
仕事に不満のセキュリティリーダーが部下の燃え尽きを防ぐ“発想の転換”とは?
セキュリティ担当者の「燃え尽き」を防ぐためには、何をすればよいのか。具体的な施策として、プロジェクト管理の新しいアプローチと、インセンティブの扱い方のこつを解説する。
企業を狙ったサイバー攻撃が拡大し、セキュリティ担当者には過剰な業務負荷が掛かっている。過労による「燃え尽き」を防ぐにはどうすればいいのか。前編「『燃え尽き社員』を生まないリーダーの心得は? まずは新入社員の意欲に応える」に続き、中編となる本稿はプロジェクトマネジャーに期待される新たな役割、インセンティブの取り扱いに関する注意点について紹介する。
3. プロジェクトマネジャーの役割を新たな視線で捉える
併せて読みたいお薦め記事
企業が取り組んでいるメンタルヘルス支援
相次いでいるサイバー攻撃について詳しく
セキュリティ対策におけるプロジェクト管理業務は、今後も決してなくなることはないだろう。円滑なワークフローを実現し、顧客との効率的なコミュニケーションを図るためにプロジェクト管理は不可欠だ。
とはいえ、プロジェクトマネジャーは大半の人にとって、理想のキャリアパスとは言えない。会議を調整したり、決まった書式に従って報告書を書いたりすることは、「本来やりたいこと」とは異なるからだ。むしろ「何かを打ち破りたい」(もちろん、倫理的なやり方で)と望んでいる場合すらある。部下の燃え尽きを防ぐことが目標ならば、リーダーはこうした人材の能力を最大限に引き出し、プロジェクト管理だけでなく技術的な業務で高い価値を創出できる環境を整える必要がある。
技術面で秀でたチームをさらに強くするため、実務能力が高く対人コミュニケーションに優れた人に加わってもらい、セキュリティ関連の業務に伴う管理業務を担ってもらうという手もある。しかしそこで満足してはいけない。セキュリティ部門の有能なプロジェクトマネジャーは、タスク管理や顧客との連絡係だけでなく、それ以上の役割を担ってしかるべきだ。
今の時代のプロジェクトマネジャーは技術的な知識も備えていなければならない。技術系の実務をこなせるほどのスキルは必要ないが、顧客やCISO(最高情報セキュリティ責任者)と円滑なコミュニケーションを図れる程度には業務内容を理解している必要がある。セキュリティチームが重大な脆弱(ぜいじゃく)性を発見した際に、予算や緊急性への影響を理解して的確に伝達するためには、ある程度の技術的な知識が不可欠だ。
プロジェクトマネジャーのチームを統括している筆者の同僚は「理想のプロジェクトマネジャーとは、この仕事に情熱を持ち、顧客を第一に考える人物だ」と話す。さらにいえば、プロジェクトマネジャーは個々の顧客の状況を分析し、プロジェクトの前進に向けた問題解決策を提示するために、危機管理スキルが必要となる可能性がある。プロジェクトマネジャーは脆弱性対策を講じるに当たって中心的な役割を担い、あらゆる場面で顧客の立場を代弁する役割を持つべきだ。
従来のプロジェクトマネジャーはタスク指向が強かった。プロジェクトを計画し、チームと連携し、タスクを割り当てた後はタスクの進捗状況を把握するため定期的にチェックしていた。だが最近はスタイルが変わり、プロジェクトマネジャーがリーダーシップを発揮するようになっている。新しいスタイルのプロジェクトマネジャーはチーム全体をリードし、成功への道筋に導く役割を担っている。
こうしたリーダーシップは、プロジェクトマネジャーという役職への関心を高めるとともに、顧客との調整に関するセキュリティチームの負担を軽減する。結果として両方の燃え尽きを防ぐ効果が期待できる。
4. インセンティブには細心の注意を払う
ボーナスやギフトカードといったインセンティブは、従業員のモチベーションを高めて企業幹部の期待に応えるように促す手法として、長年にわたり盛んに支給されてきた。しかしこの手法は裏目に出る恐れがある。
人員不足のために、チームメンバーにもっと働いてもらおうとしてインセンティブ制度を導入する場合は、結果的に過労による燃え尽きにつながらないようチェックする手だてが必要になる。そのためにはプロジェクトマネジャーは人事部門と連携し、部下が燃え尽きに陥るリスクの判断基準(労働時間の上限など)を決め、状況を改善するための行動計画を策定することも重要だ。危険な兆候が認められた際には、そのメンバーに向き合って柔軟に対策を考えるべきだ。
後編は5、6番目のアイデアとして、自動化による業務効率化、モチベーション向上につながる取り組みなどを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
7
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
8
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
9
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
10
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー